2012年12月04日

「震度0」横山秀夫

震度0 横山秀夫(著)

上司からいただいた文庫。
この横山さんの本は「出口のない海」
「半落ち」「クライマーズ・ハイ」を読んだ。
この人の作品は、いずれも
登場人物の背景がだいたい出揃って
面白くなってくる・・までが割と退屈、
結構ガマン、と記憶していたが。

あらすぢ
阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の
警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に
精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 
本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対する
キャリア組の冬木警務部長、準キャリアの
堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、
県警幹部の利害と思惑が錯綜する。
ホステス殺し、交通違反のもみ消し、四年前の
選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口が
なかなか掴めない……。

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で、本作も、人間関係が頭に入ってくるまでが
タイクツであり、あとから何度も読み返したりと
結構大変だった。

地方の警察署。市民を守る正義のケーサツ
であるはずなのに、お巡りさんは
キヤリア組(中央から赴任するエリート)と
ノンキヤリア、準キャリア(地元採用)と別れ
職場も、刑事、警ら、交通に庶務、んで公安とか
詳しくは忘れたけど、我々から見れば全部
オマワリさんでも、いろいろあるらしい。

ノンキャリ組なんかは人生の半分を費やし
地道にがんばって、ようやく交通部長なのに
キャリア組は、中央に戻るまでに
ハク付けとして地方赴任。しかも30もそこそこで
署長に次ぐNo2だったり・・。

各セクションの部長クラス、幹部ともなれば
官舎があってそこに一家で住むことができる。

男が出世するたびに強くなる風当たり、
ねたみに嫉妬。噂話。
それぞれに家族があり、彼らの奥さんの存在が、
そのウザさに拍車をかける。
ダンナの組織の上下関係が
そのまま奥様方の微妙な人間関係につながって
そこから生まれる人間関係のサザナミが、
時には本業を疎かにし、
おいおい、キミらの存在意義ってなんだよ?
と言いたくもなる。

セクショナリズム

「知った顔」で組織の内情にのみ目が行き
いつしか目的を忘れ、プロセスそのものが目的と化す。
日本社会の悪い癖をそのまま描いてみた・・
そんな小説。

この社会的癖が悪い方向へ
見事に作用した集大成が太平洋戦争なんだと思う。
ご存知、「陸軍」と「海軍」の衝突。
海軍は、強硬に反対して陸軍と内戦となるよりは
外に敵を求めた方がまだいい・・そういった
アホすぎる考え(したり顔で「政治」なんていう)で
破滅に向かって突き進んだ。
日本国内いたるところで権力同士が牽制し合い
理知的に事態収拾出来なかった。

目的とプロセスが逆転。
あんたら、ナニやってんだ!と。

話はちょうど阪神大震災が発生した日。
自然災害の圧倒的な状況に較べて、
舞台のN県警では、ひたすらくだらない
パワーゲームに終始する。
小さな小さな世界。数千人が現在進行形で
死んでゆくなかキャリアとか
地方(じかた・・現場叩き上げの職員)だの
どうだっていいでしょ?って叫びたくなるような。



「警察」という、正義を見せつけなきゃいけない
職場なのに、地震にも同僚の失踪にも
正面から向き合おうとする者がいなかった。
一応、主人公格である準キャリが動き出すが・・。

「見て見ぬふりの人間になってはならない」

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(ミステリ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする