「K・Nの悲劇」高野和明
高野和明 講談社文庫
上司からもらった一冊。
高野和明氏の作品といえば
「
グレイヴディッガー」と
「幽霊人命救助隊」が既読です。
「幽霊〜」は面白かったので
続けて読んでみました
・・
が<
あらすぢ>
内容(「BOOK」データベースより)
若くして成功した夫との新しい生活。だが予期せぬ
妊娠に中絶という答を出した時から、夏樹果波の心に
異変が起こり始める。自分の中に棲みついた別の女
―精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。
治療を開始した夫と精神科医の前には想像を絶する
事態が待ち受けていた。乱歩賞作家が描く、
愛と戦慄の物語。
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うーーん。面白かったし
読後感もなかなかなのだが・・
たとえを選ばず書きますけど、
われわれが普段は意識的に目を逸らしている
「タンつぼ」(肥溜めでも可)を
ずーーと見せつけて、自分達の生きている
この社会の薄汚れに気がつきなさい、
もっと問題意識を持ちなさいと
揺さぶりをかけられたような、そんな小説。
日頃は日本人が目を背けている部分
見ないことにして忘れたフリをしている部分
そこに敢えて焦点を絞った話。
それだけじゃ誰も読んでくれそうにないから
エンターテイメント風味で味付けしてみた。
「幽霊人命救助隊」と同じ。
根底に流れるテーマは非常に重いのだが
それをエンターテイメント小説として昇華してしまう。
その手腕はさすが。
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「医学はまだ、女性の体に生命が宿るという
現象を解明しきれていない。
母体の中で発生した胎児という異物に対し
どうして免疫システムが寛容に振舞うのかさえ
分かっていないのだ」
「薬によって抑制できてしまう人の心―
神経細胞というたんぱく質とその間に流れる
電気信号に過ぎない。精神活動とはすべて、
物質の相互作用に他ならないのだ・・」
「修平は、女という性に震撼した。
男の内面をいともたやすく見抜き
弱みを知りつくし
被害者であり続けることで加害者へと
変貌してゆく女という存在・・」
「男女が出会い、小さな細胞が結びつき
新たな生命が生まれる。それは心霊現象と
同じくらい神秘的なことだった・・。」
・・うーーん。平和に暮らしていたい人(特に成人男性)
にはお奨めはしません。
ティーンエイジ〜20代前半で都会の夜の生活を
限りなく謳歌している人たちにはいいかもしれない。
あの人たちが小説を読むかどうかは疑問だけど。
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posted by PON at 21:00| ☀|
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