「息子は父になり、父は息子に還る・・・」
いや〜、スタートは結構ワクワクでした。
前作で有名だったオープニング、キャストや
スタッフの名前がブルーの3Dロゴになって
流星のように展開してゆく。そこにジョンウィリアムスの
あの勇壮な名スコアが流れれば、まさにリターンズ。
これでいいや。おなかいっぱい。
スーパーマンはやっぱり音楽だ。
かっくいいぜ。ジョン・ウィリアムズ
<あらすぢ>
地球から忽然と姿を消したスーパーマンこと
クラーク・ケントは、自分の居場所を求めて
宇宙の果てまで旅をしていた。しかしクリプトン星
の消滅を確認し、自分の故郷は地球しかないと
悟った彼は、5年ぶりに“故郷”へ戻ってくる。
だが彼を待ち受けていたのは、あまりに厳しい現実。
永遠の恋人ロイスは婚約、幼い息子まで産んでいた。
宿敵のレックス・ルーサーもまんまと刑務所を
抜け出し、全人類を標的にした破壊計画を着々と
進めており…。
テンポ(物語の展開)が遅いのが残念。
これが難点。各シーン3〜4秒短縮するだけで
もう少し面白くなれたのに。
スーパーマンってあの赤いケイプの派手な男でしょ?
とか、彼に対する基本的理解の足りない方には、
ただ眠いだけと思われるシーン、説明不足が結構
あったのが残念。惜しい。
話のフォーマットは、第一作目を拡大リメイクした感。
スーパーマンの復帰第一戦の仕事(事件)も
パワーアップしてましたよ。
ヘリの事故から旅客機の事故へ。
ロイス・レインはきれいになってた。
彼女は劇中で
「なぜ世界はスーパーマンを必要としないか」なる
よく分からない記事でピューリッツアー賞を取ったらしい。
是非その記事を読んでみたいものだ。どんな主張を展開
すれば、そんな賞が取れるのか。マジに。
世界はスーパーマンの要らない世界へ突入。
ファンタジーからリアルへ。
名作漫画「劇画オバQ」が浮かぶ。
とにかくスーパーマン不在中、勝手に彼の戻る場所を
社会的に消去してしまった彼女だったが、
世界で一番スーパーマンに助けられたハズの彼女が、
そういう行動に出たというのは、これはもう理由は
ひとつしかないだろう。
女性というものの「さが」である。
スーパーマンが一方的に姿を消してしまい
「捨てられた」と解釈してしまった
ロイスの「嫌がらせ」だ。
自分の個人的な恨みや鬱積した感情を
社会的正義にすり替え、仕事に昇華させてしまうあたり
女性の怖さがよーく出ていると思う。
この世のどこかにまだスーパーマンがいるなら
ホントは自分らしくない、こんなめちゃくちゃな記事を
どこかで読んで、抗議でもなんでもいいから再び姿を
現してほしいという、ロイスのコドモっぽい願いが
込められているのかも(あくまで彼女の無意識下にてだが)
「さよならのひとことがなぜ言えない」
変わらない、と信じていたものが変わっている。
ロイスの言葉はもっともだが、スーパーマン、
体は鋼鉄の男でも中身は純朴な田舎のニイちゃんである。
難しかったんじゃないか。
結果は自業自得だけども。
ジミー・オルセンは別の役者になったが、
キャラは相変わらず。
大事なものはうつろいやすいのに
どうでもいい(とまでは言わないが)ものは
最後まで健在だったりするんだよなあw
ちなみに前作でのジミーオルセン役だった俳優は
今回、クラークとロイスの婚約者が立ち寄るバーの
バーテン役で出演したらしい。あんなジイサンに
なっちまったか?
「事故について」
旅客機は当然、大気圏突入性能などあるはずもない。
聞くところによれば、本来、空中一回転するだけで
機体がバラバラになる程度の強度なのだそう。
もちろん、その程度で充分なのだが、行き掛かりの
事故とはいえ、ロイス搭乗のあの旅客機はさすがに
丈夫過ぎ!
