百田尚樹(ひゃくた なおき)著
さすが万人向けテレビの放送作家。
読みやすい文体。
作者は映画の公式サイトで
「この映画のテーマは「戦争」ではありません。
「人は何のために生きるのか」
「誰の為に生きるのか」を
現代の人々に問いかけた物語です。
映画は2013年12月に公開するらしい。
監督は山崎貴氏、あのキムタクヤマトの監督だ。
ビジュアル的には安心できるだろうて。
<あらすぢ>
「娘に会うまでは死ねない、
妻との約束を守るために」
そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を
落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は
死んだ祖父の生涯を調べていた。
天才だが臆病者。想像と違う人物像に
戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくる――。
記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
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別にモノを知っているから偉いというワケでない。
知らなければこういう本をキッカケに
考えていただければとっても結構な事で。
戦争=悪=ニッポン悪=自衛隊ハンタイ!
といった単純左巻き思考から
この小説をキッカケに、一人でも多くの方が離脱
もしくはプロ市民団体への協力を
思いとどまってくれたら・・
それでいいと思うのです。はい。
本屋さんおすすめ!と本屋にあったから
どんなものだろう、と読んでみたのだけども。
本の厚みの1/3くらいは
太平洋戦争のアウトラインを
もう1/3くらいは表題の通り「零戦」について
よく噛み砕いて説明している。
コンビニ500円本。孫引きで1冊みたいな
そんな海軍解説本みたいで
知らない人は面白いだろうけど。
基本は、昔の米ドラマ「ルーツ」みたいに
現代に生きる孫達のルーツ探し。
生き残った元海軍兵のじいさん達
(大会社社長からおやくざさんまで戦後の生き方は多彩)
から話を聞きながら、ジブンたちの
祖父さんを生きざまを追う。
この祖父がまた・・架空戦記あたりに
出てきたら、軍はじまって以来の
スピード昇進で元帥にでもなっちゃって
時代を変えてしまいそうな天才青年。
100%現代人の感覚を持つ
少々出来すぎなキャラだ。
でも舞台は太平洋戦争中のニッポンであり
そんな夢物語が起きるはずもなく
最期は特攻で死ぬ。
生き残りの話に耳を傾けて時代を追体験。
今でこそ、その辺で野良仕事をしているような、
じいさん、ばあさん世代が
戦中、戦後にかけ、いかに壮絶な生きかたを
強いられてきたかも、徐々に解ってくる仕組み。
それにしても小説だといわれれば
それまでだが、この孫姉弟はあまりにも
モノを知らな過ぎ。
弟は司法試験狙い、姉はフリーライター志望
という設定。特に弟の方、こういう奴が
司法を目指そうとすることはキケンである。
彼が特攻隊の話よりも前に
共産系方面に思想教育を受けてたら・・。
後に人権派弁護士とかになって
ドラえもんで死刑に立ち向かいそうだ。
もともと歴史教育って奴は、
「面白いな、もっと追っかけてみようか」と、
生徒に「きっかけ」を与えることが大義だと思う。
なのに受験戦争の手段の一つになり
学校側も解ってやっているのか解らんが
一学期終了の時点でまだ「聖徳太子」が
登場したりしなかったりなんてペースであれば
ただでさえ何かと忙しい3学期に
近代史にまでじっくり取り組めるわけがない。
さらに1960年代の学生運動の生き残りが
教師なって教育現場に潜伏。
勝手なスパイスを加えでもしたら・・
生徒としては、何かわからんし、歴史なんて
もういいや、ともなるだろう。
ま、どこかの国のように「国策」として
国家を挙げて「反日教育」「偏向教育」
しまくるよりは
まだ、単に「知らない世代」が生産される方がいい。
後から勉強する余地があるからね。
そんな「偏向教育」を受けまくった世代が
社会の主流となっている「かの国」をみるにつけ
ホントにそれは思う。
「高山」なるキャラが出てくる。
誰がどう読んでも「朝×新聞」の(自称)エリート記者。
彼は「911テロ=狂信愛国者=特攻隊員」
「新聞社=絶対正義=無知蒙昧な民衆の目を啓かせる存在」
と盲信する、香ばしい存在。
その彼が元特攻隊の大会社社長に
めちゃくちゃに論破されるところは圧巻。
間違ってもこの小説は、朝日系の文庫から出版されず
地上波初放送も10CHじゃないだろうな。
面白い評論ブログ
「日本は現場擦り合わせ」社会
「将棋と間違えて囲碁を打つ」
↓ ↓
http://renkonn.blogspot.jp/2013/01/0.html
山本五十六大将を必要以上に
持ち上げるつもりもないけども
小説内の囲碁好きな士官が言った
「将棋と間違えて囲碁を打つ」について。
山本大将は「将棋と間違えて囲碁を」
打ったんじゃなくて、将棋しか知らないのに
囲碁を打たされたんだと思うよ。
どのフィールドで戦うか
そもそも圧倒的な体力を持つ相手と
対戦するかしないか、それを決めるのは
政治家の仕事だ。
ところで、この小説が面白かった、という
方には・・
天沼俊さんの漫画
「戦空の魂」シリーズとか
入手しにくいかもしれないが
本宮ひろ志さんの漫画
「ゼロの白鷹」とかも
おススメいたします・・ご一読ください。
あ、松本零士さんの
「戦場まんがシリーズ」は
ジブン自身はあんまりお勧めしません。
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