この映画、長いこと「発売禁止」でした。
なもんで、ゴジラのようにビデオで
見返すこともできず、早30年以上が経過。
・崖の上でほえる「グリフォン」
・女性を後ろから羽交い絞めする「コウモリ人間」
・煙が噴出す荒地を迫る「大ねずみ」
以上のシーンなどは怪獣大百科で見る
スチールの常連でありました。
それにしても、いったい何にイチャモン
つけられたのか?
Wiki先生によると・・
別に禁止ではなくて「二次利用権利」の契約書が
行方不明であったため、ひょっとしたら
アメリカからクレーム来るかも・・と
だれもソフト化に動かなかったということらしい。
さらに・・
「製作費の大部分はアメリカ側キャストのギャラ」
「莫大な製作資金を全て肩代わりしたのに、
大した興行成績を挙げられなかった」
ということで、以後、東宝は日米合作映画の製作は
行わないという結論に達した、いわくつきの作品。
マッケンジー艦長:ジョゼフ・コットン
マリク博士:シーザー・ロメロ
<あらすぢ>
海底火山の噴火によって浮上できなくなった
潜水調査員は、謎の潜水艦アルファ号に救助され、
海底2万メートルの地底世界に存在する
緯度0基地に迎えられた。地底世界には地上から
消えたと思われていた高名な科学者がおり、
人工太陽を初めとする高度な技術文明を
誇っていたが、その別天地にも争いはあり、
マッドサイエンティストのマリク博士は、
アルファ号および艦長のマッケンジーを
排除しようと、虎視眈々と狙っていた。
別の地上の調査隊である岡田博士親子が
マリク博士に捕らえられたことを知った
マッケンジーは、マリク博士の本拠地に急行。
そこには、敵艦黒鮫号に加え、マリク博士の手で
改造された半獣半人の怪物たちが
待ち構えていた。
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いやあ見事にナディアの元ねたである。
庵野監督の魂のふるさとなんだろうね、この作品。
マッケンジー博士、正義の天才。
(いつも「フキゲン」な顔を
しているのは何故だろう)
緯度0基地、太平洋の海底に人工太陽と
不思議バリヤで作ったユートピア。
そこには世界中の人類の進歩に貢献してるのに
政治や社会にに振り回された科学者などが
地上に嫌気をさして集まってくるところ。
「それじゃあ人類の科学のイイトコどり
独り占めじゃないですか?」
とかなんとか、迷い込んだジャーナリストがいいこと言う。
そんなことはない。地上から争いごとが消えたら
世界に姿を現すつもりだ・・とか
マッケンジー博士は高言するんだけども
それって結局、世に出て行くことはない、と
言ってるようなもんだ。
ジャーナリストの他、地上世界から
迷い込んできた連中は、宝田明と岡田真澄。
マッケンジー博士は緯度0を案内する。
「ここは世界の建築のいいとこ取りなのだ」
というが、ここまで日本建築なし。
住民で東洋人は希少。黒人なんてぜんぜんいない。
クルマは電気自動車だそうだが、
デザインが明らかに1960年代。
なんだろ、緯度0に亡命してきた
デザイナーはいないのかな。
それにしても岡田真澄(後のファンファン大佐)は若い。
わが国ニッポンからは「岡田博士」がご招待された。
(先のファンファンとは別。役名がそういう人)
博士が緯度0に招かれた理由、それは
「放射能に対して免疫血清」を
発明したからだって!
すげーぞ岡田ジャパン。
今の日本でマジほしいすぐに。
関係ないが、重要な情報として岡田博士の娘、
鶴子さん(中山麻里)は何気に巨乳である。
そんな岡田博士をかっさらうマリク博士(悪)
彼はマッケンジー博士の一歳年下の元マブ友。
やっぱり天才。天才なら自分が作ればいいのに。
本業は「Drモロー」同様、人体実験が大好きな
生体科学者であるらしい。
彼が製造したコーモリ人間なんか
そのままショッカーに再就職できるだろう。
総合的技術力は、マッケンジー博士側に
一日の長があるようで、いつも苦杯をなめる
マリク側。加えてマリク側は、マリク博士以外
バカばっか。それに人材をすぐ処刑してしまっては
ついて来る者もついてくる訳がない。
せっかくハイパーウェポン潜水艦「黒鮫号」を
任されているというのに
なんだ?あの場末のスナックのママさんみたいな
女工作員(コードネーム黒い我)のダメ指揮っぷりは?
