2011年12月07日

「転生」貫井徳郎

転生 (幻冬舎文庫)/貫井 徳郎

これはブックオフ100円で購入したもの。

著者名・・なんか聞いたことある
書名・・知らないけど厚みがあるし
    読みきりだし。
そんな程度で購入。これまでは結構
アタリが多かったのだが・・。
まずは読んでみる。すべてはそれから。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
自分に移植された心臓は、ドナーの記憶を
持っているのか?移植手術を受けた大学生の
和泉は、これまでとは違ってきた自分の趣味
や嗜好に戸惑う。
突然夢に現れた恵梨子という見知らぬ女性の
存在も気にかかりながら心惹かれてゆく。
やがて和泉は夢の記憶だけを頼りに、
タブーであるドナーの家族との接触を図り、
恐るべき近代医学の闇に直面する。

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うーーん。可もなく不可もなく。

作者が一生懸命勉強した、心臓移植業界のアレコレ。
噛み砕いて、本として吐き出したいが、
それだけだと小説にならないから、取りあえず
主人公やヒロインをつくり、協力者キャラをつくり
ミステリーも仕込み、小説に仕立て上げた作品。

心臓移植の医療現状について、
お役所仕様リーフレットなぞは、ムツカシい事も
あいまってまったく読む気がせず、でもちょっと位は
知っておいてもいいかな?・・というのであれば
まあこんなのもアリでしょう。

しかしながらミステリーもしくはホラーを
じっくり楽しみたい方には、期待はずれ。
小説としてみた場合、残念ながら、駄作だろう。

基本的に強大な「敵」もいないしね。

もっとも、心臓を交換して元気になったとはいえ
主人公は大手術を乗り越えたばかりの半病人。
しかも一介の大学生に過ぎないんで、
強大な敵が出てこられても困るけど。

気になるキーワードが。
ゴッドコミッティー

要するに、老若男女人種金持ち貧乏を問わず
あとは心臓移植しかない患者は
多数順番待ちをしていて、
一方で、移植可能な心臓がそうそうは現れず
そうなると「必要悪」として誰かが、
救える命の順番を決めなければならない。

例えばボンクラの若人と、老い先短いかもしれないが
彼にしかやれない研究があり、人類のためにも
まだ生きていただかないと困るような老科学者が
同時に「心臓移植待ち」だとしたら・・
いったいどちらに移植(=延命)したらいいのか?

その逆もある。金持ちだけどゲスな老人と
貧乏だけど前途ある若い患者・・
どちらに移植したらいいのか?

そんな判定はどだい人には無理。
できるとしたら神にしかいない。
であるから判定組織のことを
「ゴッド」コミッティーと呼称するらしい。

そういうヤミの組織(ヤミで非合法だけど国の管轄組織。
法律者とか医療の権威などの有識者で構成。
予算も実行力もそれなりにあり、報道を捻じ曲げる
事くらいは可能な力を持つ。モノがモノなんで存在は
極秘)が、自らの存在を隠すため、
折角救った患者(=主人公)の真実追求行動から
逃げようとする話なのだ。

最後に主人公はすべてを知ることになるのだが
知ってよかったのだろうか?
そもそも自分は、他の人をさしおいてまでして
生かされる人間だったのだろうか?
組織を追っかける(≒自分の心臓の出所を探る)内に
主人公は、そういう苦悩と直面することになる。



ほんとにそんな組織があるのかは謎。
小説内だけだと信じたいが。

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posted by PON at 21:47| 神奈川 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(ミステリ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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