2008年04月14日

「アウトニア王国再興録 でたまか@」

「アウトニア王国再興録 でたまか@」
 英雄待望篇 
 鷹見一幸作 角川文庫

北斗氏から借りた「ラノベ」第三弾。

あらすぢ
前作の戦いから2年。彼らはその後
どうなったのか?

前作の終わり方が終わり方なもので
(主人公は帝国を敵に回し、重犯罪者として逃亡中)
この@巻には直接本人は出てこない。
相変わらずガンダムに例えればw、Zガンダムで
最終回の盛り上がりの後、新主人公のジュドーが
コロニーでもたもたして全然おもろくない時期の話
のような。話のコアがいないのだから、つまらんのは
しゃーない。

登場キャラ達は、当座の問題を主人公抜きで
それぞれの立場で取り組むわけだが、彼らの回想
というか感傷がちょっとうるさいように感じた。

”「あいつなら、こんな時どうするだろう・・」”とか、
”彼女はすこしも躊躇しなかった。なぜなら、あの人が
 いつかきっと何とかしてくれると
 信じていたからである”とか

前作で奇跡を起こし、そして表向きはいなくなった
主人公を崇めたてまつる周囲の姿勢は、主人公が
まるで新興宗教の親分。それでこその「英雄待望」篇
なのだろうけど。

今回は、主人公不在のまま状況が進み、
新皇帝アリクレストと彼の出身勢力が、景気づけに
戦争を望み、帝国と敵勢力が正面からぶつかる
ことになる。今度は「傭兵艦隊VS田舎の防衛艦隊」
ではなく正規軍同士の戦い。

非常に興味深いシーンとしては、帝国宇宙艦隊司令部も
一応、伊達ではないので、将軍、参謀たちを集めて
事前シミュレーションを行う。要するに軍隊が行う
大規模な戦争シミュレーションゲーム大会。何度も
机上演習を行うが、ゲーム上といえど、どうも帝国軍の
旗色が悪い。そのうち軍人というよりも、貴族である
ついでに軍人ごっこをしている輩から
「シミュレータの設定数値が低いのではないか?」
「この艦隊は、ワシの甥っ子が司令官で、確かに本人は
 戦争未経験であるが、周囲は優秀な参謀で固めておる、
 戦闘力が50では低い。70くらいあってもバチは
 あたらないだろう・・」
とかなんとか、好き勝手な理屈をならべ
(設定数値を好きに変えられるPCゲームでもよくあるw)
あげくは、「栄えある帝国軍の実力を、こんな低い
見積もりにするとは、キサマ敗北主義者かッ!」と
お決まりのセリフが飛び出す始末。

このあたりの描写、ギャグのように思えるけど
実は太平洋戦争前夜、日本で本当にあった話なのだ。
真珠湾奇襲をするにあたり、日本の知性が各部署で
集めたデータを持ち寄り、日本海軍が真珠湾攻撃が
成功するかどうか、戦争シミュレーションを実施した。
今みたいにコンピュータがないから、一昔前に流行った
ボードウォーゲームのように、サイコロを振って
当たり判定を行う、机上演習。

周囲の猛反対を押し切り、山本五十六提督が強行した
日本海軍トラの子空母六隻全部出撃。
かなり危ない橋を渡る奇襲作戦だ。それだけに
関係者も果たしてどうなる事やらと、机上演習に
注目したのだが・・

何故か燃料が無くなってしまい、太平洋上で
立ち往生する空母が出たところ、机上演習を仕切っていた
総参謀長は、どうしたか?周辺には補給船も島もないのに、
「ハイ、補給完了したことにします」と
空母は勝手に動いても良いことにしてしまう。

挙句に艦隊の大型空母「加賀」が、アメリカ軍に
撃沈!されてしまう事態にまで。
するとここでも彼は、
「これは机上演習であり、単にサイコロの出目に
 過ぎぬ。本当の戦いは違うのだ!」と
図上にひっくり返った空母「加賀」のコマを
元に戻してしまったという話が伝わります。

「やっぱり、今の無しんこ」ってことですよ。
子供か!あんたらは。戦争に負けるわけだな。

閑話休題。

いざ戦闘に突入するや、敵の陣営に
黒色僧騎兵艦隊」というものが出てくる。
これはどう考えても例の艦隊のイトコだろう。
PON脳内のビジュアルは間違いなく
アレの集団でした。可哀そうに。どこでもヤラレ役(苦笑)
それと「殉教ミサイル」ブラックさには笑えました。

今回は意外な活躍をする帝国の若きボンボン、
皇帝アリクレスト。彼は見た目は華麗だが、ボンボン育ちで
あることが災いして(今のところは)無能な点が目立つ皇帝。
彼はもちろん、全然すごくないwラインハルト氏って
ことで、PONには脳内変換されておりましたよ。

最初のシリーズである「アウトニア奮戦記」では
完全な悪役として描かれているものの、この小説が
シリーズ化するにおよび、アリクレスト氏が単純な
悪ではなくなり、彼なりに複雑な事情を背負った人物として
描かれつつある。主人公勢力との対決の中から
帝王学を学び、それなりの王者に成長しそうな予感。

この巻、ラストの終わらせ方が秀逸。
意味は違うかもしれないが
「ポケットの中の戦争」でした。

考えたら「敗北主義者」って妙な言葉だ。
主戦論者が慎重派に使う常套句だけども、
さすがに自国が負けることを積極的に
望む人間はあんまりいないんじゃないか?
キサマ、敵国のまわし者かッとか
怒るならまだわかるけど。まあいいや。
次回はいよいよ、主人公が出現します。

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posted by PON at 21:00| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(SF) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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