幻冬社文庫
梁石日氏の小説は、前に「カオス」を
読んだけれども、その内容があまりにも
ギラギラして、心が落ち着くことが無く
読んでいるほうの気持ちが
どこかギスギスしてきてとにかく疲れる。
爽快感もなければ、ほんわかした気持ちも残らない。
読んでいる間はずーーと、ゴミため、もしくは
痰ツボでも見せつけられている感じがする。
凄い力量の小説家だとは思うが、まったくオススメ
できない。
読むときは自己責任でお願いします・・。
<あらすぢ>
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、
もはや生きているだけの屍と化していた。実父
にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の
富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。
アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。
幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する
冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の
恐怖を描く衝撃作。
この本は、東南アジア某王国を舞台に
その厭なところ、普段日本人が目を背けまくっている
児童買春、臓器売買、殺人、暴力、ドラッグ、
エイズなど、語句を並べるだけでウンザリしそうな
ヤサグレまくったアジアの状況を、あくまで小説
として書きなぐっている。小説という形を取らないと
世の中に出せない内容だからだ。
全470ページのうち、200ページ近くを割き
ペドファイル(幼児愛好)の現場の実態を
さも見て来たかのように記述されている。
(ほとんどその手の方へのピンク小説!!ですら
あるかも知れない)
主要登場人物(無論日本人)が動き出すまでに
200ぺージかかるのだ。
キツイ。エグイ。ホントにドラマ化したのなら
200ページ以降でないと放映もできないような
そんな描写が続く。
小説中に、心臓移植しか救える道の無い
10歳の男の子を持つ日本人家族が、
正規の順番待ちでは、間に合わないという
焦りから東南アジアの違法ルートを選択する。
「じゃあ、あなたが私の子供を
救ってくれるんですかッ??」
「金さえ払えば何をしてもイイという資本主義」
小説に出てくる人間、特に最下層で犯罪に
関わるしかない人々のことを、ココで悪し様に
言うのは簡単であるが、もし自分がアノ国の
貧民層に生れ落ちてしまった場合、
青臭い学生じみた正議論からをぶち、
偉そうに闇勢力に対抗できるだろうか?
むしろ、中途半端に如才があった場合
「食べるため」と称して積極的に闇の側で
活躍してしまうかもしれない。
今の自分が、まがりなりにも人並みに教育を
受けて家族と暮らしていられるのは、
自分の能力というよりも、それを
(少なくとも表向きは)実現することの出来る
社会(国力)を持った国に生まれたからに
過ぎないのではないか?
そんな当たり前の事を再確認させられた。
日本をそういう国にしてくれた先人達に感謝。
小説のオチには(想像ついたけれど)ビックリ。
でもあれが現実だと思う。
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