<あらすぢ>
甲子園の優勝投手は、なぜ、
自ら「人間兵器」となることを
選んだのか。
人間魚雷「回天」海の特攻兵器。
脱出装置なし。甲子園の優勝投手
並木浩二は大学入学後、ヒジを故障。
新しい変化球の完成に復活を
かけていたが、日米開戦を機に
並木の夢は時代にのみ込まれていく。
死ぬための訓練。出撃。回天搭乗。
・・しかし彼は「魔球」を諦めなかった。
先に書くけど、話そのものはフィクション。
けれども当時、似たような青春を
過ごされた方の代表として描かれている。
海の「きけ わだつみのこえ」ですね。
PONスコープは上の下
(面白いとかそういう観点では読まなかった)
読みやすさも上々。
淡々と物語は進みます。
戦場にいると、生き死になんてのは紙一重。
どうして自分が生きていて、アイツが死ぬのか。
理由なんかない。そういう経験を繰り返していると
人間、謙虚になってゆくものらしい。
戦国武将も歴戦のツワモノほど
日常ではこの人が人を殺せるの?っつーくらい
温和だったんだとか。
勇ましいことを言うのはいつも未経験者か
後方で事情がわからない人々のみ。
人間魚雷「回天」。
海に潜っているという点で
一般に知られる飛行機の「カミカゼ」よりも
成功率は高そうに思える。
けれどもそれは大きな間違い。
実際のところ、波の高い太平洋で
敵艦を探しつつ5000メートル以上を、
むつかしい操縦をこなしながら、
進むのはほぼ絶望的。成功率の低さは
故障の多さも拍車をかける。
主人公の周り(人生)を
丁寧に描写を積み重つつ
世界は彼の壮絶な死にむかって
集約してゆく。それなのに結局彼が英雄的な
死に方をするのかと思いきやさにあらず。
まさに無駄死に。
戦争って心底そんなものなんだろう。
フィクションとして潜水艦モノの
「ローレライ」も大好きなのだが
「戦争にカッコいいことなんてない」と
戒めの意味でこういう作品も読んでおこう。
バランス取れるよ。
死に方は無駄だったのかもしれないが
それは結果であって
主人公のような死のうえに
今の日本の生活がある。
感謝しようと思った。素直に。
外見は単なる(失礼)頑固ジジイでも
実は壮絶な過去を背負っていたりして
それでも見た目は、老いた爺さんにしか見えない。
そんな爺さんは現代社会に混じって
淡々と生きている。
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