2006年12月08日

「感染」塚橋一道

PONの「ホラー小説」連読は
果てしなく。

角川ホラー文庫(KHB)より
「感染」塚橋一道

<あらすぢ>
 その病院は建物の老朽化に加え、経営危機から
薬や備品が圧倒的に不足している状況が続いており、
多くの患者が、生死の境をさまようことが日常と
化していた。医師や看護師たちの精神と肉体も
限界に達しようとしていた頃、些細なことから
医療ミスによる死亡事故が発生する。
 外科医の秋葉と内科医の魚住は保身から事故の
隠蔽を決断するが、そんなとき内蔵が溶け始めた
奇怪な急患が担ぎこまれてくる…。

<以下、軽くネタバレ>
なんつーか。そういう真相がアリなら
この日本に感染する人間が
果たしてどれだけ残っているだろうか?
ってことですよ。
少なくとも「ポンギヒルズ」族とやらに
感染者はおらんでしょう。
経営難により逃亡した院長にこそ
しかるべき「感染」があって
よいところなんですがね〜。

すんません。
ほとんどネタバレでした。

もともとはVシネマ感覚で作られたような
「ホラー映画」
の小説版ですので
ビデオを見て、医療系ホラーのグロさを
ビジュアル面から楽しむのが正しい作品の
楽しみ方なのかもしれません。

デキは「中の下」
物理的にも薄いし。



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2006年12月07日

「そして、またひとり・・・」幸森軍也

「角川ホラー文庫」(KHB)シリーズ
は続きます。恐怖の連鎖は続くのです。
ほほほのほ。

「そして、またひとり・・・」幸森軍也

<あらすぢ>
 百瀬貴彦、百瀬の妻・朋美、薬袋和久、
八木沢延明の4人は大学時代同じサークルに
属していた。卒業後10年ぶりの再会を機に
家族連れでキャンプへ出かけることになるが、
なれない地理での検問による迂回や、
天候悪化のための事故など、アクシデントが相次ぎ、
ついには水遊びをしていた八木沢の息子・貴史が
川に流され命を落としてしまう。楽しいはずの
キャンプが霧のなかで悲劇にかわっていく―。

・・なんなのか???
結局作者は何が言いたいのか?
書きっぱなしこそが恐怖なのか?
確かに「読者」置いてきぼりは
恐怖と言えるかもしれない。

リングシリーズのような
最終的にすべての真相が
理詰めで明らかになる
ホラーというのも、それはそれで
行き過ぎだとは思うが

まったく理由が最後まで
明らかにされないホラーというのは
果たしてどうだろう?
それはミステリー小説界において
「実は主人公が犯人」というぐらい
結構「タブー」なのではあるまいか??

それが認められるならば
「ホラー事象」っぽいエピソードを
単に並べて語るだけで
結局主人公たちが遭遇した出来事は
なんだったんでしょうね〜?
という小説でいっぱいになるでしょう。

作者には反省を求めたい。
文体は比較的読みやすかったけど
その「ホラー」をなめている作者の姿勢が
大いに減点。「下の上」

実はこの文庫は2部構成になっていて
表題の「そして、またひとり・・・」の他に
美人大学生をストーキングする
男の物語「闇の下」がある。

本編「そして、またひとり・・・」
に出てきた登場人物の
惨劇に巻き込まれる前の大学生活が
描かれているようでしたので
本編のアンサー小説なのかな?と
勝手に期待していたのですが

結局、なんの因果関係も
無かった
ようです・・。
(改めてよく読んでみたら
 微妙に名前が違うし?)

うんもー。なんなの?この小説。



それから、コレは関係ないけど
ホラーに限らず、小説に出てくる
人物名ってリアリティが無いよね。
百瀬・薬袋(なみい)八木沢だよ。
なるべく読者に同姓同名が居ないように
わざと避けてんのかな。

そだ。
ホラー小説で
登場人物名が買った本によって
ランダムに変わっていたら
結構面白いかも。

その中の一冊には
自分の名前が使われていたりしたら。

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2006年12月06日

「死者はまどろむ」小池真理子

PONのどとーの「ホラー小説」
連読は続きます。

同社が出す漫画よりも
とかく存在感が薄い「集英社文庫」です。
いつもの「角川ホラー文庫」(KHB笑)
シリーズではありません。念のため。

「死者はまどろむ」 小池真理子

<あらすぢ>
 美しい自然に恵まれ、村人は信仰心の
厚い人ばかりという、その名の通りの
「夢見村」に別荘を持つことになった
作家の間宮一家。それ以来、崩壊しかけて
いた家庭は復興し、全てが上手く
行くようになる。だが、ある日一家は、
謎の葬列と共同墓地を目撃してしまう……。  

一見幸福な日常生活に、
恐怖は足音を忍ばせて這い進む。
現実世界でも恐怖というものは、
実は常に表裏一体。

以前に「墓地を見おろす家」の
ご紹介
もしましたが
あの恐怖(モダンホラー)を再び、と
同じ作者のこの作品にトライして
みました。

(以下少々ネタバレ)
うーーむ。作品後半で
キーパースンが
結構ウェルカム的に真相を
明らかにしてくれるから
(それが手なのだけど・・)
そういう意味では「墓地〜」よりも
恐怖心は薄らいだかなぁ。
もっともそこへゆくまでの
ストーリー運びは
さすが「小池」さんで
非常に読みやすく、ホラー小説にありがちな
もったいぶった書き方で感じる
ストレスもない。

けどやっぱりかわいそうなのは
義妹のボウイフレンドだ。
視界が悪いので
想像力に頼るしかない
声だけは聞こえる「惨殺」シーンてのは
本当に気色悪い・・がPONには
ジャッキーチェンの昔の映画「木人拳」の
木人がボウイフレンドを
いたぶっている様に思えて
怖いやらおかしいやら。

オチは「それならそれで」
といった感じです。
デキは「中の上」かな。



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2006年12月04日

「処刑列車」「復讐執行人」大石圭

昨日に引き続き・・ですが

角川ホラー文庫(KHB)より
「処刑列車」 大石圭

処刑列車.jpg

syokei1.JPG
コレが「処刑列車」の舞台になった
「ダブルデッカー電車」

syokei2.JPG
この小説を読んで以来
このタイプの電車に乗るのが
ちょっと怖い。

あらすぢにもあったけれど、この
無差別な悪意
これが結構重要なキーワード。

それから大石作品全般に言えるんだけど
惨劇の「原因」が登場人物の
生まれる前にまで遡ることが多く
もし現在妊娠中の女性がいらっしゃったら
いろんな意味で彼の作品を
今は読まないほうがよいと思う。
それは「胎教に悪い」とか
そう言うのよりも単に
「妊婦の心のありように悪い」から。
・・まあ「胎教に悪い」でいいや。

syokei3.JPG
ダブルデッキ(二階建)ですから
車内はこんな風です。
ここであのような惨劇が??

昨日も書きましたけど
ちょうどこの本を読み始めたとき
「茅ヶ崎〜平塚」間を
PONの乗る電車が走行していたモンで。
こわいこわい。
ホラーファンにはお勧めです。
あと湘南地区にお住まいの方も。



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角川ホラー文庫(KHB)より
「復讐執行人」 大石圭

復讐執行人.jpg

<あらすぢ>
 香月健太郎は36歳。6つ下の妻と5歳と6歳の娘たちと
4人で横浜の郊外の住宅街に暮らしている。
明日からゴールデンウィーク、家族旅行でバリ島へ行く
という夜に、その事件は起きた--。

うーーん。
相変わらず読ませるのがうまい。
面白かった。
(反面、割とあっけなかったけど)

作品中にて歴史の女教師が言うセリフ。
「復讐からは何も生まれません
 それはただ憎しみの連鎖を生むだけです」

それは「パレスチナ問題」や「イラク情勢」を
見るまでもなく、おそらく人類の真理なのだろうが
もしPONの身辺にこんなことが起きたら
多分自分は人が変わる。
絶対に復讐するだろう。
「憎しみの連鎖」やら「歴史の真理」なんて
クソ食らえだ。

「復讐執行人」とは結局
誰の事を指すのか?
それが明らかになるのも
この作品における「ミステリー」のひとつ
かも知れない。

劇中の唐突に出てくる
「中年の娼婦」の存在と描き方が
ちょっと浮いていた気もするが
まあ許容範囲。
あと主人公の「妻」の作る料理が・・
こちらもちょっと浮いてる。



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2006年12月03日

「処刑列車」大石圭

「角川ホラー文庫」より。

syokei.jpg

<あらすぢ>
 朝のラッシュアワーを過ぎた頃、東海道本線、
小田原始発・東京行きの『快速アクティー』が、
茅ケ崎・平塚間の鉄橋で突如停止した。
 何者かによって乗っ取られたのだ。
『この電車は彼らが占拠した』。自らを「彼ら」と
名乗る犯人グループは運転手と車掌を射殺し、
すべての乗客を一部の車両に閉じこめた。
そして、殺戮が始まった―。
 無差別な悪意が暴走する戦慄のホラー。

syokei1.JPG
作品の舞台となった「列車」は
多分これ。

いやぁ・・。
読まなければ良かった。
非常に陰鬱になります。
いわゆる「大人の知恵」もしくは「事情」で
「そこはそういうことなんだ」と
社会の大部分の人達が
暗黙の了解をしているナーバスな
部分を敢えてほじくり返してしまった
事から起きる物語。

社会的に言えば下層に位置する
「一般民」達の
声にならない絶望、怒り、悲しみ。
いつの時代にも、そんな人間は
一定数存在するものだが
その凶暴なパワー(怨念)は
ほとんどの場合、個別に踏みにじられ
他の人々に向くことも無く
いつしか忘れ去られていく存在だった。

が、「ネット」という媒体が登場した時
個別に消えるはずだった怨念は融合し

純粋な悪意

となって炸裂する。

自分達をこの境遇に追いやった
漠然とした顔の見えない社会に
復讐する。

syokei3.JPG
ダブルデッキの車内は「血」に染まり
「鉄」の臭いが充満した・・はず。

犯人達には結構腹が立った。

「なぜ私が??」
単に「運が悪い」だけで
この世に出られなかった「彼ら」は
「生きとし生ける」すべての生命体を
恨み、根絶する「権利がある」と
彼らは決意表明をネットでアップしている。

百歩譲ってそういう権利もあったとしても
その根絶する権利とやらを
「彼ら」は犯人達に譲渡する
権利はさすがに無い。

犯人はいろいろと理由を述べていたが
結局、同情することもできなければ
納得もできない。
狂った彼らが勝手な理屈で
我々に危害を加えるなら
我々も彼らに抵抗(排除)する権利がある。

「彼ら」は単に狂っているだけだ。



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2006年12月02日

「輪廻」大石圭

角川ホラー文庫(KHB)より
「輪廻」大石圭

<あらすぢ>
昭和45年、群馬県のホテルで起きた
大量無差別殺人。法医学教授の大森が
自らの家族も含め、宿泊客、従業員ら
11人の命を奪った。動機は不明。
大森も謎の死を遂げ、警察は狂気の犯行
として片付けた。そして35年後の現代。
映画監督の松村は、この猟奇事件の
映画化に取り組んでいたが…。
日本人初、全米ナンバー1を獲得した、
清水崇監督・最新作を完全ノベライズ。

大石圭作品なので
文体も読みやすかったし、
気が付くとページも進んでしまう
先の見えない面白さはあった。

あと少しで突き抜けた傑作に
なりそうだったけど、
所詮は他者作品である「映画」作品の
代作に近い小説化であるからか
さすがの大石圭氏も自由奔放に
書けなかったきらいがある。
そのためかも知れないが
ちょっと納得いかないというか
なんじゃそら?って感じも受けた。

