2018年03月27日

「影武者 徳川家康」 隆慶一郎

「影武者 徳川家康」

PONが尊敬してやまない作家。
隆慶一郎先生の代表作。
先日、久々に読み直したのだが
やはり何度読んでも面白い。

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)
影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

司馬遼太郎が、あんた彼から
どんな酷い仕打ちを受けたの?と
小一時間問い詰めたくなっちゃうくらい
自作中で乃木将軍をめちゃめちゃに
コキ下ろしていたけれども

隆慶一郎先生にとっての
乃木将軍にあたるらしいのが徳川秀忠。
一般的な彼の評価は
戦争が下手(関が原で天下の大遅刻)。
常に家康をたてる孝行者。
奥さんの尻に敷かれており
天下の将軍なのに愛人も持てない
平時にはぴったりな治世者。
人畜無害無味無臭絶対安全の二代目と
いった感じであるが
隆慶一郎先生の眼には
ぜんぜんそのようには思えなかったみたいだ。

これは作品に出てくるキャラ、本多正信に
言わせているのだが、
”若い男(→当時の秀忠のこと)で
 そんな絵に描いたような孝行息子なぞいる
 はずがない。若いうちは馬鹿をやって
 当然で、もしそのような出来た若者と
 評価される奴がいるとすれば、
 そいつは恐ろしく抑制の効く奴で
 非常に性根が冷酷に違いない”
と秀忠をディスりまくってる。

世間的には、偉大な親と孝行息子が
手に手を携え江戸幕府を支えているように
見えるが、実は空いているもう一方の手で
背中越しに双方ともドツキ合いしており

柳生裏忍軍(秀忠)VS
甲斐の六郎(影武者家康)
という図式で
次から次へ闇の死闘が続く。

影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)
影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)

キホン、血なまぐさい話が
ずっと続くんだけど
ジブンの大好きなエピがある。

甲斐の六郎の妻で”おふう”という
スゴウデ”くのいち”がいる。
ある日、夫婦で城下にささやかな
我が家を構えて引っ越すこととなった。
無論、これは敵、柳生忍軍の目を欺く
擬態で、果てしない血で血を洗う
暗闘の一環だったのだが・・

おふうも女性。これまでシゴトオンリー
だった彼女が、鍋釜から箸、茶碗まで
丁寧に吟味し、自分たちの新居の準備を
行うという、あたりまえで平穏な喜び
このとき初めて知ってしまったのである。

旦那の六郎と共に、嬉々として
ひたすら買い物を続ける、おふう。

これには旦那の六郎はもちろん、
彼女らをつけねらい監視する
影の柳生者のみなさん、
さらには護衛の風魔衆まで
バトルに関係する男衆は
みなそろってウンザリするのだった。

使命のため、たいていのことは
ガマンできるプロの男衆。
出会ったら殺しあうしかないが
敵味方を越え、たぶんその瞬間だけは
皆で、苦笑しあえるに違いない。

この小説でかなり残念な扱いを
受けてるキャラ。徳川四天王の皆さん。

まずは徳川四天王の筆頭、本多忠勝
最初に影武者、世良田二郎三郎の
能力に気づき、この日本史上で
類を見ない大芝居を、徳川家のために
続ける下地を作ったのは彼だったのだが
物語の中盤には、領地桑名に引きこもり
ぜんぜん出てこなくなっちゃう。

次に榊原康政
最後まで秀忠の肩を持ったり
場の空気を読もうともしない
変な武将として描かれ、
いつの間にか小説から居なくなる。

大河でちょっとだけ話題になった
井伊直政。猛烈な出世欲が仇に。
本物の家康の息子(忠吉)を
義理の息子にもらった彼は
関が原の戦いで息子を活躍させ
それを手土産に息子を
秀忠に代わる次の将軍にしようと
もくろんだ・・が終わってみれば
自分は鉄砲傷で重体に。
己が親子の戦いぶりを
見ていて欲しかった本物の
家康は刺客の手にかかり死亡。
なんかもームチャクチャな
心理状態になった井伊直政は
大局とマッタク関係ないタイミングで
影武者とはいえ家康の暗殺を試みたり
とにかく空気読まなさ杉な武者として
書かれ、悔し涙と失意のうちに
関が原の鉄砲傷が致命傷で死去。

酒井忠次は出てこなかった。
というか関が原の前に亡くなってたような。

影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)
影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)

こんな風に書き始めますと
この先も延々と続きそうですので
ひとまずこの辺りで止めておき
再読したらまた続けます。

影武者 徳川家康 完全版 コミック 1-4巻セット (トクマコミックス)
影武者 徳川家康 完全版 コミック 1-4巻セット (トクマコミックス)
漫画はねぇ・・。特にSAK〇Nとかどうなのアレ。

