某国から静かに宣戦布告されたりと
「日本よ、もっと頼もしい御国であってくれ」
キャンペーンの一環と申しますか
そういう映画が連作された、
何かと忙しい時期でした。この頃は。
映画化もしたようですけども
文庫しか読んでいません。
<あらすぢ>
原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に
北朝鮮の潜水艦が漂着した。
対戦車ロケット砲で武装した特殊部隊十一名が
密かに上陸、逃走する。彼らの目的は何か?
未曾有の事態に政府はなす術を失い、
責任のなすり合いに終始する。砂上の楼閣の
ごとき日本の危機管理を問う。
自分も身内に「K察官」がおりますんで
彼が矢面に立たされたように思え
読んでいて辛い部分がありました。
「そんなバカな事起きっこない」
「何が起きても、いつも、どこかで
誰かが何とかしてくれる」
漠然とそう思ってろくにニュースも見ず
日々の生活に身をゆだねる・・
自分も含めて日頃はそんなモンですが、
そんな「バカな事」が実際に起きてしまったとき、
「誰か」が何とかしてくれるといっても
日本の社会は、「適切な誰か」を
「適切な方法で」事態の収拾に
当たらせる事ができるのだろうか?
ホント考え込んでしまう作品。
悲劇は日常の延長上で突然やってくる。
日頃は、港町で釣り人相手の民宿経営している
その辺のおばちゃんが、山菜取りの
山中で何もわからないまま殺される。
小説では、相手は少人数ながら
重武装な「殺しのプロ」
そんなのを相手に
セクショナリズムやら、政治的風合いから
「戦いのプロ(自衛隊員)」ではなく
世界一軽武装な日本の
「おまわりさん」が
前線に出る!このミスマッチが
引き起こす惨劇。
じゃあ「自衛隊員」なら死んでもいいのか?
訓練は充分なれど実戦経験はなく
撃たれれば血を流す人間。
「機動隊員」も「自衛隊員」も
普通の日本人。子供もいれば妻もいます。
続出する死傷者に、現場はいつしか
異常な精神状態に支配され
中央からの偉そうな命令を聞かなくなって来る。
ムクムクとクビをもたげる
「現場の判断」と「暴走」
一度、引き金が引かれたら
いかにその事態収拾が難しいか。
上から停戦命令が出ても、
そんなこと相手に伝わるはずもなく
応戦をやめた瞬間
撃たれるかもしれないのだ。
K朝鮮の工作員も冷酷だし酷いが
決して意味不明の化け物でもなければ
血も流す人間で、比較的平等に
書かれていたのは良かった。
生き延びる為に、必要と判断していることだけを
たんたんと実行しているのみ。
エライ迷惑だが。
もしかして、銃器を使ってまでして
彼らをここまで追い詰める
自分達の方が悪いのだろうか?
とさえ思えてくる。
「亡国のイージス」よりも
この作品内の人々のほうが
良くも悪くもその辺の「日本人」だらけなので
(不死身の工作員も先任曹長もいない!)
よりリアリティが感じられ
「国防」や「愛国心」について
身近に考えるきっかけになりそうではあります。
講談社文庫
こんな世界が実現しないように。
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