日本映画専門チャンネルにて放映。
子供のころに持っていた
「SF映画大全集」(秋田書店)の
スミっこのほうで紹介されていたのを思い出す。
メインディッシュの東宝特撮「ゴジラ」シリーズ
大映の「ガメラ」「大魔神」
日活「ガッパ」、松竹「ギララ」と来て
もう紹介作品ネタが尽きかける頃
白黒ページでやっと紹介されんのが
この「透明人間」。
東宝の怪奇○○人間シリーズの
第一作とされた映画だ。
以降、ガス人間、液体人間、電送人間と続く。
それにしてもスバらしいぞ。
日本映画専門チャンネルさん!
もしあのチャンネルがなかったら
この作品をワザワザTSUTAYAに
借りに行くこともないだろうし
そもそも置いていないだろうしで
観ることはないまま人生終了だったろう。
<あらすぢ>
銀座4丁目で旧日本軍の特殊部隊
「透明人間特攻隊」の生き残りの轢死体が
遺書と共に発見された。遺書の描写から、
透明人間の生き残りが少なくとも
もう1人いることが判明する。
するとしばらくして、「透明人間」と
名乗るギャング集団による強盗事件が
次々と発生した。一方、キャバレー「黒船」で
サンドウィッチマンのピエロとして働く
南條は同じアパートに住む盲目の少女まりに
『金髪のジェニー』のオルゴールを買う
約束をしていた。最初の自殺に遭遇して
以来、透明人間の調査を進めていた
新聞記者の小松は、襲撃された
宝石店を訪れていた南條に目を付ける。
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思ったのは・・「透明人間特攻隊」を編成できた
ニッポンの科学力もスゴイけれど
そんな科学力あんなら別の方向に使って
霧島×智みたいなアホ戦記・・あーケフンケフン
とてもじゃないが、あの劣勢をひっくり返すことは
できなかったろうなってこと。
「透明人間」って思いの外戦闘力が無いんだ。
ぜんぜん万能じゃない・・これが。
透明を活かすにはハダカじゃいといけない。
すると防御力ゼロだ。
銃器持ったら場所バレちゃうし
透明である以外は普通の人間だから
病気や飢えにだって弱い。
そりゃ、当時のエリートの中から
透明人間として選抜されたのだろうから
基礎体力はあるでしょうけど。
透明人間特攻隊、それ自体が実は冗談だったとか?
司令官、ここに1000名の「透明人間特攻隊」が
揃っております!とか部下に報告されたところで
透明だからな・・。
おおそうか、この辺におるのじゃな!
とか言っても透明だし。
これ幸いとばかりに脱走しちゃう
透明人間とかいそう。
で、物語は透明人間特攻隊の生き残りが
実は2名いて、1名は自殺。
彼の遺書から本映画の主人公、
透明人間が生き残っていることが判明する。
判明するまで、社会の片隅で静かに
暮らしていたもう一人の透明人間。
透明人間は、生きている限り
元の人間には戻れず、
彼の影を奪った軍の科学者も
全てを明らかにする前に死んじゃったと
主人公は語る。
(その実、ミ×リ十字にでもデータ持って
就職したんじゃないか?)
彼は社会で生きてゆくため
なんともうまい方法を編み出した。
顔中を白粉で塗りたくり
プロのサンドウィッチマン(ピエロ)として
生きるのだ。
飯食ってる最中も、仕事終了後でも
常にピエロメークのままというのも
結構怪しい奴であるが、
社会そのものが怪しい時代だったんで
そんなんでも通用したものと思われ。
時あたかも、そんな戦後のドサクサ。
愚連隊かチンピラギャングだかが
これ幸いとばかり、すべてを”透明人間”の
所為にして、好き勝手に暴れはじめる。
ギャング団に脅されたヒロインが
透明人間をおびき寄せるため
指定した場所が「チンチン電車」
ヒロインは「笄町(こうがいちょう)」という
停車駅から電車に乗るシーンがある。
調べたみたら、当時本当にあった。
(ただし銀座じゃなく麻布にあった)
響きが面白いから調べてみただけ。
さすがに頭にきた主人公、透明人間は
最初はスクープ狙いで接触してきた
新聞記者(演:土屋嘉男)と協力
ヒロイン(演:三條美紀)を助けつつ
ギャング団に立ち向かう・・のだが
新聞記者を信じた主人公、透明人間は告白する。
「私は「人間」という自分の姿を
軍隊に盗まれた男です」
主人公の口ぶりからすると
「透明人間特攻隊」は
志願じゃなく、ほぼ強制で透明にされたってこと?
だったら逃げ出し自在じゃん。
軍のお偉方も何考えていたんだか。
彼は更に言う
「美しかった日本の土は血を噴いている」
・・確かに今も血をふいているけども。
冒頭にさんざん書いちゃったけど
たしかに彼は、”リアル透明人間”なんだが
場所さえわかっちゃえば、
単にハダカの人間なんでね・・。
闇夜でタイマンなら負けないかもしれないが
ギャング団と銃撃戦にでもなったら
勝ち目はない(実際、勝てなかった)
次回、東宝特撮シリーズ
「電送人間」(60年作)で会いましょう。
透明人間
Transparent Man
監督 小田基義
脚本 日高繁明
製作 北猛夫
出演者
南條:河津清三郎
美千代:三條美紀
矢島:高田稔
小松:土屋嘉男
健:植村謙二郎
まりの祖父:藤原釜足
山田社会部長:村上冬樹
科学者:汐見洋
野村代議士:沢村宗之助
警視総監:恩田清二郎
龍田警部:大友伸
ダンサー:重山規子(日劇ダンシングチーム)
まり:近藤圭子(キングレコード)
矢島の子分:松尾文人、中山豊、
吉田新、峰三平、鈴木治夫、高瀬将敏
ジョー(矢島の子分):水野匡雄
国会委員長:土屋博敏
南条の仲間・路面電車の乗客:佐田豊
秋田晴夫(轢かれた透明人間)・
河津清三郎スタント:中島春雄
屋台の親父:瀬良明
クラブの客:津田光男
街頭テレビを観る男・クラブの客:吉頂寺晃
アナウンサー・銀座の通行人:岡豊
警官:広瀬正一
宝石商の店長:堤康久
大塚:熊谷二良
管理人:勝本圭一郎
車の男:伊藤実
守衛:榊田敬二
車の女:森啓子
クラブの店員・銀座の通行人:東静子
振付:縣洋二
音楽 紙恭輔
撮影 円谷英二(特技指導)
編集 庵原周一
配給 東宝
公開 1954年12月29日
上映時間 70分
製作国 日本
言語 日本語
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