ハヤタ隊員がここでも「マリク側下っ端A(副官)」
として出演。今回も科特隊のひみつ潜入任務中で
変身してくれるはず・・とずっと期待していたが
最後まで「下っ端A」である。
あげくにアホな進言してマリクに怒鳴られるし。
このころはアレか?映画の方が格上業界。
テレビで名が売れても映画界では
まだまだひよっ子扱い、とか
そういった、映画至上主義の影響なのか?
海底世界はどこも人手不足のようだ。
緯度0でも、世界中から優秀な「頭脳」は
集まってくるかもしれないが
どうも肉体労働担当は不足がちな様子。
デフォルトは甲保(コウホ)と呼ばれる大男のみ。
なに?そのネーミング。
それが証拠に、悪のマリク博士本拠地潜入に際し
緯度0特殊部隊なんてものはなく
行きがかり上助けた地上人一行を
特別攻撃隊に加える始末だ。
攻撃隊には紅一点。女性白人看護士も混じる。
彼女、もの凄い「デコ」で。
マーカライトファープの元になったのいうのは嘘。
あのなあ、説明はアルファ号の中でやろうよ。
マッケンジー博士。
岡田博士救出のため急いでいるのでは?
貴重な時間を割いて博士が丁寧に説明してくれる
緯度0世界のハイテク。
「免疫風呂」
風呂に入って3つ数えると、鉄砲玉もはじく。
24時間効果が持続。いくら免疫強化したって
テッポウで撃たれたら、さすがに大事だと思うが。
科学万能、免疫バンザイである。
「コルベクソースーツ」(金とプラチナの合金)
着れば、バットマンスーツよりも無敵の兵士になれる。
ただしカッコよさではバットマンスーツに軍配が。
腰にはゴレンジャースーツのように
ジェット噴射機を装備。手袋からは、
火とかガスとかマヒ光線とかなんかいろいろ出せる。
スーパーワンのファイブハンドみたいなもの。
先ほど「マリク博士以外〜」と書いたけれど
やっぱマリク博士もバカなのかもしれない。
あんまりにポカばかりやる「黒い蛾」こと
場末のマダムをマリク博士は見切った。
でも、ただ殺すだけでは面白くない。
これから作るライオン+ワシ+人間の脳という
キメラ怪獣「グリフォン」の脳みそに
黒い蛾の脳を転用を決意してしまう博士!
「嫌ァぁぁぁ!呪ってやるゥ!」なんて
喚く元愛人の脳なんかを、最終兵器の怪獣に
移植したら、行く末は簡単に想像できると思うけど。
そら言うこときかんわ。
しかもマッケンジー博士の島内侵入のために
慌てて手術しているし・・。
なんて泥縄対策。
マリク博士、解ってやっているとしたら
相当なお茶目さんである。
一方、マッケンジー博士側もお茶目さでは負けてない。
大道具さんが頑張って作った大掛かりなセットで
展開するドリフのコントのよう。
仕掛け(トラップ)に全部
引っかかりながら、先を急ぐ。
酸の川。いきなり足突っ込んでるし。
まず試しに付近の石を投げ入れる慎重さを持とう。
あるいは、最初からベルト使って飛ぼうな。
なんだかんだ言って楽しんでしまった。
子供のころなら食い入るように観ていたかも。
宝田明の迫真の演技「ズッコケ」も観てあげたいところ。
キャスト(役名) - 緯度0大作戦
出演
ジョセフ・コットン (クレイグ・マッケンジー)
宝田明 (田代健)
岡田眞澄 (ジュール・マッソン)
リチャード・ジャッケル (ペリー・ロートン)
大前均 (甲保)
リンダ・ヘインズ (アン・バートン)
中村哲 (岡田博士)
中山麻理 (岡田鶴子)
平田昭彦 (姿博士)
シーザー・ロメロ (マリク)
パトリシア・メディナ (ルクレチア)
黒木ひかる (黒い蛾)
黒部進 (陳)
関田裕 (ワレン)
スタッフ - 緯度0大作戦
監督 本多猪四郎
特撮監督/特技監督 円谷英二
脚本 関沢新一/テッド・シャーマン
製作 田中友幸/ドン・シャープ
撮影 完倉泰一
美術 北猛夫
音楽 伊福部昭
録音 藤好昌生
スチール 山崎淳
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