熱烈なスタートレックマニアのことを
本家アメリカではトレッキーと呼ぶ。
日本でもスターウォーズマニアと並び
結構存在するようだ。そんな方からみれば
鼻で笑われてしまうが、自分はスタートレックの
TVドラマ版は一度も見ていない。
(ピカード船長のヤツもだ)
折も折、1977年のスターウォーズブーム。
ご多分に漏れず、宇宙船がガンガン出てくる
SF映画ならなんでも観たい!と飢えていた
子供時代に「スタートレック」映画第一作と出会った。
以来、カーク提督が出てくる映画シリーズだけは
律儀に全部鑑賞してきた。
TVドラマの製作は1960年代。
当時、邦題を「宇宙大作戦」として放送されたように
SFをイロモノとしかみられない日本のTV局と
世間一般のSF作品に対する姿勢がわかる。
自分としても惑星連邦宇宙艦隊の制服を
未来的というよりは、アメリカのバタ臭さと、
妙な貧乏くささを同時に嗅ぎ取ってしまったくらいだ。
(TVシリーズは観ていなかったけれど、当時
所持していた「SF大百科」などでグラビアは
頻繁に目にしていた)
それと、どうしてもTVシリーズであるから
予算の都合で、映画のような派手なドンパチ
(宇宙戦争)は少なく、そうなると必然的に
地味に展開する室内劇や、アメリカならば
すぐ撮ることのできる郊外の岩砂漠での
怪人のような宇宙人との息詰まる射撃戦・・
なんかがドラマの主流だった様子。
こういう映画には、やっぱ宇宙船同士の射撃戦を
(艦隊戦ならなお可)期待してしまうだけにね・・。
要するにスタートレック(特にTV版)は
「貧乏くさいSFドラマ」ってイメージが
どうにも拭いきれなかったのです。
ファンの方、ああごめんなさい。
<あらすぢ>
巨大な謎の宇宙艦により宇宙艦隊士官だった父を
幼い頃に亡くしたジェームズ・T・カークは酒と
ケンカに溺れる荒れた日々を送っていた。
ある時、バーで騒ぎを起こしたカークに、
パイク大佐は、君の父親は12分だけ艦長だったが
800 名の命を救ったと語り、宇宙艦隊アカデミー
への入隊を勧める。
アカデミー在学中、ヴァルカン星からの緊急救助
要請が発生、カークの同期生らも急きょヴァルカンに
向かう艦隊に召集される。カークはコバヤシマル
テストの不正により謹慎が言い渡されていたが、
マッコイの機転によりパイク大佐指揮する
U.S.S.エンタープライズに乗り込むことに成功する。
同期のウフーラの他、スールー、チェコフらも
乗り込んでいた…
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うおー、おもしれー。
やった。こういうの観たかった。
映画版のカーク提督だけを見ると、5年の深宇宙探査
を成し遂げた稀代の英雄、経験豊富で落ち着いた智将
と見えなくもない(パトカーアダム30の影響に加え
吹き替え担当「矢島正明」さんの功績も大)
が・・そんな見た目に騙されてはいけない!
実はカーク提督って「よーく考えてから行動」派
というよりは
「ヤマカンで暴走(主人公なんで)結果オーライ」派
なのだった。いつも。
それを理性面から止める役が「ミスタースポック」の
筈であり、そればっかでも物語として面白くないから
もうひとりの
感情論者「ドクターマッコイ」が最終的にスポックをも
丸め込み、全体としてはやっぱ暴走するという図式。
そういえば、人気急降下いよいよ予算ジリ貧時代の
オリジナルTVドラマ最終シリーズ時代の
カーク船長など、もはや任務そっちのけで、
毎話出てくるゲスト女性キャラを片っ端から
口説きまくっていたという。
(それが異性人でなくてもまったくかまわないらしい
なんという博愛主義)
「カーンの逆襲」とか「Mrスポックを探せ」とかで
ちょっと触れられていたけれど、船長は子供を
作りながらも、奥さんと熟年離婚?している。
つまり、感情150%行動派の船長は、今も昔も
人間的に成熟しているわけではなく、軍人としても
間違っても「智将」なんかではないんだな。これが。
ヤングカークがあんなに「やんちゃ」なのも、
うなづける話。
(PONの好きなスタートレックの名パロディ映画
「ギャラクシークエスト」ってのがあるが、
アレに出てくるスチャラカ船長こそ、カーク船長の
本質を忠実にトレースしていたのかもしれない)
カーク提督は5年間もの深宇宙探査を成し遂げた
英雄なわけだが(逆に言えば、5年もの間家庭を
ほったらかしにしていた・・ともいえる)
後の惑星連邦艦船はいちおう軍艦なのに
クルーの家族まで一緒に乗せて遠距離航行に
出かけるまでになったのは、カークの家庭的悲劇を
繰り返させないようにと艦隊司令部が配慮したから
なのかもしれない。
将来、英雄になると解っているキャラと
その仲間たちの出会いを神の視点から
フカンできるってのは、やっぱ気持ちいいね。
多分に「ご都合主義」の展開は見られるけど
(カークが追放された先に例の彼がいるあたり
なんか・・リアル人生ではそれを「運命」とか
呼んだりしますが)
まあ、もはやお約束って事で。
前情報なしで観たんで「レナードニモイ」さんが
出てきたときは嬉しかったですねえ。
地球人類と違い、バルカン星人は長寿だから
なかなか死なせてもらえない様子。
カーク提督とかが、ピカードと協力しながらも
その一生を終わらせたのに、彼は惑星連邦の
ご意見番っつーか知恵袋として、宇宙を
駆け巡っていた様子。ご苦労様です。
カークとはすべての意味で水と油なスポック。
そのすべてを抑え、カークの出来すぎな
ナンバーツーにそして無二の親友となって
宇宙を救ってきたか。
その経緯が明らかになる。
コバヤシマルテストの件が映像化されたのも
嬉しかったなあ。
ウィノナ・ライダーが
ヤングスポックのママ役だったのが驚き。
そんなところで何してんの?
【スター・トレック】
Star Trek
監督 J・J・エイブラムス
脚本 アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー
出演者 ジェームズ・T・カーク - クリス・パイン
スポック - ザカリー・クイント
公開 2009年5月8日
上映時間 126分
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