2007年07月02日

「二重螺旋の悪魔」梅原克文

角川ホラー文庫より。
堂々上下2冊の大作。こういうのが
某三色系古本屋の100円コーナーに
上下巻ともそろっているのは珍しい。
大概は上巻だけが100円コーナーにあり
下巻は普通の文庫コーナーで
100円以上することが多いからw

あらすぢ
 遺伝子操作監視委員会に所属する
深尾直樹は、ライフテック社で発生した
事故調査のため、現地に急行した。
直樹はそこで、かつての恋人・梶知美が
実験区画P3に閉じ込められている
ことを知る。だが、すでに現場は
夥しい血で染め上げられた惨劇の
密閉空間に変質していた…。
 事故の真相に見え隠れする
DNA塩基配列・イントロンに秘められた謎。
その封印が解かれるとき、人類は未曾有の
危機を迎える!恐怖とスリルの連続で
読者を魅了する、極限のバイオ・ホラー。

〜(「BOOK」データベースより)

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題名で非常に損している気がする。
まず本を手に取ることを敬遠する人が居そう。
あらすじだけ読んでいると
「ああ、バイオハザードテイスト小説?」って
感じがしますよね。

そう、途中まではそうだった。
第二の?ヒロインである「博士」が
登場する辺りから、話は大暴走を始めるのだ。
そしてもう、力ワザで強引に最後まで
押し切ったという感じ。
少なくとも、上巻と下巻では
主人公はあらゆる意味でもはや
別人になってますw

しかし読後感はなかなかのもの。
期待?は裏切らないと思う。
文体も読みやすいほうに入るし。
ぶっちゃけて言うと
「ハードボイルド系ホラーモノ」と思いきや
「SFモノ」だったのです。これ。
但し、SF作家と作者に言うと怒るそうで
サイファイ」小説家が正しいらしい。
・・確かに自分の作風を
よく解かってらっしゃるかも。

シンプルな英雄(ヒーロー)譚。
漫画ゲームアンド映画世代にありがちな、
エンターテイメント&
ジェットコースター小説。

予定調和的なので
主人公に全幅の信頼を置きながら
安心して読んでいられる。
(だって主人公だからw)
その点ハリーポッターにも似ているかな。

敵は死んだはずだが実は・・
なんてことが結構繰り返されたり、
主人公も苦悩するけど、苦悩の描写が
単に酒量が多くなる程度というような
上っ面だけの人間描写であること、
作者が本当に書きたい所(趣味部)以外は
サラッとまとめ過ぎだったりと

非常にハリウッド映画的で
どこか軽い感じは否めないのだが
だからこそ本人は「サイファイ小説家」を
自認しているのでしょう。

なんでこんなことになったのか。
小説内では幾多のバイオ学説に基づき
一応は説明を試みているところが
多少もたつく上、最終的には説明を
放棄していたりもするけども。

小説のバックボーンは
「デビルマン(原作)」「ターミネーター」
「バイオハザード」「エイリアン2」で、
わかる方にはおわかりになるかと。

あ、「幻魔大戦」もはいってるか!
そうだな、漫画化するなら石川賢さんだ。
あの人もそういうビジュアル得意だったし
話につまれば、とにかく見びらきドアップw

神(EGOD)が、最終目標にしていた
例のアレなんか、描かせたらほんとに好きそう。

PONスコープでは中の中。
(エンターテイメント小説としての評価。
 ホラーとしては下の上かな)

サブカル好きな作者が
自作品のアニメ化を前提にして
書いたような作品だから
サブカル(アニメとかコミック)との
親和性は400%保証だ。

ただ、そうなるとこの小説は
角川ホラー文庫ではなくなる。
むしろ富士見ファンタジア文庫とか。
朝日ソノラマあたりが
収蔵にふさわしいと思う。

ところでソノラマってなに

・・って書いたら、あら
朝日ソノラマ解散!!



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posted by PON at 22:35| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(SF) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする