2012年06月04日

墨攻

「墨攻」

 『墨攻』(ぼくこう/ぼっこう)は、戦国時代の
中国を舞台とした酒見賢一の歴史小説。また、
それを原作とした森秀樹の歴史漫画および
それらを原作とした日中韓合作の映画作品。
なお、「墨攻」という単語は、酒見が「墨守」
という言葉を転じた造語である(Wiki)

これ、漫画は以前に読んだ事あって
非常に面白かったんだけれど、原作者は
酒見賢一(あのアニメにもなった
「後宮小説」の作者だ)さんだったんだね。

これ読んで、中国のヒトとかはどう思ったん
だろう。例えば日本の戦国時代が大好きという
キトクな中国人が、好きが高じて「戦国モノ」の
小説を書いたとして、それを読む日本人の
我々は、果たして違和感なしで読むことが
できるのだろうか?

あらすぢ
戦国時代。趙と燕の国境にある粱城は、
趙によって攻撃されようとしていた。
10万の趙軍に対し、梁城の全住民はわずか
4000人。頼みの綱は墨家の救援部隊だったが
間に合いそうもなく、粱王は降伏を決断する。
墨家の革離(かくり)がたった1人で駆けつけ
たのは、その直後だった。兵に関する全権を
粱王から与えられ、早速城を守る準備に
取りかかる革離。趙軍の指揮官・巷淹中は
革離を好敵手と見なし、やがて激しい攻撃を
開始する。

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中国社会からすればカナリ異端な思想集団だった
らしい。戦乱の世で「非攻」を掲げ、しかし弱者を
守るために戦闘のプロとなった思想集団・墨家。
彼らは儒家と並ぶ勢力を誇ったが、秦の時代に
忽然と消滅。その後2000年の間に、史料が
ほとんど失われてしまったとされる。
その墨家のなかでもさらにはみ出しモノである
革離が主人公。

かなり忠実に映画化していると思うけれど
やっぱ漫画の方が万事わかりやすいかな。
主人公、革離(かくり)は、漫画のキャラのように
無表情で、へたすっと悪人ヅラなのに
実は心根も優しく、スーパーマンではあるが
聖人君子じゃないから、常に迷っているという
人物が、画として判りやすい。
アンディじゃカッコよすぎでしょう。

彼に思いを寄せる騎馬武者隊長の
「逸悦」(演:ファンビンビン)が可愛かった。
それくらいの見せ場がないと、この映画は、
基本的に埃っぽくって汚くって血まみれで
画に華がなさすぎ(リアルだけど)だから。
太平記とおんなじくらいかそれ以上。

連れ立って斥候(偵察)に。
夜明け前に斥候に出かけたにしては
場面のつなぎ方に疑問符。
昼から急に夜になって、また急に昼へ。

「兼愛」「非攻」というのが
墨家の基本理念なんだそうだ。

「兼愛」・・兼(ひろ)く愛する、の意。
      全ての人を公平に隔たり無く愛せよ。
「非攻」・・戦争による社会の衰退や殺戮などの
      悲惨さを非難し、他国への侵攻を否定の教え。
      ただし防衛のための戦争は否定しない。

「兼愛」はともかく「非攻」って
わが国自衛隊と一緒じゃないですか。
難しいんだよ?「「非攻」って。
少なくとも仮想敵を上回る実力がないと
「待ちに徹する」ってナカナカできないものだし。

敵の最初の渾身の一撃を
まずはやり過ごさなければいけない。
力のないヤツは戦場でこんなことできない。
力量がないヤツほどまず乱射しちゃうよね。

「すみやかに敵を討つ」

熱気球による上空からの攻撃なんてあったのか?
当時。さすが戦争に関しては昔から世界の
最先端だな。あの国は。
無理解の上層部と、なかなか動かない部下(住民)の
合間で四苦八苦しながら、10万の敵を撃退せねば
ならないので、とんち合戦が繰り広げられる。



漫画にもあったけど、スパイがまぎれたときの
判別法は面白かった(ネタばれ上等が当ブログ
ですが、ここはバラサナイでおきますね。
何故なら、いつか自分が城を守る際に
必要とするかも知れないからです)

「墨家の指導は乱世には向いているが
 天下泰平時には向いていない・・」と
身勝手な粱王が批判するが、
今、君のいるその時代こそ、乱世じゃないのか?
と思う。

革離がもたらしてくれた、つかの間の平和を
権力闘争に明け暮れて、結局内部分裂する粱国。
粱王もイカス馬鹿だね〜。
でもこれは映画だから、革離がいいヤツって
観劇者にはわかっているけど、何も信用ができない
乱世では一回やそこら、国を救ってくれたからと
いって、一時的にせよ兵権を譲るだけでも
相当なカケであるのに、なかなか素直に
功績を認める=王より人気者を作ることは
むつかしいみたいだ。

牛将軍も死んで責任をとった分、
責任をまったく取らないどこかの政治家よりはマシだ。
(死ねとまでは言わないけどさ)

何気に音楽担当「川井憲次」さん。



映画としても面白かったが、
漫画を先に知らなかったら
観る気も起きなかったかも知れない。

スタッフ
監督:ジェイコブ・チャン
プロデューサー:黄建新(中国)、王中磊(中国)、
徐小明(香港)、イ・ジュイック(韓国)、井関惺(日本)

撮影監督:阪本善尚
編集:エリック・コン
アクション監督:スティーブン・トン・ワイ
音楽:川井憲次
配給:サンドリーム・モーション・ピクチャーズ(香港)
上映時間:133分

キャスト
革離: アンディ・ラウ
巷淹中: アン・ソンギ
梁王:ワン・チーウェン
逸悦 ファン・ビンビン
子団 ウー・チーロン
梁適 チェ・シウォン

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posted by PON at 21:12| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(ハ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする