<あらすぢ>
ギリシヤ神話に出てくる無敵の盾「イージス」の
名前を持つ護衛艦「いそかぜ」。その名のとおり
最新鋭の防空システムを搭載した護衛艦。
その護衛艦に沖縄米軍基地から盗まれた
1リットルで東京都民1千万人を
死に至らしめることが可能といわれる
米軍開発の化学兵器「GUSOH(グソー)」が
某国の特殊工作員によって
持ち込まれたという情報が入る。
「いそかぜ」の先任伍長の仙石(真田)は、
新入隊員の如月(勝地涼)が工作員ではないか?
と、部下を疑わなければならない状況に
苦しみながらも「俺の艦」を守りたい
という思いから、独自に調査を続ける。
誰を信用したらいいのか?
黒幕、某国対日工作員の「ヨンファ」
(中井貴一)とは何者なのか?その目的とは?
ひとことで言えば
「真田広之版 ダイハード」です。
いや、前評判ほどにはつまらなくなかったよ。
充分楽しめました。
・如月はもっと線の細い
「ビジュアル系ギタリスト」のような
カンジを想像していたのだが
主役を演じる「勝地涼」氏は
金八先生でいじめっ子役A君を
演じていそうな、骨太なタイプ。
自衛隊員だからな。そのほうがリアルかもしれない。
・「中井貴一」氏はもともと線の細い演技ができる
タイプではない(要するにラーディッシュ)ので
かえって工作員の「不気味」さ。
日本人と異なる「爬虫類」ぶりがよかった。
・一応、内閣調査室の調査員なのだが
劇中では単なるおっさんに過ぎない
「岸辺一徳」氏の相変わらず
おとぼけぶりもGood!
・もう一方の主役でもある、厚美DAIS局長
「佐藤浩市」氏は
そのまま「リゲイン」のCMに繋がるくらい
苦悩する(疲れた)リーマンでした。
・内閣総理大臣「原田芳雄」氏
猥雑で俗物な政治屋だが、決して無能ではない役。
一昔だったら総理役は
「山村総」氏だとか「三船敏郎」氏など
大物俳優がやるところ。
原田芳雄氏なんて昔の映画だと
下手すりゃ「鉄砲玉」役だよ?
昔の映画なら2等兵役のような方々が
いまは相応に歳を取られて社会の「幹部」役だもんね。
・航空自衛隊パイロット役の「真木なんたら」は
意味不明。別に誰でもいいのでは?
あれは友軍を殺さねばならない軍人の苦悩というよりも
単にカッコつけているだけです。
小説のように一度、相方が撃墜されていたら
話も変わっていただろうけれど。
唐突に現れ、唐突にカッコつけてた。
・「寺尾聡」氏は顔が汚い。
パンフ(1000円!くそう。足元見やがって・・)には
各登場人物の背負っている背景、
なぜ彼らは行動を起こしたのか、
映画に至るまでの前日談、
はては自衛隊の豆知識、
兵器関連の専門用語の説明までがびっしり。
PON的には読んでいてウレシイけど
逆にいえばこういう文字による補填をしなければ
何を言いたいのか解らないセリフ
行動がある、全体的に説明不足な
映画であったということ。
演出方法や脚本がヘボイと
文句言う人もいるだろう。
本来、映画とはその作品だけで
すべてが理解できるように
完結しているべきでしょうが
PONは、ここまでまとまっていれば
まあ及第点だと感じた。
自衛隊全面協力なのは時代を感じるが
・反乱首謀者が「いそかぜ」艦長ではなく
副長に変更されている事(原作では艦長)
・ヨンファはあくまで「某国」の工作員である事
この二つが映画製作者が自衛隊に遠慮して
「ひよった」
部分と思われ。
「某国のイージス」でした。
おそまつ。
原作:福井晴敏
監督:坂本順治「どついたるねん」
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