最後に残ったのは、なんだか知ってます?」
「希望?」
「いいえ「予兆」です・・・
「希望」は意訳に過ぎない」
<あらすぢ>
富山県宇尾島市氷上小学校。
一九九五年八月。この学校の屋上で
衝撃的な事件が起こった。六年生の
児童二十三名が日没を待って夏休みの
校舎に侵入。ふざけあうなどしている
うちに児童の一人がコンクリートに
頭部を強打、死亡するという事故が
発生。他の児童たちは所持していた
ナイフで遺体を損壊。その一部を
屋上から投下した。―そして九年後…。
衝撃の書き下ろし最新作。
「怖い」と言えば怖いが
いつもの「角川ホラー文庫」のように
いわゆる「超神秘的な」モノに
主人公達が右往左往、ワー、キャー・・
という展開を期待すると
ちと肩透かしを食う。
かなり実験的小説かも。
読み進めると、この話は果たして
「サイコ」モノなのか、
題の通り「バケモノ」系なのか
それとも超自然系?ミステリー?
何処に落ち着くのか
さっぱりつかめず、その不安定感が
怖さにも繋がっている気がする。
それから文体も多少変わった書き方で
自分には国語の勉強不足で
うまく書けないが
なんと言ったら良いのか
登場人物のモノローグが
いきなりセリフとかぶっていたり
セリフの「」(かっこ)外にも
セリフらしきものが続いていたりして
「このセリフは誰が言ってんだ?」
なんて慌てて文脈を追う、なんてことも。
ちっと読みにくい。
この技巧自体は、話の筋とは直接的に
関係なさそうなので
まあ、神経質にならずともOKだと思う。
以下は、多少ネタバレ。
ネットこそは内弁慶のオンステージ。
古くは「一億総白知化」
そして「一億総評論家」と
誰かが表現したが
もはや「一億総オレ様」の時代である。
うまいコト言うね。俺。
何を隠そう、こういう所で
何の見返り真無く、つぶやき続ける
自分もその一人だ。
かつては相互になにも連携がとれぬまま
個別に朽ち果ててゆくままであった
社会から見たいわゆる「非適合者」達は
ネットにより繋がったそのとき
古の小説「人間以上」のように
「人間以上」の能力を持った
怪物に変化する。
言葉は怖い。
その言葉を安易に使い捨てる
ネットユーザーが怖い。
「祭りの対象を欲しがる大衆の無意識」が怖い。
何の展望も無く、ただ脊髄反射だけのような
感想だけで「報道」をするマスコミが怖い。
異端を許さず徹底排除する
ネット文化(日本国民)が怖い。
(平気で「氏ね」とか「ヴぉけ」とか
書けるヤツが居るもんなぁ)
それ以上に教育関係者には
「ギャングエイジ」と囁かれる
小学校高学年の世代の
心理的不安定さ。自分の胸に
手をあて、改めて考えると結構怖い。
「角川ホラー文庫」
文庫: 285ページ
出版社: 角川書店 (2006/01)
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