2009年10月06日

「半落ち」横山秀夫

「半落ち」横山秀夫

「人間 五十年 化天のうちを比ぶれば
 夢幻の如くなり・・」
敦盛

相変わらず、横山さんの小説は
とっても読みやすい。
気がついたらこの人の作品読むの
コレで三作目。
・クライマーズハイ
・出口のない海
そしてこれ。
昔「寺尾=ルビーの指輪=聡」主演で
映画化され、嫁さんと観に行こうかなんて
話しているうちに上映が終了してしまったヤツ。

「半落ち」・・犯人が己の罪を認め、なにから
なにまですべて自供する状態をギョーカイ
用語で「完落ち」というらしい。いつも、
こんな犯人ばっかりだったら世話ないが、
事件そのものについては協力的で積極的に
自供する、どこか引っかかる、何か隠している
事件の一番大事なところを隠すために
協力的なんではないか?プロの取調官が
そう思ってしまうような取調べ状態が「半落ち」

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、
アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。
動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首
までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。
梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、
その胸に秘めている想いとは―。
日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。

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・「取調べ」から出世したエリート刑事
 「取調べは一冊の本だ。被疑者は自分の物語を
  読んで欲しがっている」
 
・教生時代からカミソリといわれた辣腕検事
 「検事さん、あなたは誰のために生きているんですか―」

・傭兵(中途採用)故、特ダネねらいの新聞記者
 「東洋の人間になりたければ書け・・」

・都落ちをしてイソ弁(居候弁護士)で燻る弁護士
 「外れちゃった・・」

・梶聡一郎と同じように介護で悩む裁判官
 「梶の行為が優しさなら、そんな優しさは
  この世にいらない」

・収監された刑務所の刑務官
 「死なせない・・」

さまざまな年齢の彼らが、それぞれの立場から、
事件に触れることになり、その中から、主人公
「梶聡一郎」の生き様が浮き彫りになってゆく。

エリートだろうと人を裁く身であろうと、生きてゆく
以上、いろんな事情を抱えており、背中で泣きながらも
感情をおくびにも出さず、日々の現場で戦っている。
そんなプロの(おとこ)達の、一つの事件を通して
感じ取った「想い」のリレーが、最後の最後に
収斂されてゆく様は圧巻。

「ひとつくらい・・(仕事での)自慢話くらい
 持っていたい―
 そうとも。自慢話すら持たない男の老後は
 憐れに決まっている」

いろいろある。
人生色々あるよ。うん。



・・まあ、主人公が多少「出来すぎ」という感も
否めませんが(まいどまいど悪い癖で申し訳ないw)

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ラベル:半落ち 横山秀夫
posted by PON at 21:00| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(ミステリ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする