篠田節子さんの別の作品
「ハルモニア」 文春文庫です。
<あらすぢ>
脳に障害をもつ由希が奏でる
超人的チェロの調べ。指導を頼まれ、
施設を訪れた東野はその才能に圧倒される。
名演奏を自在に再現してみせる
由希に足りないもの、それは「自分の音」だった。
彼女の音に魂を吹き込もうとする
東野の周りで相次ぐ不可解な事件。
「天上の音楽」にすべてを捧げる
二人の行着く果ては…。
いやあ、やはり圧倒的な描写力。
「サヴァン症候群」と「音楽」を軸に
人にとって「普通」とは何なのか?
「芸術」とは何なのか?その辺に
するりと「切り込んでゆく」手腕は
さすが直木賞作家だと思います。
面白いかどうかといわれると
意見が分かれるところだと思いますが
よくぞそこまで話を広げますよ。
この本も上司にいきなりいただき
しかもまったく予備知識無しで
読み始めたものですから
物語の着地点がまったくわからず
(自分の読んでいる本がSFなのか
ホラーなのかエロなのかシリアスか
コミカルかまったく判らんですので
かなり「ミステリー」でした)
「ハルモニア」とは
「ハルキゲニア」とか「アンモニア」とかとは
当然まったく関係がなくって、
「真の音」と訳されております。
「ハーモニー」の語源なのかな。
音楽芸術家の極ごく一部だけが
到達できる真の境地。
たとえば一握りの神に選ばれた人が
そういう境地に達して、表現できたとしても
その境地を一般人が理解できないとしたら
その境地になにか意味があるのだろうが?
もしくは一般人に理解できなくても
誰ががそこに達する事ができれば
それをもって良しとすればよいのか?
要はそういうことです・・
と思っていたら、そこに「超自然現象」まで
絡んできたから、この作者の小説は
相変わらず一筋縄では行かないのう。
それから、多少ネタバレですが
物語の後半でキーになる女性が
いきなり誘拐されます。
そのエピソードは、実は大して重要でも
ないのですが、一応話の上では
必要なので、取ってつけたような警察の
描写には笑えました。
PON的に、面白さは中の中。
(無理に読むまででは無いかなぁ・・・)
バッハ 無伴奏チェロ組曲6番
ヒロインが年をとってオバサン化した
綾波レイみたいなイメージだった。
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