「どやっちゃあ〜!!」
残念ながら「半沢直樹」のように
少しも流行りませんでしたけれども。
主人公が自棄になったときに
(あるいはヤル気になったときに)
叫んでいた言葉です。
TBSテレビ60周年特別企画
日曜劇場 『天皇の料理番』
あれ?この間も
ナントカ周年記念ドラマってなかったか?
一瞬考えたが、あれは
信長協奏曲でフヂTVだった。
<あらすぢ>
福井県武生村に生まれ、幼い頃からやんちゃな
性格だった秋山篤蔵は、両親により入れられた
寺も破門となってしまう。優秀な兄、周太郎に
反してあまりに単純で短気な篤蔵に頭を悩ませた
両親は、篤蔵を海産物問屋の松前屋の婿養子に
させる。
松前屋の跡取りとして働いていた篤蔵はある日
陸軍鯖江連隊の厨房で働く炊事軍曹の田辺と
出会う。そこで食べたカツレツの味に衝撃を
受けた篤蔵は・・。
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天皇の料理番といえば
ジブンは「堺正章」Verかな。
農家の悪ガキがたまたま目にした
文明開化の味=カツレツをつまみ食い
当然、ゲンコツを喰らうも
その味を忘れられず、紆余曲折の末に
天皇の料理番になるという・・。
こちらのTBSテレビ60周年・佐藤健版は
何やっても続かない、自分探しの旅
絶賛実施中の田舎の暴れん坊が、
納品先の陸軍基地で知り合った
炊事軍曹の田辺(演:伊藤英明)に
西洋料理(のサワリ)を教えてもらい
料理に目覚める。
ドラマしか観ていないので何とも言えないが
佐藤健版のほうが
もしかしたら原作に忠実なのかもしれない。
主人公の兄、周太郎(演:鈴木亮平)。
主人公よりもよほど優秀で
その能力をお国の為に役立てたいと
帝都の法曹界で頑張っている。
佐藤健演じる弟のことを呆れつつも
暖かく見守っていたが”ある時”を境に
自分の夢を弟に託すようになる。
”帝国一の料理人になる!!”と
言いながらフラフラしていた弟だったが
この状況を打破するには
”海外”へ行くしかない。
”花の都パリがワシを待ってるんじゃァ”と
勘当されまくりの田舎の父へ留学代を
お願いしにゆく。
父には当然拒絶されたが、そんな弟に
留学費を出してくれたのは兄だった。
兄は重度の結核で、先が短いことが
明らかになり、自らが相続するはずだった
田舎の田畑を売却して留学費に充てたのだった。
その手紙が泣かせるんだ。これが。
「(かなり意訳)自分は実は腹黒いから
なんで病気になったのが俺なんだ!と
自分の運命を呪っている。
だからせめて、
俺の弟は帝国一の料理人になった!
弟がそうなれたのも、俺の献身に
よるものなんだ、と他に自慢できる
誇りを持ってゆきたいのだ」
メイクの効果もあるのだろうけれど
お兄さん役の鈴木亮平氏。
頬もこけて見事なまでに病人でありました。
そしていろいろありまして・・
花のパリにて修業開始。
当時はまだ平気で”黄禍論”なんて
言葉が通用する時代。
現代でも、例えばアフリカあたりの
聞いたことない国出身の男が
一流ホテルの厨房で料理人修業として
押しかけてくるようなもんでしょ。
そら風当たりも相当だったはず。
在仏日本大使・粟野慎一郎を演じるのが
特別出演、郷ひろみ。
彼の演技力はこの際置いといて
大使は、この時代に珍しい在仏日本人(佐藤健)に
なにか面倒が起こると、気さくに
”話”だけは聞いてくれる。しかし
”ワタシは貴君に雇われているわけではないから”
とあんまり力になってくれない。
一方で健くん。職場で認められてゆくものの
給料が上がらない。そこでまず正社員を
目指そうとするも、フランス料理人業界では
正社員は全員”ユニオン”とやらに
入らなければいけないらしい。
ところが東洋人でユニオン入りを認められた
例はない。これにはフランス当時の人種差別に
職業差別、経営者側の有能な人間を安くこき
使いたいという思惑があったようだ。
そこでようやくヒロミGO大使が動く。
渋るホテルの支配人に、言葉巧みに
”ユニオン”入りを認めさせる。
一件落着だ。健くん大喜び。
喜ぶ健くんを尻目に
「じゃ、そうゆうことで」と
立ち去ろうとする支配人。
普通はメデタシメデタシで終わる話である。
ジブンが感心したのは、ここから。
ヒロミGO大使はここで支配人を引き留め
その場で健くんの正社員昇格と昇給をも
支配人に約束させたのだった。
ここで支配人を帰らせてしまうと
彼からすると、ユニオン加入を認めただけ、と
後日いくらでも強弁できてしまうからだ。
おお、日本代表として国際外交の
矢面にいるのはダテじゃないな、と。
そして常に契約社会で鍛えられている
西洋人ってズルッコイな、と。
料理人の出世物語ではあるが
こんな小エピソードに、なんか
営業活動の極意を見せつけられたようで
非常に勉強になりました。
この他にも昭和天皇の料理に
タコ糸が入っていたときのエピソードや
佐藤健が宮中を退職するときの
静かな引き際シーンとか、ドラマを通して
人ひとりの人生を、じっくり眺めてきたような
充実感は感じられましたよ。
「どやっちゃあ〜!!」
ちゃんちゃん。
TBSテレビ60周年特別企画
天皇の料理番
ジャンル:テレビドラマ
放送時間:日曜21:00 - 21:54(54分)
放送期間:2015年4月26日 - 7月12日(12回)
制作局:TBS
演出:平川雄一朗/ 岡本伸吾/中前勇児/山室大輔
原作:杉森久英
脚本:森下佳子
プロデューサー:石丸彰彦
出演者:
佐藤健
黒木華
桐谷健太
柄本佑
鈴木亮平
伊藤英明
郷ひろみ (特別出演)
杉本哲太
小林薫
オープニング:
エドワード・エルガー「威風堂々」
エンディング:
さだまさし「夢見る人」
時代設定:
1904年(明治37年) - 1972年(昭和47年)
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