以前に原田知世と江口洋介映画版は
観劇済みであります。
毎度の事ながら上司にもらった小説。
(人猫さん、ようやっといただきましたよ〜原作w)
<あらすぢ>
現代的戦争の恐怖。
ある日、突然に始まった隣接する町同士の戦争。
公共事業として戦争が遂行され、見えない死者は
増え続ける。現代の戦争の狂気を描く傑作。
文庫版のみのボーナストラック短編を収録。
小説すばる新人賞受賞作品。
(以上文庫版あらすじ)
天才現わる!? 見えない戦争を描いた衝撃作。
ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。
だが変わらぬ日常に、僕は戦時下の実感が
持てないまま。それでも“見えない"戦争は着実に
進んでいた。「清澄な悪夢」「傑作」と選考会
騒然の衝撃作! 第17回小説すばる新人賞受賞作。
(以上ハードカバー版あらすじ)
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わざと<あらすぢ>を二つ並べてみたけれど
ハードカバー版のほうが的確かな。
「現代の戦争の狂気」もさることながら
放置して置くと暴走しかねない
日本の政治(と行政)のアホらしさに警鐘を
鳴らしているかんじ。カランカラン。
お役所仕事や公文書のデフォルメして
アホらしさを強調するって話は別に珍しくない。
書類には、独特なお役所言葉を用いて
読むのに時間がかかる多数の文字、
引用場所が不可思議な数字をちりばめ
市民に理解してもらう気持ちハナから無い。
市民から文句が来たら、
読まないあんたが悪いのだ、と
突き放す、なんたるオヤクショ仕事。
お役所とのトラブルは、たいていの場合
腹立ちつつも、確かに役所ルールを
よく知らない自分が悪いのかも、と
無理に自分を納得させて終了してしまいがち。
それが「戦争」というダイレクトすぎな形で
自分に跳ね返ってくる。
知らない間に状況に加担させられ、
自らの知らないところで人が死んでゆく
イメージしにくい現代の戦争。
ここは公共事業として戦争をする
静かにどこか狂った世界。
なんか、おかしくありません?と読者の声をも代表して
主人公(演:江口洋介)がヒロイン(演:原田知世)に
「違和感」を訴えるのだが
「私は公僕は粛々と業務を遂行するだけ。
どんな政治であれ市民の皆さんが選んだ
結果。投票に行かない人は文句を
言うことはできない」
気色ばむ(あれ?映画版のほうだったか?)
江口洋介がノンポリであることを
差し引いても、
あのどこか静かに狂った世界の中で
(観客からみて)マトモな見識を
持っているというのは、ちょっと不思議だ。
原作は映画と違うオチ。
かくのごとくコチコチ石頭の典型的お役所職員
ヒロインが、江口洋介との交流を通して
少しずつ変化してゆく、というのが大きな流れ。
映画ではラスト、恋人同士となり
駆け落ちするかのように町を離れるのだが
小説では業務の一環として体を重ねる点は同様だが
そこまでの関係にはならずに終了する。
映画化に際して話の再構築はよくある話。
登場人物が女性になってしまったり
オチが変わったり、原作では軽んじられていた
キャラが重要な役に転じていたり、とか。
映画化は改悪になってしまうことが多いけど、
この作品に関していえば、映画版のほうが
一般人には判りやすく描かれているかな〜と思った。
どちらを選ぶかは、我らユーザー如何だが。
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