2013年12月16日

恐怖の報酬

古いフランスのサスペンス映画。

ハリウッド製アクション映画全盛だった
高校時代に、たまにはこういった
白黒映画も観ておかないとな、と
当時オヤジがコレクションしていた
映画ビデオの中から
これをセレクトして観賞した記憶が蘇る。

あらすぢ
ベネズエラの場末の街ラス・ピエドラス。
そこは職が無く、食い詰めた移民達が
日々何もすることもなく暮らしている。
マリオ(イヴ・モンタン)もその一人であった。
そこに、ホンジュラスからジョー
(シャルル・ヴァネル)がやってきた。
マリオとジョーは同じフランス人、
意気投合しながら遊んでいた。

そんなある日、500Km先の油田で火事が発生。
石油会社は火を消し止めるために
ニトログリセリンを500Km先の現場まで
トラックで運ぶことに決めた。安全装置の
ないトラックでニトロを運ぶのは命がけである。
そこで街の食い詰め者に2000ドルの報酬で
運ばせることにした。
選ばれた4人は2台のトラックに分かれ、500Km
先の目的地に向かうが・・。

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イブモンタンが演じる主人公の「ならず者」
名は「マリオ」。
そんなマリオと後に喧嘩別れしてしまうが
今でいうシェアハウスをしていた気のいい奴、
彼の名が「ルイージ」である。

「マリオ」といえば「ルイージ」だろ?と。
おそらく例の土管兄弟はこの映画を観た人間が
プランニング段階で思いついたに違いない。

イブモンタン演じる「マリオ」は、どっから見ても
例のヒゲと帽子の男からは程遠いが
「ルイージ」の方は、見た目結構「マリオ」である。
ハリウッドの珍作映画
「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」に
そのまま出演できそうだ。

舞台となるは南米「ベネズエラ」の田舎町。
ココには「移民者」といえば聞えがいいけど
単に食い潰れた素性の知れない連中が
世界中から集まってくる地獄の一丁目。

だいたいは、何らかの理由で故郷を追われ
逃げるように片道切符で集まってきた連中。
「こんなところ、いつか脱出したい」と思っても
違法滞在者なので仕事もなく、
たまたま手に入れた金は全部飲んでしまう有様。
これではいつまでたっても航空機チケットは
入手できそうもない。

その「移民者」の吹き溜まり連の
鬱屈した日常生活というものが、
映画開始30分間、酒場を舞台に
とうとうと描写されるのだが
正直、どうでもいいシーンが続く。
この辺いかにもフランス映画で
ちょっとウンザリ。

彼らの未来のないウンザリとした日々を
観客に見せつけ、早いとこ抜け出したいと
主人公同様に思わせるのが狙い、だとすれば
監督のもくろみは見事に成功している。



ニトロ満載のトラックは二台。
一号車:マリオ/ジョー組
二号車:ルイージ/ドイツ人組

仮にどっちがが爆発しても影響ないように
二台は距離を置いて出発する。
コインを裏表とかなんやかやありまして
たしか・・二号車から出発したはず。

道中にはイベントがたくさん用意してありまして
でこぼこ悪路、切り返しが難しい狭路
(画面を見る限り、さほど困難には見えないが・・)
落石、相方の逃走w等々。

マリオと組んだジョー。
登場時はピシッとして、いかにも
パリの暗黒街で顔役だったような風貌。
ワルが過ぎてフランスを後にしてきたけど
やっぱベネスエラの田舎町でくすぶってる
奴らとはどこか違うな!と主人公たちに
思わせたのだが・・見事にカンチガイでした。

所詮、故郷を追われ
ベネズエラくんだりまで流れてくる輩など
ロクな奴がいません。
彼が語ったとおり、確かに昔は
それなりにパリでブイブイだったのかもしれないが
それにしたって「老い」には勝てないのか
ジョーは大口の割に、運転をほとんどマリオに任せ
何かと逃げ出す。

完ぺきにめっきがはがれてしまったジョー。
そのジョーに対するマリオのいびりが続く。
「報酬2000ドルは運転している人間だけが
 もらうべき。お前なんか座っているだけじゃないか」
「運転している方がまだ気が紛れていい
 2000ドルは恐怖の報酬だ・・」
とジョーは返す。



一応、ネタバレはしないでおきますが

巻きタバコの葉が、真空に吸い寄せられて
すっと、一瞬で手元から無くなる描写は秀逸。

それから相方を轢くなよマリオ。
もうちょっと慎重に運転しないと。
切り返しの崖しかり、石油の池しかり・・。
だんだんジョーが可哀想になってくる。

初めて観たときには、そのオチに
いやいやマリオさん、それはないだろ、
とつぶやいてしまった。
だからさ、もう少し慎重になって欲しかった。
主人公らしくね。

結局「過ちは、易き所に成りて、必ず仕る事にて候」
って教訓話だったのだろうか。

ヴェラ・クルーゾーが演じる町娘リンダ
彼女、わき毛ふさふさ。
そういった文化圏なんだろうな。
向こう(南米)は。

恐怖の報酬
Le Salaire de la peur
監督 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
脚本 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

出演者
マリオ/イヴ・モンタン
M・ジョー/シャルル・ヴァネル
ルイージ/フォルコ・ルリ
ビンバ/ペーター・ファン・アイク
リンダ/ヴェラ・クルーゾー
エルナンデス/ダリオ・モレノ
ビル・オブライエン/ウィリアム・タッブス

音楽 ジョルジュ・オーリック
撮影 アルマン・ティラール
編集 マドレーヌ・ギュ
ヘンリ・ルスト

配給 東和
公開
1953年4月22日

上映時間 131分
148分(ディレクターズカット版)

製作国 フランス/イタリア

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(カ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする