先日、レンタルで見ましたよ、ついに。
バットマンシリーズを愛し、丁寧に
見続けてきたファンにはミドコロたっぷりで
更にバットマンの世界が広がり
よろしいのではないのでしょうか?
セリフが粋で、展開もスピーディ。それでも
盛りだくさん過ぎ、単にエンターテイメント映画と
捉えた場合ちょっと長く感じましたが
楽しめましたし、所々唸るものもありました。
<あらすぢ>
ゴッサム・シティーに現れた最悪の犯罪者ジョーカー
彼は、マフィアたちに成り代わってバットマンを
追い込む“ゲーム”を開始。それは
「バットマンが正体を明かさなければ、毎日市民を殺す」
という卑劣なルールで、戦いの中ゴードン警部補も
凶弾に倒れてしまう。ブルースは遂にバットマンの正体
を明かすことを決意。記者会見に登場しようとするが、
それを制したのは新任検事で“光の騎士”と慕われる
デントの意外な行動だった……。以降盛りだくさん。
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スタートから銀行強盗発生。大事件なのに澄ました顔の
銀行支配人?が登場。何かしらやらかしてくれそうな
期待をしていると、無計画に銃を乱射、いきなり殺られる。
なんだコイツ?と思ったけど、この銀行そのものが
裏社会と繋がっている、つまり暴力団のフロント企業
である描写がしたかったんですね。
表は銀行の支配人だけども、そんな彼すら裏稼業出身。
「ジョーカー」からすれば時代遅れの悪党に過ぎない・・と。
彼が死ぬ間際に口にします。
「昔の悪党には信念があった。名誉や敬意を信じていた・・」
「死ぬような目にあった連中はみなイカレている」
ティムバートン版バットマンではジョーカー誕生の
いきさつが丁寧に描写してましたが、この作品では
本人のたった一言で、ほぼジョーカーという存在を
説明しきってます。
ジョーカーの怖さを知る、組織のボスは語る。。
「世の中には、金では動かず、理屈で理解できない
悪もいるもいるんだ。そんな奴には交渉も成り立たない」
「ダメだ。おまえ(バットマン)とは取引できない。
おまえはルールを守る正義の味方だ。
だがジョーカーはその正反対。怖ろしくて裏切れない。
奴のような敵とは理性では戦えない」
「憎しみには耐えられない。
バットマンの限界だ・・」
「憎しみの力」が人間を転落させる近道と
ジョーカーが言ってるが、それってシスの教えだね。
自警市民ってそんなにイケナイ存在なの?と問われれば
おそらくマズイんだろうな。バットマンが正気を保っている
ウチはいいが、彼が道を踏み外したとき、犯罪者よりも
脅威となって権力にはむかってくる場合もありうる。
人を傷つける権利は自分たちだけが持っていたい・・
というのが権力側の本音なんだろう。
それにしても過去にとんでもない経歴を持つ
伊達に生きていない、役に立つジジイってカッコいい。
(年をとってさえいなければ、それぞれの時代で
主人公になっていそうな能力を持つ方々)
大好きだったコミック「稲中」にあった話。
前野とか怖いもの知らずの馬鹿厨房にいい様に扱われ
怒った爺さん達が
爺A「貴様ら、少しは年寄りをいたわらんかい!」
爺B「ワシら、エバれるほど大した人生送ってないやん・・」
全爺「泣・・・」
執事のアルフレッドはもとより、モーガンフリーマン扮する
元エンジニアのウェイン商事社長とか。
(古いところではダイターン3のギャリソン北村とか
キャッツアイの3姉妹を支える永石さんとかも)
ウェイン商事社長の存在からして、バットマンリターンズの
完全な続編なんだな。
地方検事って、アメリカの司法制度はよく判らんのだが
選挙で選ばれんのか。
GCPD本部長の対処療法は酒というシンプルさ。
「猫には強いニューバットマンスーツ」
開発者の言い草がカワイイな。
これまでのシリーズの中で、既に観客が驚くような
要素はやり尽くした感もあるが、そのなかでも
とにかく人と違うことをやってみよう。
マニアも満足、一般人もそれなりに理解ができる
そんな映画をムリに目指したといった感じ。
そんなめちゃくちゃな理想がある程度実現できた
稀有な映画だと思う。
それにしてもバットマンは本当にヒネテいる。
バットマンもジョーカーと同じくらい
狂っていないとできない商売だ。
携帯電話と潜水艦ソナー技術を応用して
居ながらにしてあらゆる情報をキャッチできる。
一瞬の判断ミスが取り返しのつかない結果招く戦場で
すべてを把握できる存在こそ最強。
それにしてもすげー。MGのようなゲーム世界が
映画とはいえ再現。緊急避難的ながら(それは神の領域
一般民がタッチしていい技術なんかではないと
いうようなことをモーガンフリーマンも言ってます)
クライマックス。ジョーカーの仕掛けた心理戦
のなかで、カッコいいな!黒人の囚人。
結果的には何も起こらなかったあたり
ゴッサムシティの市民は、コトの行きがかり上
立場が市井人だったり囚人だったりするけど
その心の根底はまだまだ捨てたモンじゃない。
苦悩しながら、天使にも悪魔にもなれる、それが人間。
その両極端な存在「バットマン」も「ジョーカー」も
ゴッサムシティには不要、つま弾き者なのだ。
薬と毒は表裏一体。健康体にはどちらもいらない。
それは「ジョーカー」が一番理解している。
「俺もおまえもフリークス(バケモノ)
用済みになったら社会から捨てられるしかない」
バットマンもジョーカーも光の騎士=デントも
社会への出力方法(関わり方)が違うだけで
はみだし者という点では共通してたんですね。
同類なのです。
被害者にもなりますが、各所でしたたかに生き
最後に地上に立っているのはゴッサムシティの
市民達ってことで。
黒澤映画「七人の侍」のラストと同じです。
絶対的な悪がいたら苦労しません。
(ジョーカーは理性のない悪に見えますけど
映画的に必要なんで誇張しているに過ぎず
あれが宗教とか理念あるいは復讐に狂えば
現実世界でいえばテロリストでしょう)
「自分がほんのちょっとこれくらいやっても
たいして影響はないだろう・・」
市民はみんな社会正義とかいう、あいまいな理念ではなく
各人の社会から見れば小さな理由、当人から見れば大きな
理由のもとに生活し、各人が見えないところで
少しだけ道を踏み外した行動を取る。
それが重なったとき、正義陣営にとっても
悪にとっても、想像のつかない結果を生み出すわけで。
環境破壊問題と一緒。
みんなワル。みんなエゴ。
やっぱ一番スゴイのはジョーカーだが
彼の部下達はみんな「精神病患者」って設定を
公にできる、この映画のダークっぷりも
結構なもんだと思うぞ。
製作年 : 2008年
製作国 : アメリカ
配給 : ワーナー・ブラザース映画
監督・脚本 : クリストファー・ノーラン
出演 :
クリスチャン・ベール
ヒース・レジャー
アーロン・エッカート
マギー・ギレンホール
ゲイリー・オールドマン
マイケル・ケイン
モーガン・フリーマン
「「真実」がいつも最善とは限らない。
彼はヒーロー(英雄)なんかじゃない。
ダークナイトだ」
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