マスライです。
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太平洋戦争中の日本海軍連合艦隊
幾多の海戦を時系列順に解説した本。
とりわけ間抜けで謎とされる戦い。
「レイテ沖海戦」について。
栗田艦隊、謎の大反転。
「レイテ湾殴りこみ作戦」
ヤクザじゃないんだから・・と思うかもしれないけれど
これは戦争も末期に、エリートの集団だったはずの
旧日本帝国海軍が立てた作戦。
ホントまっとうじゃない。
簡単に言うと、たくさんの島で成り立つ
フィリピンのレイテ湾に米陸軍の輸送船団が
集まっているという情報をキャッチした日本軍。
もうその頃には、古くて足が遅くて
あんまり役に立たなかった故に
生き残っていた戦艦だけで
高倉健さんばりに殴りこみをかけようというもの。
当然、アメリカ海軍自慢の高速空母艦隊が
待ち受けているに違いない。
空母戦闘機の援護のない戦艦なんか
殺られるのを待つだけ。
だから、艦隊を二つに分けて
「おとり」艦隊と「殴りこみ」艦隊とする。
トラの子の「空母」をたーくさん
「おとり」艦隊に入れれば
米軍はそっちを追っかけるに違いない・・
おとり艦隊はボコボコになるだろうが
その間に、戦艦群で殴りこみ、デイリじゃぁぁ!
あとは野となれ山となれヨイヨイ。
トラの子の「空母」をおとりにしていいの?
という至極まっとうな疑問をお持ちの方。
いいんです。
その頃はもう発進できる飛行機もパイロットも
なかったので。
そしてようやく
「栗田艦隊、謎の大反転」の件。
栗田艦隊ってのは栗田健男提督が率いる
「殴りこみ戦艦部隊」のこと。
「おとり」艦隊が、作戦通りボコボコになって
時間を稼いでいる間、レイテ湾近くまで
なんと進入できちゃいました!
ケンカのため出払って留守の
敵側ヤクザの奥座敷にまんまと入り込んだようなもの。
あとは非戦闘員(輸送船とかタンカーとか)の
虐殺をすればよい。
このときレイテ湾の敵輸送船団をボコボコに
しておけば、米軍のフィリピンの攻略が
3ヶ月は遅れた、と後に言われている。
(それでもたったの3ヶ月でしかない・・)
戦艦大和を旗艦とする栗田艦隊は、
そこで小さな空母(護衛空母)を持った
アメリカの船団護衛艦隊を見つけ攻撃。
空母は大和の主砲でほぼ瞬殺。
まさに牛刀で鶏を割くようなもの。
・・にもかかわらず
何を思ったか、栗田司令官は
ここで全艦隊にUターンを命じ、
帰ってしまいました。
目の前に輸送船団がいたのに。
これが「栗田艦隊謎の反転」って奴です。
奥座敷の入り口で、命がけのピンポンダッシュ。
このとき、栗田提督が何を考えて反転命令を
行ったのか、戦後も生き残った提督は結局
何も言わないまま逝去されたので、謎とされている。
後からなら結果論として色んなことが言えます。
この謎の反転は、後の歴史家や光栄マニアw
からさんざん批判されることになりますが・・
いったい、栗田中将は何を考えていたのでしょう?
1)本当に戦争が下手な人だった?
暗闇の中、さらに目隠しされて
どこに穴ぼこがあるか分からない場所を
宝物を抱えて進むことになったとき、
あなたはどうします?
2)栗田提督が馬鹿な作戦に反対
最後の抵抗を試みたから?
この頃にはさすがの日本軍も、大和1隻より
空母(飛行機多数)の方が強いこと。
空母なしで戦艦が行くのは物が落ちてくるところを
裸で歩くようなものと認識してました。
戦艦艦隊が輸送船団ならびにフィリピン上陸中の
米軍を叩くことはできるが、おとり艦隊を攻撃している
米主力艦隊(含む空母)が戻ってきたら
全滅は間違いのないところ。
それがいつ戻ってくるかなんて解りません。
まさに神経衰弱戦。そんななか
部下を1人でも多く生きて帰そうと考えた?
3)「疲れてどうかしてたんだ・・」
と親しい記者にだけ、こぼしたことがあるそう。
(後にそんな発言していないと言ったそうですが)
案外、これが本音だったのかも。
自分も、なんで湾に突撃して一隻でも
多く沈めないんだ!と、無責任に思った時も
あったけれど、考えてみれば、死ぬほうとしては
たまらん話。
彼が馬鹿な作戦に反対して、あえて汚名をかぶり
艦隊を反転させた、というの考え方も有りでしょう。
責任を一身に背負って逝ってしまった栗田中将。
死ぬことも責任のとり方かもしれないが
生きながらにして黙して一生を終えるのも
また責任のとり方。
一方、勝算度外視の突撃といえば
日本一の武士、真田幸村。
雑兵(庶民)にとって武士階級ほど
滑稽で、迷惑で、益にならない存在もない。
死ぬなら1人で死んでくれってのが
雑兵の本音だろう。
実際、名が残ったのは幸村だけだし。
勝新太郎の映画「雑兵物語」
戦国時代のしたたかな農民兵(雑兵)の話。
コレに、ヤギのユキちゃんみたいな
アゴ髭の老「騎馬武者」がでてくる。
「貴公(勝新)はさっきから勇敢に闘ってる様子。
よし真の武士道を見せてやる!共に死のうぞ!」と
老体に鞭打ちながらフガフガ戦っていたけれども、
エライ奴に目をつけられた・・勝手に死ねば?と
勝新が呆れるシーンの記憶がある。
その横で雑兵たちは、なるほどなるほど
それはぜひご教授ください、と言いつつ
テキトーに受け流し、
雑兵には敵にも味方にも死人が出ない。
まじめに死ぬのは武士ばかり。
「真田幸村」も、この老騎馬武者のようなもの
だったのかも。
そして栗田中将も、そうなる可能性が充分あったが、
自分の名誉を捨て、本来なら死んでいたかもしれない
何百人かの部下の命を未然に救い、 自分は
黙っていたのかもしれない。そう思っておこう。
あれ?本の紹介がまだですが・・まあいいや。
そういう本です。
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