2010年01月18日

「時空のクロス・ロード 最終譚」 鷹見一幸

「時空のクロス・ロード最終譚― 
 一番列車は朝焼けに」
(電撃文庫) 鷹見 一幸

・北斗氏からお借りした小説最終章。

時空のクロス・ロード1
 〜主人公:木梨 幸水 
時空のクロス・ロード2
 〜主人公:朝霧夏実 
時空のクロス・ロード3
 〜主人公:楠本ショウ 

そしてコレ・・
時空のクロス・ロード最終譚デス。 

あらすぢ
世界中を襲った熱病「三日熱」の猛威から4年後―。
生き残った者たちによるコミュニティが各地に生まれ、
社会には少しずつ秩序が戻りつつあった。そうした
コミュニティの一つ前橋キャンプのメンバー・和彦
には夢があった。
鉄道マンを目指していたあの頃のように、再び
鉄道を走らせたいという願い。それは再び世界に
平和が戻った証しになるはず!夢を実現するために
エンジニアの楠本ショウや仲間達が集結する。
だが、実現にはいくつもの大きな障害が
立ち塞がっていて―!?「向こうの世界」
のその後を描く『時空のクロス・ロード』
感動の最終譚。
内容(「BOOK」データベースより)

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鉄道賛歌だ。

これまでの三作とは違い、主人公が最初から破滅した
世界の住人。いかにしてあの世界が崩壊して
いったか、主人公の父親(鉄道マン)や、家族、
主人公の想い人との交流を通して描かれる。
世界が崩壊していく様を詳細に描いており
そういった黙示録的SF的設定が大好きな方にはグウ。
そんな中、子供しかいなくなってしまった世界で
人間社会を取り戻すために、
まず「鉄道」を復活させようという、彼らの物語。

「理想という名の高所にある光は、進むべき
 先を照らしてくれるかもしれないが
 足元の茨の道までは照らせない・・」

おお、と思う言葉も随所に。
しかし、それぞれの言葉は、そのキャラの
血の通った発言というよりも、どこからか
引用してきた言葉を、ところどころで
発言させているって感がどうしても否めない。

説明的セリフが多すぎることや、リアリティの
ため、ディティールにこだわって妙に豆知識を
披露することに夢中になりすぎ、
作者自身が、作品全体の俯瞰というか布石を
忘れてしまい、なんか結局ノベタンな展開に
終始するあたりは相変わらず。

自らを「雑文家」と称している限り、いつまでも
この作者に小説は書けない気がする。
世の鉄道マンが「時間通り正確に動いて当たり前」
「誰も褒めてくれない」職に、ひとりひとりが
黙々と従事していられるのは、その職業が
「好き」で「誇り」を持っているからと、
本人が作中で書いているように、自分も小説家の
ひとりなのだと自覚すべきだろうと思う。
たとえそれがラノベジャンルであっても。

いいところもありますよ。シリーズの前の作品群と
比べると、グッと文も読みやすくなっているし。

それにしてもどうしてこう、自分はこの作家に
対して否定的見解ばっかり述べるかなあ(苦笑)
ごめんなさいね。>北斗氏。

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posted by PON at 21:00| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(SF) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする