2018年03月11日

「天空の蜂」東野圭吾

「天空の蜂」東野圭吾

原発に関してネガティブな発言や
表現をしたら、たちどころに
有形無形の圧力がかかるような
かなり窮屈な時代であった
311大災害前に書かれた作品。

あらすぢ
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が
満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、
稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質
にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の
決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき……。
驚愕のクライシス、圧倒的な緊追感で魅了する
傑作サスペンス。

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さすがの東野作品。
先を読み進めたくなるし
実際にさくさく読める。

物語の前半、主人公の同僚の子供が
事件に巻き込まれるところは
やや余計な気もするが
それは作品の映画化も視野におき
物語の平坦さを避けるため
とりあえず入れておいた
スペクタクルシーンと解釈した。
作者の戦略なのだろう。

「子供は蜂に刺されて
 初めて蜂の恐ろしさを知る
 今度のことが教訓となることを祈る」

「沈黙する群集に原子炉のことを
 忘れさせてはならない。
 常に意識させ、
 そして自らの道を選択させるのだ」

天空の蜂 (講談社文庫)
天空の蜂 (講談社文庫)

こっから一部ネタバレしてしまいます。

地震も大変だったけれど
それ以上に津波とフクイチの悲劇の事を
俺たちは忘れちゃならない。

この語はもちろんフィクションで
犯人は原発と原発を巡る人と組織といった
すべてが、いかにいい加減で、
いかにもろいものであるか
一般大衆に教唆するためにテロを起こす。

なのに我が現実世界は
小説内容に追いついてしまった。
物語中の犯人は、志半ばで終わったため
メッセージを隅々まで送ることが
できなかったけれども、リアル世界では
犯人に代わって自然界が、思い上がった
人間に対しての教育的指導にしては
ちょっとやり過ぎじゃないか?と
言いたくなるくらいの苛烈さで
フクイチを破壊してみせて今に至ってる。

なのに自分も含め
「社会の原発に対するイシキ」というものは
正直それほど変化がないように思う。
というよりも日本人お得意の
「喉元過ぎれば・・」ってヤツだ。

こんなんじゃ、小説の思想テロが
たとえば成功していたとしても
一般大衆への影響は変わらなかったろうな。

忘れないように転記しとくけれど
南相馬のある川底。
”2万8000ベクレル”だって。
当時やってたNHKスペシャルより。

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posted by PON at 14:46| 神奈川 | Comment(0) | 読書(ミステリ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする