今回はこれ、藤原伊織さんの代表作
「テロリストのパラソル」です。
<あらすぢ>
アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し
20年以上もひっそりと暮らしてきたが、
新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから
生活が急転する。ヤクザの浅井、爆発で
死んだ昔の恋人の娘・塔子らが
次々と店を訪れた。知らぬ間に巻き込まれ
犯人を捜すことになった男が見た事実…。
史上初の乱歩賞&直木賞W受賞作。
以前にご紹介した
「果てしない渇き」
あれも「元警察官」とか「ヤクザ」とかが
ひしめく裏世界に、やっぱり
「裏の過去を持つ主人公」が
事件に巻き込まれる「ハードボイルド」モノ
だけど、この小説の足もとにも及ばない。
やはり小説もゲームも、現実に限りなく
即して嫌な奴らしか出てこない作品よりも
多少ウソくさくてもいいから魅力的な
(この場合は性的意味合いに限らず)
キャラクターが登場するほうがイイ。
特にこのヤクザの浅井がいい。
カッコいい。こんなヤクザならば
是非知り合いに一人くらい欲しい。
そんな感じすらする。
けど、死んだ昔の恋人の娘〜「塔子」は
いかにもオヤジが「頭でこしらえた」
理想?女性って気がした。
(オヤジほど「単に嫌な女」を
「小悪魔」と称賛しがち・・)
それくらいなんかウソっぽい。
広い世界でひとりくらいは
ああいった女性もいるのかもしれないケドも。
意外だったのは「直木賞」やら「芥川賞」
なんかを受賞する作品とは、もっと
「文学的」な作品でないとダメなのかなと
勝手に思っていたのだが
こんな「世俗的小説」でもアリなのか?
ということ。
時代は変わったのかもと勝手に納得。
そもそもそんなことを思うほど
自分は両作品受賞作品なぞ
読んでいないが。
この小説は史上初の
乱歩賞&直木賞W受賞作とのこと。
「果てしない渇き」という駄作ですら
江戸川乱歩賞くらいはとれるのだから、
この小説が直木賞を受賞できて
あの小説が取れなかったという違い、それが
そのまま「面白さ」の違いなのかもしれない。
PONスコープでは
面白さは中の上。
文体の読みやすさは
さすが「直木賞」です。
同じく「全共闘」に縁があり
とにかく自作品に絡ませている
押井守氏にこの作品を読んでもらって
感想を聞いてみたいもの。
いわゆる学生運動の実際は
「悲壮」かつ「滑稽」なだけで
結局何も社会的に寄与することなく
終結したわけで、彼に言わせれば
おそらくこんなにカッコよくないと
統括しそうだけれども。
文庫: 387ページ
出版社: 講談社 (1998/07)
ISBN-10: 4062638177
ISBN-13: 978-4062638173
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ラベル:藤原伊織 テロリストのパラソル