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2018年03月24日

超高速!参勤交代(映画)

「超高速!参勤交代(映画)」

年末にいきなり
「超高速!参勤交代」と
「超高速!参勤交代リターンズ」が
放映してたんで録画観賞。
まずは超高速!参勤交代から。

基本的にはコメディなんだろうが
笑いも時代劇としてもなんか中途半端。
全然ハジけていないのが残念。
それとチャンバラシーンが
必要以上に長く、もっと超高速な
展開が欲しかったところ。

あらすぢ
江戸時代、8代将軍・徳川吉宗治世下の享保20年
(1735年)。陸奥国磐城の小藩・湯長谷藩の藩主
内藤政醇は、1年間の江戸での勤めを終えて
湯長谷に帰国した。ところが、それから間もなく
江戸屋敷に居るはずの江戸家老・瀬川が、江戸幕府老中
松平信祝の命令を携えて政醇の前に現れる。
その命令とは、帰国を果たしたばかりの政醇に対し、
湯長谷藩が所有する金山の調査結果に疑義があるため、
事情説明のために・・
「5日のうちに再び参勤せよ」

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小藩のお殿様、佐々木蔵之介が
またいい人物で。
それもホンキで戦うと実は強いとか
ほとんど反則キャラ。
その”いいひと”ぶりが
自藩と本人を救うことになる。
このようなコメディ映画では
もはやお約束といえる。

一方、悪老中役に陣内孝則。
往年の萬屋錦之介バリにすごいメイク。

幕府が今回、佐々木蔵之介が藩に
無理難題を押し付け、さんざんに
引っかきまわしたのは
実は幕府内のこの獅子身中の虫を
排除しようとしたためらしい。

ラスト、すべてが暴露されても
なお悪あがきをする陣内老中。
すると彼より偉いらしい老中頭役の
石橋蓮司が、非常に物分りのよい顔で
弱者側にたち、その場を収めてしまう。

石橋蓮司が演じるキャラはいつも
その顔のとおり
”ワルに見えて極悪”か
”ワルに見えても実は・・”
の二択しかないけど
おお、今回は後者だったか、とか思った。
ところがである。

巨悪なんてものは
そうそう排除できるものじゃない。

石橋蓮司は陣内老中の叔父だったか
とにかく身内だったようで。
外にはいい顔をしながら
ウラでは、自宅謹慎→実質無罪という
超甘々の裁きをして終了。
やはり権力は身内に甘い。もりかけおそば。

事件はひとまず収束、一同が
ホッとしているとき、石橋蓮司の
さらに上のラスボスが登場する。

暴れん坊ショーグン吉宗である。
(演:市川猿之助)

将軍さんよ、今回の騒動が
江戸幕府のゴタゴタから始まったこと
それに無実の弱小藩が
振り回されてるだけなこと。
そこまで理解しているのなら、
せめて費用ぐらい面倒みてあげようよ。
最後に出てきていい顔だけされても。

でも吉宗は今回の騒動をねぎらいながらも
こう言い切るのだった。
我が幕府に弱いものはいらぬ」(意訳)

仮に蔵之介の藩が、話のように
上手く行かず、御家取り潰しになっても
それはそれでしょうがない、と
ふんでいた模様。嫌なヤツだな。

実際、本物の吉宗って”色黒の大男”
だったらしく、今だったら
結果にコミットしちゃう
マッチョインストラクターのイメージ?

さらにショーグンは続ける。
政(まつりごと)をおろそかにして
 土を汚してはならない


・・蔵之介藩の名産は上質の大根で
これの漬物を、毎年江戸に献上。
方々に評判でショーグンも好物らしい。

つまり”あの漬物が旨いうちは、
蔵之介藩も安泰だ。いつまでも
イイ大根が取れる畑と、
それを守る政治を大事にしろ”
どうもそんなことを
言いたかったみたい。

なにを今更、と思わなくもないが
政治にコミットしないといけないのが
ショーグン様
だからな。仕方なし。

けれど、ごめんな、ショーグン。
現在のニッポンと福島の大地は
かなり貴君を裏切ってしまってる。

この監督さんは、映画を通して
この台詞こそ世に放ちたかったのでしょう。

佐々木蔵之介藩がピンチは
ぜんぶ、殿様の普段からの言動が
そのまま助けとなって乗り越えられた。
月並みではありますが
「情けは人のためならず」ってコト。

超高速!参勤交代
超高速!参勤交代

あと、コレだけは。
いくら佐々木蔵之介殿様がいい人でも
道中知り合った飯盛女(演:深田恭子)を
側室にするのはちとやりすぎでしょう。
だって普通、”飯盛女”って
コールガールと同義なんじゃないか。

リターンズのほうはまだ観てません。
どうも彼らの帰路の話のようですが、
それはまたいずれ。

「超高速!参勤交代」

監督:本木克英

脚本:土橋章宏
原作:土橋章宏
製作:矢島孝
製作総指揮:大角正

出演者
佐々木蔵之介
深田恭子
伊原剛志
寺脇康文
上地雄輔
知念侑李
柄本時生
六角精児
市川猿之助
石橋蓮司
陣内孝則
西村雅彦

音楽:周防義和
主題歌:塩ノ谷早耶香「Like a flower」

撮影:江原祥二
編集:川瀬功

製作会社:松竹撮影所
配給:松竹
公開:2014年6月21日
上映時間:119分
製作国:日本
言語:日本語
次作:超高速!参勤交代 リターンズ

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2018年03月19日

可愛がるのと甘やかしの差

「可愛がるのと甘やかしの差」

例えば、今日は簡単に
魚でも焼いて晩飯としよう、などと
親が思う。
そんなときに限って子供は
TVでファミレスのCMを見てしまい
はんばーぐが食べたかった〜とか
カレーがいい〜なんて言う。

そんなとき、魚は親が食べるから
カレーを出してあげましょうね、なんてのは
親側の対応としては
かなり最低にちかい行為だと思っていい。
そこは親が曲げてはいけないトコロなんだって。

要は子供には”いわせとけ”ってこった。
はは。なるほど。

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2018年03月16日

機関車トーマス

「機関車トーマス」

息子も11歳
さすがにトーマスで騒ぐことはなくなった。
代わりにムスメ4歳が、ほんの少しだけ
トーマスに興味を持った。
興味を持ったとはいっても
彼女のお気に入り”プリキュア”シリーズと
(アニメの)ドラえもんで99%
トーマスはせいぜい1%といった所。

そんなもんでムスメに付き合って
何回かトーマスを見てみたんだけれども・・
ありゃもうダメだな。

近作は完全にCGで作られているのだ。
トーマスは、鉄道模型で物語を
つくられていたのが最大の長所。

イギリスが生んだ傑作
サンダーバードがそうであるように
イギリスならば、模型による
絵作りでナンボだと思うのデス。

きかんしゃトーマス大図鑑
きかんしゃトーマス大図鑑

まあ、ムスメはそんな父の思いなぞ
まったく関係なく、少しだけ
トーマスを観たらもう満足。
そのままプリキュアのぬり絵に突入しました。


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2018年03月15日

「日本海軍の戦略発想」 千早正隆

「日本海軍の戦略発想」 千早正隆

日本海軍の戦略発想 
著 千早正隆 中公文庫

あらすぢっつーか内容
内容(「BOOK」データベースより)
欧米の歴史家の間で、その英文コピーが
珍重され、数々の問題作に引用された
幻の『チハヤ・リポート』。
好評名著、決定版の復刊。

内容(「MARC」データベースより)
日本型組織の栄光と挫折、歴史の教訓に
今、何を学ぶか?責任感あふるる
良心的な元海軍軍人が、敗戦の悲運に
泣きながら筆をとった渾身の力作。
欧米の歴史家の間で珍重され、数々の
問題作に引用された幻のリポート。

***********************

上記、内容はAMAZONの本紹介から
コピペしたものだが「珍重」ってなんだろ。
字面だけみれば「珍しがって大事にする」って
ことなんだが、こんな言葉を使ってしまうと
なんか欧米からバカにされている気がするよ。

ま「珍重」はお脇に置いておいても・・

>数々の問題作に引用された幻のリポート。

数々の問題作って何?
どこぞの誰かが無責任に書きたらした
トンデモ歴史書のことでも
指しているのか、それとも西洋の偏った
対日戦争観が見直されるほどの
インパクトや影響力をもった
「問題作」があるのだろうか?

まいいや、少々長いですが、
内容で気になった箇所を書き写したメモが
残っていたので転載します。

・究極において、日本海軍の当局者は
 戦争と戦闘を混同した、と推論する。

・牽強付会
 戦前の軍人が当時の米海軍の潜水艦の脅威について
 分析(したというか、これじゃまるで床屋談義である)
「米国潜水艦については
 それほど怖がらなくても良い
 なぜなら米国人は享楽的で
 質実剛健に乏しいから
 潜水艦乗りに相応しくない・・」

・徹底性を欠く日本の国民性
 あえて相撲を例に。戦争とスポーツを
 同様にかたるが、格闘技とはいえ
 日本の相撲にはさまざまな”制約”があり
 鮮やかにワザが決まれば、
 相手にまだ戦闘力が残っていようと
 勝負にはまったく関係ない。

