2013年10月05日

桐島、部活やめるってよ

「戦おう、ここがオレたちの世界だ
 オレたちはこの世界で
 生きて行かねばならないのだから」

映研で制作中のゾンビ映画のキャラのセリフ。

うわさには聞いていた映画。
相方がレンタルしてきて再観中に
自分も観劇。

この映画で描写されているような高校生どもが
最近まで学生だった世代に
「あーうんうん。いるよこういう奴ら
俺の学校も似たようなもんだったよ」
とか言われても違和感無いような
典型的な高校生活のモデルだとしたら・・
自分の子どもたちを
こんなアホアホ学園に通わせたくないなあ。

でも、こんなアホアホ学園の
どの階層に我が子が所属したとしても
こういった人間関係で
モマレてこそ、社会で生きてゆける体力を
身につけるというのもまた一面なわけで。

あらすぢ
とある田舎町の県立高校映画部に所属する
前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では
地味で目立たないものの、映画に対する
情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の
学校の生徒たちは、金曜日の放課後、
いつもと変わらず部活に励み、一方暇を
持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、
それぞれの日常を過ごしていた。ある日、
学校で一番人気があるバレー部のキャプテン
桐島が退部。それをきっかけに、各部や
クラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。

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高校のヒエラルヒー。
スクールカーストを描いた作品。
(最近耳にする「スクールカースト」という言葉は
 どうもこの原作小説が広めた模様)



面白かったが、観ていて時々心がうずく。
冒頭であんなこと書いてしまってナンだが
多分、自分の高校生活にも
思い当たるフシがあり、今のオトナ社会でも
その残滓を感じたからなのだろう。

映画の作り方が少し変わっている。
まず、「桐島、部活やめるってよ」だけど
桐島くんは最後まで出てこない。

で、学校イチの人気者「桐島くん」。
その彼が、とある理由から部活をやめ
少しの間学校をサボる。
そのポッカリあいた穴の周りで
彼の友人、知人、恋人、ただの同級生が
同じ金曜日を繰り返し
それぞれの視点からの右往左往を描く。
ゲームでいえばナツカシSSの「街」みたいだ。

クラスの席次表とか組織表なんかじゃ
見えてこない、この学校のフクザツ怪奇な
人間関係が、桐島くんがいなくなることで
動揺する(崩れる程ではない)

桐島くんは、成績優秀でバレーの県選抜に
選ばれるくらいの運動神経をもち
加えて人柄もよく、おそらくイケメン
(学校一キャバクラ系の彼女さんもいることから)
彼は別に周囲を困らせてやろうとか
そんな気持ちで、充実していた部活動を
辞めたわけではないらしい。
部内に不和が発生し、キャプテンとして
責任を感じたからというのが公式発表。
それくらいで責任を感じるわけだから
人柄もいいのだろう。完ぺきだな。

・桐島くん(不在)
・桐島くんの彼女と、取り巻き女生徒数名グループ
・スノッブでアンニュイwらしい帰宅部
・バレー部の桐島ライバルゴリラと仲間たち
・その他体育会部
・吹奏楽部
・映画研究会(←主人公はココ)


「スクールカースト」ってのは
響きがよくないけど
要は学校内の目に見えない「空気」に
支配された生徒の序列。
・カッコいい
・頭がいい
・スポーツ優秀


だいたい、このいずれかで秀でていれば
一目置かれ、序列が上の方ランクされる。
この「周囲に一目置かれる」ってのが重要。

基本的に「体育会系」>「文化系」≧「帰宅部」。
文化系でも
メインカルチャー系(吹奏楽部)と
サブカル系(アニメ・マンガ・映研など)では格が違う。

帰宅部といっても、能力がないから
しかたなく常に帰宅する輩が大半だが
何でもできるのにスカして帰宅部な奴らは高評価。
(ヤ×チンはだいたいこの階層)

体育会系なぞ、さらに明快。
「レギュラー」か「万年補欠」か
更に「プロ」が見えている選手か否かで
扱いがもう全然。
また、運動神経があっても「見た目」も大事。
バレー部のゴリラのように
「スポーツバカ」扱いを受けてしまう奴もいる。

