講談社文庫。上司にもらった文庫です。
事前情報なきママ、またまた読書開始。
原田宗典さんは、後書き解説でも
「言葉の魔術師」とか持ち上げられていますが
さすが、文体や話の展開は上手いです。
どこかで読者をおちょくり、肩で笑いながら
一応は、まじめに話をすすめる。ときどき
後ろを振り返りながら。
その間合いを楽しんでいる作者の姿が
見えたような気がしました。
<あらすぢ>
ぼくの体に、何かとんでもない変化が起きている。
東京全都を嘔吐させるような異臭がぼくの体から
漂い始めた。原因はわからない。気弱なぼくを
信じてくれる人はたった1人。
コンピュータを自在に操る天才少年たちも仲間だ。
八方ふさがりの迷路の中で、今、ぼくのとてつもない
青春の冒険がはじまる。
内容(「BOOK」データベースより)
作者にとって、長編小説はこれが
はじめてなのだそう。
(自分も意外に思ったが、この頃までは
エッセーとか短編ばっかりだった様子)
傑作ではないが良作だと思う。
巧みに、伏線を張って丁寧に回収。
PONが感心したのは、主人公が
緊張したときにはドモるという設定に
なんでわざわざしたのか、というところ。
なるほどね。
いくら、賢いわりに不思議なところでは
ボケているヒロインでも、主人公側にも
何か「しかけ」がないと。
あのシーンで更に話がややこしく、
余韻のない終わり方になってしまうモンなあ。
うんうん。
ちょっと強引な設定や、ご都合主義的
展開もあるけれども、オヤジジュブナイル小説
だと思えば充分楽しめます。
そうか〜、そう来たか〜、と
最後までイッキに読んでしまいました。
この原田宗典さんは、いつも自分の作品名を
ひと工夫、というか、必要以上にヒネろうと
しているようにみえる。あるいはカナリの
こだわりがあるのか・・。
今回の場合は「スメル男(おとこ)」
照れ隠しなのか、卑下なのか、あまりにもストレート
過ぎるあたりが、作者流の「こだわり」なんだろう
けれど、これが裏目に出ている気がする。
正直、あんまり読む気がおこらないんだな。
この題名。
その辺が少し残念。
自分もこういった出会いでなければ、
人生の限られた予算や時間を、
こういう題名の本をわざわざ振り分けたり
しなかった思う。
好きで損しているような小説。
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