・程度を越えムキになることが
 いかに重大な結果をもたらすか。
 マージャンもムキになれば
 傷が深まるだけというのは
 我々が日常で経験していることである。
(このくだりを読みはじめた時、このヒトまじめに
 書いているのかな?と少々疑問を感じたw)

・敗北の原因は、圧倒的な物量も
 さることながら優秀な人材を豊富に抱え
 きちんと機能する組織を持つ
 米国という国に負けたということ。
 それも惜敗ではなく完敗。

うーん。なるほど。
負けるべくして負けた、と。

日本海軍の戦略発想 (中公文庫)
日本海軍の戦略発想 (中公文庫)

シンゴジラでも矢口蘭堂(演:長谷川博己)
内閣官房副長官がいってた。
「大臣。先の戦争では旧日本軍の希望的観測、
 机上の空論、こうあってほしいという発想などに
 しがみついたが為に、国民に300万人以上もの
 犠牲者が出ています。根拠のない楽観は禁物です」

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2018年03月13日

イクメンの研修会

「イクメンの研修会」

ソースはどこかの多分、NHKあたりか、
新聞のコラムかそんなトコから。

あるトコでイクメンの研修会が行われた。
講師はとても有名な人。
鼻息も荒く、新米親父連中が参加。

講師先生は、挨拶もそこそこに
新米親父たちにいきなりパズルだか
クイズ集みたいのを出したんだそう。
難易度は軽め、誰でも時間さえかければ
全問正解もありうる。

これらを早く正確に答えられた人ほど
”イクメン”として素質がある、と
判定されるらしい。
男ってバカだから、我先にと、
自分たちが何でココに集ったのかすら
忘れたかように解答を始めた。

一瞬、静かになる会場。
だが、そうは問屋が卸さない。

突然、講師先生をはじめ、助手の人までが
解答をあせる新米親父の各席にまで来て
様々に問いかけ、話しかけ、世間話を
はじめたのだ。

”うーーん。邪魔!
 早く回答したいのに”

多くの新米親父どもが、先生達の話しかけを
ありがた迷惑に思ったことだろう。

そういったアクシデント?を乗り越え
あるいはテキトーに流しながら
全問回答をめざす親父達。
だが先生達の話はさらにヒートアップする!
結構なストレスだ。
そして時間切れが。

結局、全問正解どころか全解答できた人も
いなかったようだ。不満たらたらな
新米親父たちにむかい、講師先生は
涼しい顔でこう言う。

みなさん、これがあなた方の奥さんが
 今、もしくはこれから置かれる状況です


実は、その講師はいつも初っ端にコレをやる。
新米親父達は、その都度感心し
そしてより熱心に講義を受けるそうだ。

一応、解説しておきますとですね、
親父達が全解チャレンジした問題が
新米母親にとって”家事全般”に相当。
そして講師と助手の”話しかけ”が
赤ちゃんの様々なアクション
(うんち、おしっこ、おなかすいた、夜泣き・・)
に相当すると
思ってください。

なるほどな〜。

(参考に)我が児を彼氏に例えたら

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2018年03月11日

「天空の蜂」東野圭吾

「天空の蜂」東野圭吾

原発に関してネガティブな発言や
表現をしたら、たちどころに
有形無形の圧力がかかるような
かなり窮屈な時代であった
311大災害前に書かれた作品。

あらすぢ
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が
満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、
稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質
にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の
決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき……。
驚愕のクライシス、圧倒的な緊追感で魅了する
傑作サスペンス。

************************
さすがの東野作品。
先を読み進めたくなるし
実際にさくさく読める。

物語の前半、主人公の同僚の子供が
事件に巻き込まれるところは
やや余計な気もするが
それは作品の映画化も視野におき
物語の平坦さを避けるため
とりあえず入れておいた
スペクタクルシーンと解釈した。
作者の戦略なのだろう。

「子供は蜂に刺されて
 初めて蜂の恐ろしさを知る
 今度のことが教訓となることを祈る」

「沈黙する群集に原子炉のことを
 忘れさせてはならない。
 常に意識させ、
 そして自らの道を選択させるのだ」

天空の蜂 (講談社文庫)
天空の蜂 (講談社文庫)

こっから一部ネタバレしてしまいます。

地震も大変だったけれど
それ以上に津波とフクイチの悲劇の事を
俺たちは忘れちゃならない。

この語はもちろんフィクションで
犯人は原発と原発を巡る人と組織といった
すべてが、いかにいい加減で、
いかにもろいものであるか
一般大衆に教唆するためにテロを起こす。

なのに我が現実世界は
小説内容に追いついてしまった。
物語中の犯人は、志半ばで終わったため
メッセージを隅々まで送ることが
できなかったけれども、リアル世界では
犯人に代わって自然界が、思い上がった
人間に対しての教育的指導にしては
ちょっとやり過ぎじゃないか?と
言いたくなるくらいの苛烈さで
フクイチを破壊してみせて今に至ってる。

なのに自分も含め
「社会の原発に対するイシキ」というものは
正直それほど変化がないように思う。
というよりも日本人お得意の
「喉元過ぎれば・・」ってヤツだ。

こんなんじゃ、小説の思想テロが
たとえば成功していたとしても
一般大衆への影響は変わらなかったろうな。

忘れないように転記しとくけれど
南相馬のある川底。
”2万8000ベクレル”だって。
当時やってたNHKスペシャルより。

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2018年03月08日

センゴク権兵衛 10巻

「センゴク権兵衛 10巻」

後世、仙石秀久が
こんなワタクシにまで
使えない武将扱いされ
長宗我部の長男が戦死して
長宗我部家没落のキッカケになった
戸次川の戦い

その戦いがついに戦国コミック
センゴク権兵衛で描かれた。
(ジブンは単行本派なんで
 連載とタイムラグがあります・・)

センゴク権兵衛(10) (ヤングマガジンコミックス)
センゴク権兵衛(10) (ヤングマガジンコミックス)

やばい。
ヤヴァイですよ。

戦国時代になんか
間違っても行きたくねえ、とか初めて思った。
名将でも愚将でもない、人殺しなんかない
普通の人でイイ、と思った。

武士は負けたら泥、カラスの餌。

このマンガを読むような人には
もう先刻ご承知のことですが
鬼島津が強かった秘中の戦術に
”釣り野伏せ”(つりのぶせ)ってのが
ありましてですね、
なんせ秘術ですから、どういった戦い方なのか
島津家の公式文書に残ってない。
でも彼らの戦い方をいろいろと研究してみると

要するに、自軍の一部を”囮(おとり)”として
敵前面に出し、わざとやられた振りをして逃走。
すると敵は調子に乗って追撃を開始する。
軍隊が弱くなるのは、たてに伸びたときに
後ろや横から攻撃されること。
ですので野伏せ(待ち伏せ)してた
別の島津軍が後ろやら、横合いから攻撃開始!
敵軍壊滅、ってナガレ。

銀英伝好きならよく解かるハズ。
そう、ヤン艦隊、十八番の戦い方。
ムライ参謀長いわく「ウチの艦隊は
逃げることばかり上手くなって・・」と
ぼやいたアレです。
たしか銀英伝の作者って九州出身
じゃなかったっけか?
だとしたら知ってて当然。
小説に取り入れても全然不思議じゃないです。

んで、その「釣り野伏せ」が島津軍の強さ・・
なのかと言えば確かにその一部ではあるのですが、
マンガの解釈だと、島津軍の強さというか
恐ろしさは、そんなところじゃない。

いわく、
薩摩はあまり作物がとれない地域、
食えない不満は外にぶつけ、
食べ物は分捕るしかない、つまり戦うしかなかった。
自然と尚武の土地柄になる。卑怯をこそ恐れ、
弱さによってヘタこいた場合は連帯責任。
全員殺されることだってある。
よって・・
島津の兵士は敵ではなく自軍の将こそ恐れる

戦国時代という時代であっても、ほとんどの”戦”は
侵略者(他国の軍勢)が、自国から出て行けば上等。
欲を言えば二度と攻める気を持たなくなれば最良。
”戦う気力”の無くなったら終了で
自軍が100人のうち10人も死ねば
戦いたくなくなる、ふつーは。
殲滅(皆殺し)なんて考えの外なのである。

どんな名将が率いたところで
死人は必ず出るものだ。戦国時代といっても
たかが雑兵とはいえど、自国の戦争で死人がでたら
その家族にしっかりと補償しないといけない。
そうしないと次に戦いがあったとき
誰もジブンについてきてくれない。
だからどこの国だって、簡単に自軍の人間を
死なせたくないし、できれば戦わないで
コトを終わらせたいものなのだ。

ホンキで戦っていない、とは言わないが
そういった時代の暗黙のルールがあるのに

首なんか獲るくらいなら1人でも多く殺せ!
前に居る味方が敵と戦っている間に
後ろから味方ごと敵を殺せ!
自らの肉を切らせているうちに
相手の骨を絶て!
命令不服従や退却なんてしたら死あるのみ!


そんなバケモノじみた戦い方が
当たり前である国があったらどうなるか?

それが実際にあったのである。

戦国時代のフツーの”いくさ”では
率いる勢力の10%に被害
(死人が出たってコト)があれば
もう敗色濃厚。
20%ならばほぼ”壊滅”といってよいらしい。

長宗我部信親(長男)はあの戦いで
1000名を率いていたそうだが、
そのうち700名が戦死した。
戦死ですよ?しかも大将も殺されている。

「戸次川の戦い」では、結局大将格が
三名も討ち死にしている。
これって異常すぎる事態なのです。

今後、戦国シミュレーションするときは
もっと”兵数”に気を使おう、と
妙なところで思いを新たにする。
500→0になるまで戦わせちゃうしなァ。

もっともコミックにあった鬼島津の
”神振り”の戦い方は論外。

マンガ的にイイキャラ立ちしてた
大友宗麟の息子、大友義統。
彼は遊軍として500名で、戦場に居たらしいけれど
全然描かれていない。
どこ行っちゃった?
やっぱ長宗我部の親父さん軍に吸収されて
スサノオ降臨とともに逃亡?
そんなところかもな。
一応、朝鮮半島の戦いにも従軍し
少なくとも関が原では黒田軍と戦っているから
あの地獄からは生き抜いただろうが。

長宗我部の親父(元親)のいう
”暴嵐の戦場では卑怯者こそが生き残る
 我が子には卑怯者であって欲しい”(意訳)
のとおり、仙石だけじゃなくって
大友の息子は真っ先に逃亡したんだろう。

でも名声も金銭も、すべては生き残ってこそ。
死んだらどうにもならない。

乱戦の中で”将の器”の話が出てきた。
将の器を持つ奴とはどんな奴なのか。
考え方に、どうも二つの潮流がある。
”最後まで部下を見捨てない男のこと”と
考える人々が居る反面、
”いざとなったら部下を見捨てられる
 冷酷さを持つ男”のコトだと。

後の話になるけども、今回の件で、
社会的に抹殺される”仙石秀久”は
小田原の北条攻めにおいて
家康の仲介もあって、秀吉に許される。
そのとき長宗我部艦隊も秀吉の命令で
相模湾にきているのだ。

艦隊に元親が乗っていたか調べてないが
オッソロしい天下人の命令、
まさか部下だけ小田原に派遣したって
訳でもないでしょうし、おそらく
彼もその場に居たのでしょう。

大事にしていた息子を失うことになった
最大の要因である仙石が小田原城に居る、
しかも許しを請うために。
この話を長宗我部元親が知っていたら
どう思っただろう。
ま、20万人以上が集まった戦いで
今みたいに簡単にやりとりできる時代でも
じゃないし、多分、元親は何も知らずに
小田原城を海から眺めていただけなのかもな。

にしても、狂乱の戦場での長宗我部元親。
あの存在感、頼もしさハンパじゃない。

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2018年03月07日

「ガンダムMS名鑑」「ガンダム武器名鑑」

「ガンダムMS名鑑」
”レッカ社なる会社のお仕事。

ガンダム宇宙世紀シリーズ
初代、Z、ZZ、逆シャア、F91、Vの
MS・MAを紹介したもの。
俺、やっぱりF91とVガンのメカは
全部、胃が受け付けませんや。

「ガンダム武器名鑑」
”レッカ社”なる会社がやったお仕事その2。

今度は武器でもう一旗、って編集。
うーーん。MSの武器です。
それ以上でも以下でもないな。

昔から気になってたのだけど
最強すぎる武装として
”Zのシールド”と
”ZZのシールド
(両腕に着いてる翼のような赤いアレです)”
の記載もあった。
双方とも一応変形に必要なパーツなので
劇中で壊れたことがない(はず)。
でもこの本によれば
ZZはなんとあの赤い羽根を
敵に投げつけたこともあるらしい。
なんじゃそら?

それとこれもZZから。
ダブルビームライフルの撃鉄部。
あれなんかコクピットがそのまま撃鉄部に。
基本、武器は消耗品です。
あんなトコロに別パイロットを
収納したままどう戦えと。

そもそもZZはスーパーフォートレスに
変形したことあったんだろうか。
知っている方がいたら、第何話なのか
教えて欲しいです。割とマジに。

おお、たかが武器なのに
これほど書けてしまった。

本はすぐに売り飛ばしました。

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2018年03月05日

「シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星」池田秀一

「シャアへの鎮魂歌
 わが青春の赤い彗星」廣済堂文庫

読んだ、すぐ売却した。
ただそれだけ。
108円→10円だった。
こってりした読書が続けば
食間に”漬物”とか
食べたくなりますよね。
てなわけで漬物に相当。

シャアの声をやっている
「池田秀一」氏の一代記。
シャアの声で脳内再生して読む。
もともと氏は子役デビューで
声優はたまたま回ってきた
仕事だったらしい。
故石原裕次郎とも交流があって
そんな話がつらつらと。

シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星
シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星
これは新書版の方かな・・

私生活ではブライトの中の人や
セイラの中の人(いずれも故人)と
交流があって、両人が亡くなった時の
悲しさなどが伝わってきた。
もちろんアムロの中の人とも
交流も語られている。
いまでこそ古谷徹=アムロだけど
彼も元は子役出身。
最初の超あたり役となった
巨人の星の星飛雄馬の呪縛に
相当苦しんでいたらしい。
そこへのアムロ役だった。

年齢の割に声優としてキャリアは
かなり長いので、初代ガンダムの
アテレコ中には、声優として芸暦のない
シャアにいろいろとアドバイスしたらしい。
アムロがだ。

そして、シャア自身、声優という仕事に
ようやく慣れた頃、今度はZガンダム(TV版)
をテレビでやることになった。
その時にはじめて会った
カミーユの中の人に、いかにも新人って感じで
少々危なっかしく思っていたらしい。

そんなカミーユが映画版の時には
もう大ベテランになっていたんで
その成長に「これが若さか・・・」と
思ったとは書いてなかったけど。

シャアというキャラが想像以上に
化け物人気だったんで、池田さんも
気を引き締め、大衆の前ではなるたけ
クールな振舞いを心がけたそうな。
(どうやらご本人は酒豪とか聞きますが)

あとガクトと仲がいいらしく
いろいろと交遊録が。
まあそんな感じの本でした。

いまでこそ池田さんもシャアという
キャラを大切にしているけれども、
確かにこの頃(1980年代)の声優は
声優を志してなった人は大変少なくって
劇団とか俳優で食べるのにキツイ人が
副業でやっている空気があった。
だから、あの頃の純なアニメファンが
お気にキャラ=声優だと思って話しかけると
演じているほうは飯の種に過ぎないから
さほど思い入れがない、なんてザラ。
番組終了後ズイブン経ってから、
初めてジブンが演じた役の影響力に驚く、
といった具合。
これはウルトラマンシリーズなんかにも
言えることでした。

ま、そんなわけでございまして
あくまで”漬物”でございました。

シャアの日常(6) (角川コミックス・エース)
シャアの日常(6) (角川コミックス・エース)

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2018年03月04日

センゴク権兵衛

「センゴク権兵衛」

最近”マンガ”の元気がないらしい。
先日は紙媒体の売り上げを
電子媒体が抜いたらしい。
電子媒体の躍進というよりも
誰もがマンガを買わなくなった・・
そういうことなんだろうな。
確かにこのジブンからして
マンガは買わなくなった。
ちなみに、電子媒体や
違法マンガサイトなどには
手を出していない。

それでいながらこの表題。
センゴクとはヤンマガ連載の戦国漫画。
信長の野望フリークからすれば
先刻ご承知の通り
ザコ武将の筆頭のような扱いを
受け続けてきた戦国武将”仙石秀久”を
主人公とする漫画シリーズだ。

シリーズ1:センゴク
全15巻、本人一兵卒,信長時代,姉川の戦い等
シリーズ2:センゴク天正記
全15巻、一軍の将に,毛利攻め,武田征伐等
シリーズ3:センゴク一統記
全15巻、本能寺の変,秀吉飛躍,淡路大名に
シリーズ4:センゴク権兵衛
讃岐大名に・・戸次川の戦い←Now

外伝:桶狭間戦記

ジブンことPONは、ついぞ漫画を
買わなくなったものの、このセンゴク
シリーズだけは今も購入している。
もっとも揃っているのは
シリーズ最新の”センゴク権兵衛”だけ。
残りはとうに、売っぱらってしまった。

次の10巻(2018年3月6日発売予定)では
いよいよ”戸次川の戦い”の
クライマックスが描かれる。

センゴク権兵衛(10) (ヤンマガKCスペシャル)
センゴク権兵衛(10) (ヤンマガKCスペシャル)

センゴクこと仙石秀久の部隊が
島津に全滅させられ、戦友の鬼十河、
および長曾我部の御曹司を戦死させ
当人は部下20名と共に自国へ逃亡。
怒った秀吉に領国を取り上げられたという
戦いである。
この史実のせいで漫画の主人公
仙石秀久は、ながらく低評価だった。
ゲームだと戦闘力50だったかな。

