「ミスト (ネタバレ)」
スティーブン・キング原作
「グリーンマイル」フランク・ダラボン監督
の「ミスト」観ました!
たまにはB級を・・と思って嫁の目を盗んで
借りてみましたが、これはアタリ。
個人的に「スティーブン・キング」作品は
日本の小松左京氏に近いと思ってまして
発想は凄いんだけれど、どうしてそうなったのか
といった理由はいつもほったらかし。
でも理由なんかどうでも良くって、その
「異常な環境における人間群像」を
彼らの無常観から書きたいんだと思ってる。
その意図を汲まない映画関係者が仕上げると
彼ら原作の映画は単なるバカ映画になってしまう。
つまり彼の名前が冠の映画は、要注意ジャンル
と認識だったのです。
<
あらすぢ>
激しい嵐が街を襲った翌日、湖の向こう岸に不穏な
霧が発生していた。デイヴィッドは不安に駆られ
ながら、息子のビリーを連れ、隣人の弁護士ノートン
と街へ買い出しに向かう。3人がスーパーマーケット
に入ろうとすると、店内は大混乱。外では軍人が
歩き回り、サイレンが鳴り続ける。すると、ひとり
の中年男が叫びながら駈け込んで来た。
「霧の中に何かがいる!」と。
店外を見ると深い霧が駐車場を覆っていた!
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「サイレントヒル」的世界と「
クトゥルー神話」が
好きな方なら、鉄サビこそないけれどオススメ。
知らない役者が多いので、かえってアメリカの
田舎町っぽさが感じられてまたよし。
フランク・ダラボン監督って監督実績は作品
少なめで、そのわりに今回、手堅くまとめているんで
凄いなと思ったんですが、どうやらその筋には
知る人ぞ知る存在のようで。監督業の前は脚本家として
以下の作品(一部兼業もあり)がありました。
ビックリ。
自分もほとんど観ている。
グリーンマイル(1999)
ショーシャンクの空に(1994)
フランケンシュタイン(1994)
ザ・フライ2 二世誕生(1989)
ブロブ 宇宙からの不明物体(1988)
エルム街の悪夢3 惨劇の館(1987)
・・さすが、よく判っていらっさる。
同業が作る膨大な数の駄作映画を見続け
自らもいろいろ手がけた結果として
今(というかこの映画のオチ)があるわけだ。
以下、
ネタバレ全開、チャクラでGO!
この手の映画を楽しめる方で、残念ながら
未見の方は本当に読まないでください。
いいですか?では観られた方だけに。
・「
アローヘッド計画」
実はこの世は異次元に囲まれていて、それに気がついた
科学者が窓から外をのぞこうとして失敗、窓が玄関に
なってしまったのがそもそもの始まりであるらしい。
黒人MPが「俺達のせいだ。すまない許してくれ」と
いって死んでいったり。
いいねえ、この小細工、世界観を小出しにする辺り。
政府と科学者が組んでたくらむことってヤツァ
いつも民間人には噂でしか伝わらず、真相もわからず
じまい。なのに真っ先に被害を被るのもまた民間人・・
という構図。
・この映画の肝は、平時には見えないビミョウな人間
関係でなりたっている田舎の平穏も、実はとても脆く
結局人の敵は人なんだという、ミもフタもない自滅を
描くところにありやす。
・緊急事態のときこそ生き生きとする基地外宗教ババア
(ミセス カーモディ)の演技が圧巻。
助かりたければ祈る前に行動すべしと
考える主人公のような人間を、現代文明の象徴、傲慢な
存在と決め付け、神に許しを乞うために贖罪やら生贄と
いったイベントに存在を見出すメイワクな奴。
・主人公の奥さんに代わってヒロイン役の
高校教師アマンダ・ダンフリーを演じていたのは、
映画「サイレントヒル」で婦人警官シビル役の
ロリーホールデン。
シビルベネットってサイレントヒルのゲーム展開に
よっては殺しあう婦人警官でしょ?ゲームでの顔は
顔ヤセした「キャメロンディアス」って感じでしたが。
最近の女優さんはコダワリが無いのかな。
ひとむかし前の女優ならば安っぽいイメージ定着を避け
イロモノ映画にはそんなに出たがらなかったのに。
昔、ホラー映画ヒロインといえば、
ジェミー・リー・カーチス だったりしたが。
・スーパーの一見冴えない副店長の存在もよかった。
ちんちくりんのでこっぱち。でも州射撃コンテスト
チャンピオン。流れ流れて田舎のスーパーでこき使われ・・。
でもそれが人生かも知れん。軍隊でもない限り
射撃がうまくってもそれだけじゃあ食っていけないから。
・理性派(黒人弁護士派)→真っ先に全滅
中道派→主人公+話のわかる方々
基地外派→宗教ババアとその郎党
・主人公と高校教師と「でこっぱち」が言い争う。
一言で言えば、基地外宗教ババアに精神汚染されつつある
その他大勢は見捨て、余力があるうちに
マトモな連中
だけで脱出しようという話に
高「人は生まれつき善良だわ」
主「都市が機能していたらね。ひとたび暗闇におかれると
無法状態になる。人は生まれつき異常な生き物だよ」
で「部屋に二人以上いれば最後は殺しあう。
だから政治と宗教があるんだ」
高「あなた達は間違っているわ!」
この期に及んでまだキレイ事の高校教師。
対するでこっぱちの台詞、あの時は聞き流したんだけども。
今思い返せば伏線だった。
まさか、でこっぱち副店長の前歴は
某ランボー氏の同僚だったりして。
・主人公の一群が多数の犠牲の元、必死に乗り込んだ車で
スーパーの居残り組(もう絶望しかないその他大勢)の
前をワザワザ横切ってゆくシーンが印象的だった。
よくある映画では、未来を切り拓くことのできる理性的で
行動的な人間(多くは主人公、ブルース・ウィルスか
トム・クルーズが演じるに違いない)が、行動の結果
勝利をもぎ取って行く。そんな彼らが、反対だけはするが
足を引っ張り続ける民衆に見せ付けている、精一杯の
嫌がらせと感じていたのだが・・。
すぐその辺を怪物がウロウロしているんだから
そんな間にさっさと逃げ出せや!と若干イラっときたけど
このシーンって結構重要だと後になって気づく。
約束しまくる(主人公)お父さん「約束する おまえを連れて一緒に家に帰る」
「お父さん、ひとつだけ約束してくれる?」
「なんだい」
「僕をかいぶつに殺させないで」
「・・わかった。約束する」
・・子供は父親に「最後まで責任もって守ってくれ」と
言いたかったのかと思っていたら。
これまたうーーん。
・元教育者の理性的なバーさんがカッコよかった。
たぶん、女性ながら地元の中学の校長まで勤め上げ
地元の元悪ガキ、現ブルーカラー労働者の
ひとりひとりを覚えており、彼らも彼女には
頭が上がらない。あんなことがなければ、単に
ガンコで厳しい、近寄りがたい婆さんとして
煙たがられていたに違いない。
・ジム・・こいつこそが地元の学校卒業、地元のオヤジ
労働者代表。そんでもって一番困った奴。でも一番
そこらにいるアメリカ人の代表のような気がする。
ガンコで街で暮らす人間(多くはインテリ)に
ひがみ根性を持ち、強いものに「こびる」・・。
最後は狂ってほんとメンドクサイ事になりましたが。
・ジョー、ボビー、マイク 死亡要員。
・ヒッピー崩れのオヤジ。やせたハルクホーガンみたいな
(口ひげを生やし、頭にはバンダナ。そとの駐車場には
ピックアップトラックかイージーライダー的バイクを
駐車させているに違いない)
彼が宗教基地外ババアに残したセリフ。
「そこのババアよ。俺も神を信じてはいるが
俺の信じる神はおまえが言うほど
血に飢えた存在じゃない」
・・溜飲が下がるセリフではありましたが、
裏切られましたね。神に。この世界の神は
「クトゥルフ神話」の旧神でした。
・主人公の車の後方から軍の戦車が来たわけだから
軍はこれから救援に向かうのではなく
怪物渦巻く内部を制圧しつつ、脱出している
しかもその
行軍の整然さは明らかに「勝ち戦」であり
さらには手際のよさからしても、軍は過去に何度も
こういった
「異次元ハザード」を経験しており、その
ノウハウが蓄積されているということ!
一体、何人の市民が死んでいるのか!
バイオハザードのラクーンシティや
バタリアンのあの街だけではないんだ。
・怖いぜ。軍(と連邦政府)
黙って何かをしでかしてしまうのも「軍」ならば
妙なところ市民の知恵を超えた危機管理体制
を持ち、文明社会の象徴なのも「軍」
メリケン市民にとって「軍」とは矛盾した存在なんだ。
・ラストの壮絶なシーンにかかる古代異民族の宗教音楽
みたいなのがグウ。
・もう一度は観たくないな。詰まらないからではなく
映画の中であの宗教ババアに付き合うには
ちょっと辛すぎる。
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posted by PON at 21:00| ☔|
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