(集英社文庫)
いつもは上司からもらった(あるいは借りた)
小説ばかりを、読破&この場でご披露しているんですが
この小説なんか、電車の網棚で拾っちゃいました。
こんな本との出会いもあるんですよ。
<あらすぢ>
「自由死刑」適用者の第1号(つまりは自殺を決意した)
となった喜多善男(きたよしお)は、死ぬ日を1週間後の
金曜日と決め、限られた時間を楽しもうとしていた。
自殺を決めた日、善男はタクシー待ちをしていた男、
八代平太(やしろへいた)と同じタクシーに乗ることに
なる。見ず知らずの他人に善男は、自分が1週間後に自殺
することを告げると、八代は善男が残りの1週間を楽しむ
ために協力することを約束する。
善男は有り金を使って酒池肉林を楽しみ、別れた元恋人
に出会い、八代のコネでポルノ女優と戯れ、憧れの
アイドルと一夜を過ごす。しかし、その一方で八代は
善男を保険に入れ、殺し屋を雇って善男を殺害することを
企てていた。そのことに気づいた善男はある行動に出る。
彼に自由な死は与えられるのか。
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オトナのファンタジーというかおとぎ話ですなぁ。
後書きにあったけれど、最初はとことん
「コメディ小説」として連載開始したが
文庫に納める際の全面改定で、
結局「人生って何?生きるって何?」的な
まぢめ小説に書き改められたらしい。
時々どっちつかずの描写が見られ、なんだろなと
思っていたのだが、それで納得。
あらすじにもあるけれど、死を超越した
(少なくとも本人はそう思っている)存在って
そんなにモテるものなのか?
これまで全然モテず、地味な人生だった善男の
周囲に、死ぬと決めた瞬間、いろんな女性が
彼に心を残すようになり、さすがの彼も死ぬのを
止めようかなとすら思う瞬間がでてくる。
・元恋人
・自殺未遂の常連女
・ポルノ女優
・憧れのアイドル
・田舎の女子高生・・
昔「傷だらけの天使達」という喜国雅彦の
4コマ漫画があった。そのなかで、
女にモテたいのにまったく縁のない
おバカ男子高校生が、
「性欲があるからこんなに苦しむんだ!
神よ!こんな煩悩はイリマセン!」と願ったら
神の気まぐれで、ほんとに女に興味が無い男に。
そのとたん
「最近、あのヒト変わったよね〜
女には興味が無いって硬派なところがステキ!」
と女性からキャーキャーいわれるように
なってしまったという、悲劇を描いていたけれども。
この小説を読んでいたら急に思い出した。
まあ、それだけ。
鴨川の水の流れと、賽の目だけはどうにもならんと
昔の絶対権力者でも、そんなことを嘆いていたが
とかく「ままならぬ」のが世の中というもの。
主人公は、人生でたったひとつ、自由になるものと
信じていた「自ら死を選ぶ」という行為すら、
運命(というか作者の意思で)に遊ばれて自由にならない。
小説内で、主人公がつぶやいていたけれど
「死ぬ」という行為にすら「気力」と「体力」が
いるんだそうだ。
逆説的だけど、立派に死ぬことのできる
「気力」と「体力」がいまだ体に残っているなら
別に死を選ばなくても生きていけるってこと。
自殺はするモンではない。ホント。
ああ、小説は面白かったけれど
二度読むほどの話ではないな。
TVドラマ化狙いの小説かと。
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