漫画内じゃ、最前線で武勇をみせる
仙石秀久に周囲の部下が言う。
「あれが、今を時めく豊臣家の
 先駆け大将だ!やはりモノが違うじゃろ」
カッコよさをあおるシーンなんだけども
それにしても戦闘力50だからね・・。
なんか素直に感嘆できない。

小部隊(500人程度)のリーダー、
斬り込み隊長(鉄砲玉)としての才能と
大軍(5000人以上)の司令としての才能
(更には平時の政治家としての才能も)は
ぜんぜん違う、と位のことは
解かりますけれども。

長曾我部と鬼十河の戦死シーンは
痛ましくって見たくないが
史実なのでそれは仕方ない。
漫画のオリジナルキャラの新人武将
通称”ソレガシ(某)”くんも
おそらく戦死するんだろうな。

これ書いている現在(2月末)
おそらく雑誌連載は済んでいる訳で
連載をリアルタイムで楽しんでいる
ファンからすれば、なに言ってんだコイツ?
のタイムラグだろうが、
それでもなお書かずにはいられない。

ここまで、猪武者としてそれなりに
名誉回復方向で描かれてきた
仙石秀久だったが、いったいどんな
資料を持ち出して、読者がそれなりに
納得する当時の事情を漫画化するんだろう。
その辺、楽しみだ。

にしても、やべー
長曾我部親子カッコ良すぎる!
下は意訳。

(御曹司が最前線で死闘を展開中
 親父(元親))軍で援軍に
 行ったほうがいいよ!との報告に)
「信親が心配は予が引き受ける、
 今、目の前の敵と戦え!」

(後ろから島津の攻撃が、このままでは
 退路が絶たれますよ!との報告に)
「父ならやってくれる
 長曾我部元親を信じよ!」

公式サイト発表

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2018年03月01日

「黒祠の島」小野不由美

「黒祠の島」小野不由美 新潮文庫

前々から気になっていた作家さんだった。
「屍鬼」の作者だという程度しか知らない。
たぶん読み始めればハマルのでしょうが
「屍鬼」のほうは
まったく手をつける気配がない。
どうも作中の人間関係を
頭に入れるのが非常に億劫な気がして。
(しかも文庫サイズで全四冊らしい)

なもんで、こっちから手にしてみた。
全1冊だからね。
なのに読み始めたら
ページをめくる手が
止まらなくなりましてね
・・いや困りました。

黒祠(こくし)とは
明治維新で日本各地の神道が
天皇を中心に国家宗教として統合された中
ほそぼそと生き残り、おおっぴらには
信仰されなくなった宗教のこと。
邪教ってことでOKかと。

あらすぢ
調査事務所を営む式部剛は、懇意にしていた
作家の葛木志保が行方不明になったことから、
九州北西部にある彼女の故郷・夜叉島を
訪れることになる。しかし閉鎖的な村人からは
情報を得ることが出来ず、一旦は島を出ようと
するが、何か異様なものを感じ村に留まる
ことにする。その後、村の医師・泰田の協力を
得られることとなったが、泰田から伝えられた
ことは「葛木志保は死んだ」という言葉で
あった。

***********************

横溝正史作品が大好きな人が
私ならこんな風に書きたい
そんな感じかな。

この主人公も、その大先輩たる
金田一耕助もそうなんだけど
そろいもそろって戦闘力がナイ。

なのに、コトの深層をつかむため
己の頭だけを頼りに
敵も味方もわからない場所へ乗り込み
地方の人のココロの闇に
ずけずけと切り込んで行くわけですよ。

当然のことながら
犯人とのニアミスもあったり
また、こんな時に限り、
紛らわしくも余計なことをする輩に
半ば逆恨みのように命をねらわれたりする。

自分の身すら守れないキャラを
主人公に設定し、悪意だらけのトコロへ
配置する構図ってのは、
探偵モノを書く人間には
けっこうリスキーなんじゃないか。
(戦闘力のないルパンって話に
 ならないでしょ)

この話の主人公の場合
幸い、島内に協力者を得ることができ
夜になれば主人公が、昼間新しく入手した
情報を元に、二人、推理合戦に花が咲く。

読んでいるほうとしては
勝手に壁にぶつかったり
勝手に解決したりしているんで
読みススメつつ
推理しなくてもヨイから楽でした。

途中明らかになる、ある
”しかけ”には
さすがに、なんでわざわざ
あのようなメンドウクサイことを
するのか?とも思ったけれど
彼女達もまた、あのような
生きている化石のような島で
育ってしまったからには
どこか”マトモ”じゃなかったのだろう。

黒祠の島 (新潮文庫)
黒祠の島 (新潮文庫)

にしても、家系図とか欲しかった。
読んでてときどき思った。
話に突然でてくるキャラたち・・アンタ誰?

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