「敵を殺し、味方を死に追いやる
それを悪というのなら悪に徹する。
それが我の武だ・・」
もうすっかり網走番外地。ここ赤穂だけど。
堪えて堪えて最後に爆発の健さん道。
高倉健さんのPVだねこりゃ。
池宮彰一郎 「四十七人の刺客」
小説の方は以前に紹介済みです↓
http://ponett.seesaa.net/article/26298046.html
<あらすぢ>
大石内蔵助と吉良・上杉側の司令塔、
色部又四郎との謀略戦争を軸に、
内蔵助の人間像を追いつつ新しい視点で
描いた忠臣蔵映画。従来の″忠臣蔵″の
物語に、現代的な情報戦争、経済戦争の
視点を当て実証的に描きベストセラーと
なった池宮彰一郎の小説の映画化
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小説と比べややあっさりめ。
映画なんで、描ききれない細かい背景はばっさりカット。
「かる」(演:宮沢りえ)なんて女も出てくる。
不要だけど映画興行的に、
とりあえず華も入れとくか的存在。
(大石内蔵助が討ち入り前に愛人と子供を残したのは
どうも実話らしい)
話は、巨大コンツェルン配下のグループ会社社長が
本社でのソソウが原因で社がいきなり解散。
256人の社員が路頭に迷ってしまった・・
で、どうする?てな事態。
健さんは吉良家相手に壮絶な情報戦、経済戦を仕掛ける。
だいたい「殺し合い」というものは
始める前に勝敗は決しているものなのだ。
赤穂藩といえばご存知、赤穂の塩。
大石内蔵助(以下健さんとす)が
お家断絶と聞いて、まず真っ先にやったこと、
それは自分の所の名物「赤穂の塩」の在庫を、
市価暴落の前に相場で売り逃げ、とんでもない
大金を入手したことだった。
恐るべしだ健さん。
額にして2万3000両。
これは仇討ち資金に充てる。
それとは別に従来からの藩経営だけで
1万8000両の蓄財あり、
これは今後浪人となる赤穂藩士256名に、
退職金としてばら撒く。ひとり頭90両。
更に退職者256名に血判を出させるが、
さすが健さん。
彼らを無条件には信用していないので
裏の仕事を任せたりしない。
健さんに近く、信用に足る人間60〜70名だけを
赤穂の海岸に呼び出す。
なにかってーと健さんは赤穂の海岸
(しかも明け方?)にて、決意表明したり、
塩の売却の手配をしたりと、忙しい。
健さんも好きだな、海岸。
中には、仇討ちに心は寄せていても
家庭の事情でどうしても
転職せねばならない武士もいる。
そういった人間をひとりでも救うべく
敵討ちを強要しないし、
大きな他家に転職できるツテのある侍には
積極的にその話に乗って転職してもらい
彼らを通じて残りも再就職させる。
当時は「退職金」制度なんか無いし
支給する義理も薄いのだが、
口止めの意味合いと、なにより貧乏に負けて
元赤穂藩内から裏切り者(スパイ)が
出ないようにという、なんたる深謀遠慮。
当時の幕府を牛耳っていたのは
日本史でも学びましたが柳沢吉保氏(演:石坂浩二)
彼には赤穂藩や吉良がどうなろうと
まして武士道など正直知ったこっちゃない。
自らの権勢に傷がつかなければ
それでよいと考える人。
吉良側。上杉藩の懐刀、色部さん。
演ずるは「ミキプルーン・中井貴一」
顔を真っ白に塗りたくり、新たな境地で
演じておりやす。
柳沢吉保は「まあ、よきに計らえ」ということで
ミキプルーンの進言にのって、さっさと手打ちにした。
(ろくに調べず、一方的に断罪して死刑)
太平の世でもあり、お上の決定には誰もが従う時代。
その采配に敢然と立上がった人がいた。
大石内蔵助健さん、その人である。
大石内蔵助健さんは、バトルの前に
上杉ミキプルーンを呼び出して会う。
ミ「なにかお話かな?」
健「話なんてそんな・・。
町民ならば罵りあえばすむところですが、
我らは武家。そうなる前に
相手の顔を見ておきたかったのです・・」
うおお、健さんの静かな威圧。
怖いぜ。怖すぎる。
吉良なのになんで上杉がでてくる?と
お思いになるかと思いますが、小説では
その辺もう少し細かく書いてある。
PONも詳細は忘れたけど、吉良さんは
現在では悪人扱いだが、政治家や実務家として
非常に名君で、かつて上杉家の財政危機を救って
あげたことがあり、結局上杉家の縁類にまで
なったんじゃなかったっけか。
「武門不覚悟」
上杉といえば始祖はあの上杉謙信。武の名家。
当時の武士の理屈らしいのだが、何かあって
家のお偉いさんが殺されたりなんかした場合、
それは「武門不覚悟」といって大変恥ずべきこと、
下手すんとお家断絶もありえたらしい。
(高い金払って武士達を雇っているには
徳川幕府に何かあったとき役に立ってもらうため。
しかしそんな体たらくではイザってとき頼りにならない。
そんな家はなくてもいい、という考え方)
貧乏からは立ちなおりつつある上杉家だったが
武門の名誉に懸けて、親類の吉良が殺されるということは
あってはならないことなのだった。
吉良を討つ名分がありませぬ、という赤穂の部下に
健さんは壮絶。
「いわれが無いのは幕府がそのように
処理してしまったからだ。ちょうどいい。
名分なんて無いならば、言った者勝ちじゃないか」
そこで健さん、ポンと百両を部下に出していう。
「これで吉良の悪いうわさをばら撒いて来い」
で、市中では「吉良は贈収賄の罪で浅野の殿様に
痛いとこ突かれて喧嘩になった」という話が流布する。
ウソか真実か、そんなことは大事じゃないのだ。
ただでさえ、もうこれ以上何もおきて欲しくない
江戸幕府。これ幸いと吉良を江戸屋敷街から追い出す。
当時の武士だってバカじゃない。
吉良家も赤穂浪士が敵討ちに来ることくらいは見通し
少ない予算のなかで江戸屋敷内の吉良屋敷を
要塞化していたが、幕府の命令で無駄になる。
仕方ないから新たに手に入れた屋敷を
再びトンテンカンコン要塞化の矢先、
今度は「近々赤穂浪士が討入りに来る」という
噂が流れる。
当然、警備するわけだが、警備兵だって
毎日だと疲労する。
更には関係ない周囲の武家からも苦情が出た。
吉良家が厳戒態勢だし、武門不覚悟と言われては
困るので、近所の別藩も警備を固めるわけだが
自分らが襲われるわけではないし、金はかかるし
これはタマラン。吉良家出て行け!となる。
仕方ないから更に更に都落ちした屋敷で、
またまた要塞(といより忍者屋敷)を作り直し。
ここまでで要塞を都合三回も作ることになった。
色部ミキプルーンも、必要以上に高い金で
赤穂浪士の再雇用するなど、健さん陣営の
切り崩しに必死。
そんな中、切れ者ミキプルーンは策を思いつく。
いつ襲われるか判らないから大変なのだ。
オープンベースデイ(茶会)を設定して
連中に襲わせる日を選択させればいよい。
結局、茶会は三日12/5と14と22に設定。
初日は厳重な警備を敷いたが空振り。
そして14日。
浅野の殿様の月命日だから討入りにうってつけだが、
そんな判り易い日に攻撃してくるだろうか?
健さんならそんなことはすまい。
討入りは22日だろう・・
残念、ミキプルーン、外れでした。
血が絵の具然なのがちと興ざめ。
別にスプラッター映画を研究しろとまでは
申しませんが。
討入り四十七名中重傷者一名のみ。
死者ゼロ(史実)
なんですかこのパーフェクトゲームは。
裏門には討入り者専用の臨時補給所まで
用意されまして、刃こぼれ刀の交換から、
赤十字、水分補給に握り飯配給まで可能。
吉良家が一生懸命作った要塞屋敷ですが
モノスゴク住みにくそう。
庭には巨大な屋外迷路まで。
子供むけ遊園地の迷路みたいで
ちっとカッコ悪でありましたが。
キャスト(役名)-四十七人の刺客
高倉健(大石内蔵助)
中井貴一(色部又四郎)
宮沢りえ(かる)
岩城滉一(不破数右衛門)
宇崎竜童(堀部安兵衛)
松村達雄(堀部弥兵衛)
井川比佐志(奥田孫太夫)
山本學(吉田忠佐衛門)
神山繁(小野寺十内)
黒木瞳(きよ)
清水美砂(ほり)
横山道代(わか)
古手川祐子(揺泉院)
西村晃(吉良上野介)
石橋蓮司(小林平八郎)
橋爪淳(浅野内匠頭)
尾藤イサオ(山添新八)
佐藤B作(一文字屋)
今井雅之(高田郡兵衛)
尾上丑之助(大石主税)
石倉三郎(瀬尾孫左衛門)
中村敦夫(原惣右衛門)
板東英二(天川屋儀兵衛)
小林稔侍(進藤源四郎)
石坂浩二(柳沢吉保)
浅丘ルリ子(りく)
森繁久彌(千坂兵部)
スタッフ-四十七人の刺客
監督 市川崑
脚本 池上金男/竹山洋/市川崑
撮影 五十畑幸勇
美術 村木与四郎
音楽 谷川賢作
監督補 吉田一夫
助監督 手塚昌明
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