(ゆうそうれきじつなし)
―監獄の格子窓に月日はない。使命という
監獄の孤独にただ耐えよ・・ってことだよ。
またまた上司から借りた小説。借りてばっかり
ですが、「面白いよ」とひとこと。
「日輪の遺産」、日輪と言えば「ダイターン3」
「日輪の輝きを借りて今必殺のサンアタック!」
ですよ。
まあ、順当に考えれば「ひのもと」日本ですな。
その遺産ですからね。しかもこの小説の発売当初、
副題に「消えたマッカーサーの財宝」とか
ついてたらしい。そんな副題考えた編集者はクビだ。
一部のコアな読者で、陰謀論とかM資金とかに
異様に興味があるヒト以外は、この時点で読みたく
なくなるよな。
いまどき「消えた財宝」なんて・・グーニーズかってのw
おかげで文庫版には、そんな副題無くなってますが。
<あらすぢ>
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したと
いう時価二百兆円の財宝。老人が遺した手帳に隠された
驚くべき事実が、五十年たった今、明らかにされようと
している。
内容(「BOOK」データベースより)
現代の「おとぎ話」ファンタジーってところか。
「おとぎ話」ってーと荒唐無稽で真面目に読むに
値しないな物語って感じに、思われるかもしれませんが、
さにあらず。読後になんかちょっぴり「元気」が
湧いてきます。そんな物語。
この小説を読めば、あなたも本当に「日輪の遺産」
の隠し場所を探しだし、生活がちょっと潤うことに
なるかもしれません。マジで。
海老沢という、社会的に潔癖症なボランティアが
でてくる。70年代の学生運動の学生がそのまま
90年代に生き残ってしまったような奴で、
ボランティアにのめり込むあまり奥さんを寝盗られ、
逃げられたかわいそうな男。こんなキャラは最後には
報われずに発狂(もしくは最初から発狂)して、
物語をめちゃめちゃにしかねない危うさがあるものだが、
この物語ではそうはならなかった。そのあたりは
やはり「浅田」流ファンタジーなんだなと感じた。
「太平洋の嵐」というマニアなら知っているゲームを
現代の子供が喜んでやっているシーンが出てくる。
きっと浅田さんが好きなんだろうな。
「これはね、日本が負けるとは限らないんだよ。
カリフォルニアに上陸しちゃったりするの」
・・そう、そうなんだけどそこまでの道のりは
容易じゃないんだな。むしろ講和結ぶ方が早いくらい。
「老頭児」と書いて「ロートル」と読ませるらしい。
そういえば何気に使っていた言葉だけども
なんか字づら的に「大陸」から軍人が輸入した言葉
なのかも知れないな。あとで調べてみよう。
後半、読んでてこっちが恥ずかしくなるくらいに
マッカーサーが日本を評価するシーンが多発する。
出来すぎな気もするが、浅田次郎さんが歴史で実在の
人物のせりふを、ああまで好き勝手に改ざんするとも
思えないので、結構本当に言い残したセリフなのかも
しれない。改めて戦後の(文字通り戦争終結後)日本と
マッカーサーという人物に興味を持った。
時間があればマジに調べてみようと思う。
今の日本に少々うんざりで、戦中戦後史に興味が
ある方にはお勧めの本。
海老沢のセリフ。
「もういいですね、これで。
僕ら、もう遺産を受け取ったみたいです」
「結論はもうとっくに出ているのではないかね?
責任の自覚、そして勇気。結論はすでに君自身の
うちにある―」
「自信は、ありませんよ・・」
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