比留間 弘 著 (光人社)
光人社の○○よもやま物語シリーズ。
近所の公立図書館の「リサイクル本」。その2。
タダで入手するも、図書館のハンコが押してあったり
BOOKOFFに転売できないのが残念。
<あらすぢ>
自衛隊の前身、警察予備隊に入って21年、中隊長から
はじまった私の自衛隊生活は、事故に始まって事故に
終わった。それは隊員ばかりではなく、御大御自身も、
身をもって範をたれた。おかげで事故中隊という称号
をいただいたくらいだ。本書は、とっておきの隊内
生活を洗いざらいにぶちまける自衛隊物語。
大戦を生き残り、自衛隊創成期から工兵隊一筋、
昭和42年に中佐で退役した自衛官の職場の思い出話。
資料性は、ほぼゼロ。読み物としてもあんまり
面白くなかった。残念。(当然ながら、作者の任期中
に戦いとかまったくないからね)
旧軍が大暴走の挙句消滅してしまい、その後始末に
生き残った一部の軍人が食うために再結集。
時代とともに警察予備隊→防衛隊→自衛隊へと
変化していくが、そんな自衛隊創成期に自衛官
だったヒトの話。
軍人としてのプライドはアメリカにズタボロにされ
物資もなく軍としてのやり方や武器はすべて米軍の
お下がり。正直、何もすることはないのだけれど、
とりいそぎ軍人らしく振舞わざるを得ず、ひたすら
訓練(らしきもの)の日々。
本来は消耗品であるはずの「武器弾薬車両」も、
一度無くしたら次に手に入れられるのはいつか分からん
てんで、とにかく大事に使う。そんなお役人的体質が
自衛隊内で育ってゆく過程が分かる。
自衛隊の皆さんのご苦労とともに、日本の社会が
いろんな意味でそんなもんだったんだ・・というな
空気が感じられる点は評価できる。
製本もフォントも古く、また作者直筆の加藤芳郎氏の
ような古臭いイラストも、時代を感じさせるのに
ヒトヤク買っている。
平時でも、結構、ヒト(自衛隊員)って死んでいるのな。
ちょっとびっくり。
作者は工兵隊の人間なので、道なき道を進むことが多く
(なぜならその「道」を作るのが彼らの仕事だから)
雪で隠れた道を踏み外しジープが落ちて同僚が死亡、
同じく仮設陸橋から転落して、ブルドーザーのキャタピラに
巻き込まれて・・等々。戦争はないけれど皆一種の戦死
である。
そうだ、面白かったエピソードがひとつだけあった。
戦車(当時は特車と呼んだ)は重いので、工兵が
橋を架設して渡河するのがそれまでの軍事常識だったが
冷戦真っ只中のヨーロッパではそんな悠長なこと
していられない!ってなわけで、最前線の戦車は
走りながら直接「河に乗り込む」らしいって話が伝わってきた。
当時の自衛隊のお偉方も、無視できなくなったらしく
まず実験してみよ、という命令が工兵隊に下る。
とりあえず、浮力を計算してみて、戦車を浮かすことの
できそうな空のドラム缶を戦車の周囲にくくりつけた。
それを演習場の池にクレーンで、投入するという荒業。
紆余曲折を経て、とりあえず浮くには浮くという報告書を
上層部に提出したところ、その後まったくその件に
ついては何も言ってこなかったって話。
なんたるアバウト。素人がまず思いつくことを
そのまま実行してしまった。大掛かりな子供の遊び。
体系的な軍事的学問がまったくなく、ノウハウもないの
だからやむを得ないとしても。
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コメント有難うございます。
当ブログ管理人PONと申します。
>比留間 弘さんの
>地獄の戦場 泣きむし士官物語を
>6年前から読んでいます。
>士官学校よもやま物語は 7年前からですね。
それは恐縮です。相変わらずなのですが
好き勝手なことを書いてしまいまして
申し訳ありません。
>人間のなにか忘れている事を フト
>思い出させてくれます。
・・人間のなにかを忘れているのは
ワタクシのほうかもしれませんね。
しかしながら、今ほど社会がきっちりと
確立しておらず、どの分野で何をやるにしても
先達がいなかった時代の雰囲気ってものは、
この戦記を通して、団塊の世代の子供たち
である自分にも伝わってきました。
>今頃.よく上野のハローワークに行きますが、
>すぐ近くに比留間歯科があり、
ええ?まさか比留間さんのご縁戚とか
そんな歯医者さんなんでしょうか?
>それを 見るたび思い出し
>元気づけられています。
厳しい時代になりつつありますけれど
爆撃で街や人が殺されたわけではなく
日本社会は厳然とまだ存在しているわけ
ですから、なんとかなると思います。
戦中〜戦後に生きた方々のご苦労に比べれば
・・ですかね。生意気申しましたが
頑張りましょう!
これからも遊びに来てくださいまし。
比留間 弘さんの地獄の戦場 泣きむし士官物語を 6年前から読んでいます。士官学校よもやま物語は 7年前からですね。比留間さんの本を 読んでいると、人間のなにか忘れている事を フト思い出させてくれます。
今頃.よく上野のハローワークに行きますが、すぐ近くに比留間歯科があり、それを 見るたび思い出し元気づけられています。この前12月の始めに久里浜港に行って来ました。そして、比留間さんの佐倉市まで行って来ました。
ガンジーラーメンという.体に効きそうな、ラーメン屋がありました。
新宿の平和記念資料館に光人社の本がそろっています。
自分は、棟田博さんの本もよく読んでいます。
失礼します。
PONです。
こちらにもコメント有難うございます。
>この本持ってますよ
>〜まだ読んでいませんけど。
ありゃありゃ。相変わらず思ったことを
そのまま脊髄反射で書いておりますんで
読む気を失わせてしまっては、申し訳ないです。
>ところで著者の比留間氏は、
>戦中、士官学校を出た
>生粋の歩兵将校だった人なのですが、
へーそうなんですか。この本では戦争が終わって
乾物屋でもやろうかと、いろいろ画策していた
ところからスタートしてまして、当然のこと
ながら戦中の話はカットされているんです。
>著書に士官学校、
>戦地(ビルマ戦線)、
>戦後の闇市時代、
>そして自衛隊と
ご自身も体験したくてしたわけでは
ないのでしょうが、こういう経歴を持った
方が、昭和30〜40年の社会では
「上司」やら「先輩」やら「役人」になって
いたんですもん。彼らの下で働くことに
なった「団塊の世代」はそりゃあ鍛えられた
でしょうし、ワタクシのような
平成社会人デビュー世代がかなうはずも
ありません。下手な小説よりもよほど
人生が山あり谷ありです。
ちなみに比留間氏はもう亡くなっておられる
ようですね。
>著者の文章は大変面白いですし、
>おすすめです。
了解しました。
お!と思ったのでこちらにもコメント。
この本持ってますよ〜まだ読んでいませんけど。なるほどそういう本なのか〜と予習させていただきましたよ(笑)
ところで著者の比留間氏は、戦中、士官学校を出た生粋の歩兵将校だった人なのですが、著書に士官学校、戦地(ビルマ戦線)、戦後の闇市時代、そして自衛隊と著者自身の歴史毎に本を出されているので、興味あったら是非どうぞ。
著者の文章は大変面白いですし、とても読みやすかったので(ビルマ時代のを最初に読んでそう感じた)おすすめです。