あと、殺されまくった登場人物
一人一人の背景描写が
見事に書き飛ばされているので
(確かに大筋には関係ないから
 やむを得ないとも言えるけど)
作品の奥行きに欠ける。

それから「ネタバレ」に近いが
生き残った「妻」にはもう少し
状況解決に一役買って欲しかった。
あれじゃあ、結局彼女は
事件後の35年間
ぼーーっと暮らしていただけじゃない。
「妻」の奮起に期待。

作品としては「中の中」かな。



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2006年12月01日

「呪怨」大石圭

12月です。どっちかってーと
割りに季節感の無いネット上でも
また、実生活におきましても
散々言われることではありますが
季節の過ぎるのは早いですな。
特にPONにとって2006年は
激動の年でしたよ。

ちびがるた降臨(妊娠発覚)が
今年の正月でしたからね。
去年の今頃は、我が家に
まだニューカマーが居なかった訳で・・

さて、聖夜も控えている12月に
何ですが、しばらくの間
PONが通勤途中に
読んでしまった「本」シリーズを
お送りします。
しかも「ホラー」・「軍記物」中心。
季節感ZEROです。どぞ。

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「角川ホラー文庫」より
大石圭作品 「呪怨(じゅおん)」です。
Vシネマとか映画として
結構作品展開をしたあげく
同じ監督で「ハリウッド」資本でも
映画化したらしいですね。
アメリカの常識では
「ホラー」には必ず「お色気」
ツキモノなのだそうですが
そういうキワモノ思想を全く排除した
製作姿勢に、向こうの映画評論家も
学ぶところがあったんだとか・・

大石圭さんの作品なんで
相変わらず文体は読みやすかったです。
(もったいぶらない書き方、
 イメージしやすい表現方法など・・)

あらすぢ
 老人介護のボランティアをしている
仁科理佳は、寝たきりの老婆・幸枝の様子を
見てきて欲しいと頼まれる。郊外の住宅地に
あるその家の中は、悪臭が漂い、ゴミが散乱
していた。理佳が人の気配を感じて二階に
上がるとガムテープで封印された押入れが
目に飛び込んできた。理佳は、恐る恐る
ガムテープを剥がし…。

「リング」の「貞子」にしてもそうだけど
ものすごい怨念の「存在」によって
無辜の人間が理不尽に殺される。

こういう分野を読んでいると
つくづく思うのだが
そんな殺され方をした人間の中には
そのあまりの理不尽な殺され方に
自分を殺した「怨念」に対して
別の「怨念」となり
結果的に「人類(生者)の味方」に
なったりするような「怨念」が
居ても良いのではあるまいか?

やはり「生者」と「死者」の間には
「深くて暗い溝」があるのでしょうかねぇ。

生前にはどんなマトモな
思考や想いを持っている人物でも
死ぬというのは生物にとってトテツも無く
「ショック」なことで
その「衝撃」たるや簡単に生前の理性なぞ
ぶっ壊してしまうとかいうことを
どっかの「ホラー小説」かなんかに
書いてあって
なんとなく納得してしまった
こともあったなあ。

ま、それはともかく
この作品では登場人物がみんな、
あまりにも悪霊の意図にはまりすぎ。
とりあえず二階に行って
ガムテープはがして、XX見て・・。

オレならひとまず外に
出ることを切に希望。
(それ以前にそんなとこには 
 近寄らない(苦笑))
そうはさせない「パワー」こそが
「怨念」たる所以なのでしょう。

なんか小説は「ビデオ」が好調だった
流れを受けてその「前日譚」らしい。
ガンダムで言えば
「ガンダム大地に立つ」前の
「ルウム戦役」のお話。
「正体不明」=「怖さ」に繋がるなら
最初は「ビデオ」から見たほうがよいかも。
(小説単体でも楽しめますが)



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