「飛行機は統計学上一番安全な乗り物なんだ」
↑また言ってるwアメリカの市民社会で飛行機は
切り離せないから下手な恐怖心を植付けぬよう、
業界から圧力でもかかっているのかも知れぬ。
毎度毎度。
スーパーマンは航空会社のスポークスマンだ
スーパーマンをリメイクするにあたり
製作者が思ったのは、公開中に大規模な飛行機事故や
連続無差別テロがアメリカで起こらないでほしーなー
ってことだったと思う。
いくら鋼鉄の肉体があってもどうしようもない
陰湿で複雑怪奇な事件が増え、スーパーマンが
嬉々として?活躍できる事件はテロ防止くらい。
スーパーマン現役中に911事件が起きてたら
スーパーマンも対応に苦慮していたと思うよ。
いろんな意味で。
スーパーマンは普段は恵まれた才能(ほっといても
全人類より強い)だけで生きているため、彼が
人間に戻った場合、普通の人よりも実は格闘能力が
低いと思われる。また、痛みに対する耐久力も
全然ない様子。彼が一念発起して生身のポテンシャルからの
底上げを図れば、今以上に鋼鉄の男になるような
気がする。今でも充分だけどね。
「狂気の黒紳士レックスルーサー」
新しくレックスルーサーを演じる
「ケヴィン・スペイシー」
おお、ジーンハックマンに似ている。
しかし彼ほど眼がおちゃめでない分、
現代的犯罪者の冷酷さが前面に出ている。
冒頭で、大富豪の未亡人に取り入り、莫大な
財産を合法的に手に入れたレックスルーサー。
確かにその行為は、残された遺族からすれば
結婚サギ以外の何者でもないが、そのセレブ婆さんが
最後の最後まで「女の喜びを再びくれて有難う」と
ルーサーに涙を流し感謝しながら死んでいったコト。
これはもう、ひょっとしたら立派な行為なのかも
知れぬ。
それくらい、彼女に愛情を持って尽くしたって事
なのだろうし。プロだ。
レックスルーサー帝国はカッコいい。
前作のコメディリリーフで間抜けな部下の
オーティスが居なくなったのは仕方ないか。
レックスルーサーを見ていて、そのうちなんか
スタートレックのピカード船長が悪いことしている
ような気がしてきた。
ルーサーが執着するのはあくまで「土地」のようだ。
以下は愛人(キティ)とのやり取り。
ルーサー「昔、親父が俺にこう言った」
キティ 「出てけ!」
ル 「・・その前だ」
キ 「はげる!」
ル 「その前!・・・土地だ」
ルーサーは、稀代の悪人に成り上がるまで
さんざん親父さんに説教やら折檻を受けただろうに
そんな憎き親父の経済哲学を、なぜか無邪気に信仰
しているあたり、ルーサーって男は非常に面白い。
キティは、優しく(おつむが弱い?)て、悪人の愛人でありながら
とことん悪には成りきれない女性だが、そんなキティの言動を
ののしりながらも許し、結構楽しんでいるようなルーサーは
不二子に対するルパンのようだ。
「かっこわるいぞレックスルーサー」
スーパーマン唯一の公式弱点「クリプトナイト」
要は爆発した故郷の星を構成してたかけら。
これが発する一種の放射能は、地球人類には無害だが
普段、地球でブイブイ言わせているスーパーマン一族が
近寄ると、とたんに弱体化するのであります。
そのかけらが「隕石」として地球に落下してたんですね。
そのクリプトナイトを悪用してスーパーマンをただの人に
してイジメ抜くレックスルーサー。このシーンだけは
さすがにかっこ悪いぞw
本人も「知力」も「暴力」には敵わない!と言い訳してたけど。
あの高さから落ちて、全身打撲、粉砕骨折にならないというのも、
まだ鋼鉄の男の残滓が残っていたからと解釈したけど・・
いくらクリプトナイトで弱っているとはいえ
そんなスーパーマンをルーサーは蹴り上げてるもんな。
ルーサーは安全靴を履いていたのかもしれない。
それでもレックスルーサーはやっぱすげー。
あのとっさの判断力がカッコよ過ぎ。
やばいと思ったら瞬時に逃げるを選択。
金ヶ崎の織田信長みたい。
いろいろあって、その後入院するハメになるスーパーマン。
彼はCIWSの30ミリバルカンに耐えられる上
目まで完全耐弾性を誇る!
そんな鋼鉄の男の肉体に、医者はメスを入れられるらしい。
これは医者(とそのテクノロジー)がすごいのだろう。
それにしてもスーパーマン。
太陽エネルギーで復活するとはね。
ウルトラマンか(納豆カズラw)か。
CGの進歩はすごい反面、画面から「重み」のようなものが
消えてしまっている。特撮(実写)では絶対に表現不可能
なビジュアルが楽しめるようにはなったのだけれど。
CGで故マーロンブランド(スーパーマンの実の親父役)が
復活。まえにリメイクした仮面ライダーの死神博士のようだ。
アメリカの片田舎でのびのびとアメリカン価値観で
育った善良なエリートが、ビジネスを通して
実社会の厳しさを知り、ついには大人(親父)に
なるまでの話。スーパーマンが青い小鳥を探したら
結局、一番身近なところ(地球)にあったって
事ですね。
展開に少々盛り上がりに欠けたけどまあいいかな。
製作者の前作(1978年版)映画への愛情は
充分感じられました。
日本語吹き替え声は「ささきいさお」さんにやって
いただきたかった。
製作年 : 2006年 アメリカ
配給 : ワーナー・ブラザース映画
監督・製作 : ブライアン・シンガー
脚本 : マイケル・ドアティー、ダン・ハリス
ブランドン・ラウス
ケイト・ボスワース
ケビン・スペイシー
ジェイムズ・マーズデ
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ラベル:スーパーマン リターンズ