なお数年に一度、東大や京大生を排出する
普通の高校なので「喧嘩が強い」
いわゆるツッパリハイスクールロケンロールは
評価対象外だ。

違う階層同士の交流はほぼ無い。
いじめじゃない。ロコツな無視とかもそれほどない。
ただただ、双方に無関心を装い没干渉。

誰が決めたわけではないがそれが暗黙のルール。

ごくたまーに、独自の世界を確立しており
空気完全無視というスーパー高校生も
いるかもしれないが、その手はだいたい一匹狼。

女子階級に多いが、各階層で致命的なこと
(階層の有力者と喧嘩したり)をしでかすと
「都落ち」の運命が待っている。

特に女子の階級は、容姿が可愛いとか
上流階級の男子を彼氏にしているとか
権力者の女子に気に入られているからとか
非常にアイマイな根拠で所属していることが多く
No2以下は戦々恐々。
他人を貶して自己評価を高めるのに余念がない。

ただ如才ない娘もいて
別に一匹狼でも、下位ランクでも構わないんだが
拒否する理由もないので上位に所属している、
学生生活でなにかと便利だから
無理に否定はしない、そんな娘も。

誰が一番初めに
すっげえこと(≒子供ではないこと)をやるか。
その自慢合戦が高校生活。

ピンボールのスコアを大声で自慢しあう奴の
傍らで、どのラブホが一番安いかを話す
野郎がいて(たとえ妄想だったとしても)
声高に、話してしまったもの勝ちな
ところがある。

この映画に橋本愛が出演してるので
ちょうどいいや。

NHKのドラマ「あまちゃん」でも
親友だと思っていた橋本愛に
主人公アキちゃんはこんなことを言われる。
「私は、アキちゃんと同じか
 それ以上でないとイヤなの!!」


アキちゃんがベタ惚れの先輩。
その先輩から告白された橋本愛は
別にそれほど好きじゃないけれど
立場上、アキよりも上位に立てる
(本人だってそこまで悪意を意識したかどうか)
交際をOKしてしまう。

恋人同士になれたと思っている先輩は
当然のごとくアキとは距離を置こうとするが
そんな先輩に橋本愛は言う。
「一回ぐらいデートしてあげなさいよ」

うっわー。なんてゴーマンな言いぐさだろう。
そんなことしてアキに先輩を
略奪されるなんて考えもしない。
だってアキより自分の方が格上なんだから。

気が合うから共にいるという一面も
確かにあるんだろうけれど
それ以上に、一緒にいる相手は慎重に選ぶ。
自分を引き立てる相手だからだ。
それがバリ思春期の高校生。

「アンなイケてない奴と
 一緒に居て恥ずかしくないのかね?」
誰かにそういわれることを最も恐れる。

おお、「あまちゃん」じゃなかった。
『桐島、部活やめるってよ』 の話だ。

エンディングでは
高橋優なるシンガーソングライターの
シャウトが妙にマッチする。

「誰かがこっちを指さして」
「笑っているような気がする」
「自分だけが置いてけぼりを」
「喰らっているような気がする」


さすがぁ。要はそういうこと。
自分は今、社会人と家庭人を
やらせてもらっているが、高校時代よりも
表面に出てこなくなっただけで
(少なくとも)日本人の本質は
彼の歌のままなのかも知れぬ。



スポーツゴリラが、ある事情でテンパり、
普段は無視するだけの
映画研究会の連中を露骨に見下す。
彼の本音ポロリのシーンが印象的。
「ああ、いるいる、こんな脳みそ筋肉野郎」

結局、「桐島」くんは
「みんな必死な学校生活」が
急に「おバカ」に思えてしまい
昔でいえば発作的に
「出家」しちゃったんじゃないか?

桐島、部活やめるってよ
The Kirishima Thing
監督 吉田大八

脚本 喜安浩平/吉田大八

原作 朝井リョウ
『桐島、部活やめるってよ』
製作 菅沼直樹
茨木政彦
弘中謙
平井文宏
阿佐美弘恭
畠中達郎
和崎信哉
製作総指揮 奥田誠治

出演者
神木隆之介
橋本愛
東出昌大
大後寿々花

音楽 近藤達郎
主題歌 高橋優「陽はまた昇る」
撮影 近藤龍人
編集 日下部元孝
製作会社 映画「桐島」映画部
配給 ショウゲート

公開 2012年8月11日
上映時間 103分
製作国 日本
言語 日本語

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(カ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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