「人間、誰しも孤独だ。寂しくなったとき
ワシは手紙を書くことにしている」
<あらすぢ>
別世界から来たような天才児、ヴィトス。
初めて買ったおもちゃのピアノで
「ハッピー・バースデー」を弾きこなし、
幼稚園で地球温暖化について語り、
お遊戯そっちのけで辞書を読みふける。
IQは高すぎて計測不能だった。
そんなヴィトスに両親は輝かしい未来を
夢見ていた。ヴィトスに高い教育を
受けさせるために仕事を始めた母に代わり、
ベビーシッターのイザベルが雇われた。
嫌がるヴィトスだが、やがてイザベルに
恋するように・・
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このあらすぢは映画の序章に過ぎない。
天才として生まれてしまったヴィトスが
巻き起こすエピソードを、ひとつひとつ
乗り越えながら、絆を深めるヴィトスと
その家族の物語が、この後にも淡々と続く。
「天才少年」といっても、ピアノやら勉強やら
といったスキルに、凡俗が時間をかけて
やっとこ到達するような境地へ、一瞬で
ついてしまうだけ。
「人間力」に関してはまったくの子供。
恋愛とか、本の上で解ったつもりになっても
全然及ばない。このあたりに、我々凡俗は
天才に及ばないわが身になぐさめを
見出したりするのだが。

元ベビーシッターのイザベルにヴィトスは言う。
「イザベル、僕と結婚して。
ああ、セックスのことを心配しているの?
大丈夫。今はムリだけれども
セックスって所詮、生殖行為でしょ。
ボクも大きくなればいずれ・・」
天才児ヴィトスのアンバランスさが
よくでているセリフだ。イザベルが
レストランを後にしてしまうのも理解できる。
「・・普通ってどうすればいいの?
おじいちゃん」
凡人が言うとただのイヤミだが、
真の天才の吐くことばに込められた苦悩は深く。
こういう天才児に対して、たいていのヒトは
能力的に張り合えるはずもなく、無視を決め込むか
「オカシナ奴」と決め付け相手にしなくなるものだ。
しかし「能力」では対抗できなくても、
別の土俵で勝負できるヒトがいた。
それは豊富な「人生経験」を武器に持つ
ヴィトスの「おじいちゃん」
このおじいちゃん、実の祖父なのだが
男同士としてヴィトスの相談に乗り、
共にいたずらをしでかしてはヴィトスと一緒に
ヴィトスの母親に叱られる。
昔から、子供と老人は馬が合うんだな。
金儲け方法やら、社会のルールなど
「能力」という点では、何一つヴィトスには
勝らないが、孫が迷ったときに吐く言葉には重みがある。
そこにはヴィトス得意の「知識」ではなく
経験からくる「知恵」にあふれ、孫は何度も
救われるのだ。老人の知恵は、最後には「ばらばら」に
なりかけた家族すら救うことになる。
面白い映画でした。
スイスの生活文化も学べたし。
俺も、誰かに手紙を書こうかな。
出演
テオ・ゲオルギュー
ブルーノ・ガンツ
ジュリカ・ジェンキンス
ウルス・ユッカー
ファブリツィオ・ボルサニ
エレニ・ハウプト
タマラ・スカルペリーニ
ノルベルト・シュヴィーンテック
ダニエル・ロール
ハイディ・フォルスター
クリスティーナ・リコーヴァ
カテゴリ ドラマ
製作年 2006年
製作国 スイス
原題 VITUS
時間 121分
公式サイト www.bokuno-piano.jp/
公開日 2007-11-03〜
監督 フレディ・M・ムーラー
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主人公ヴィトスは、その才能を発揮する場面で
いきなりピアノを弾きだすが、この辺は
差し替えでもなんでもなく、ヴィトス役の
テオ・ゲオルギュー君がほんとに弾いているらしい。
彼は、この映画に出るまえから、ピアノの
天才少年扱いを受けていたんだとか。
そんな天才が映画で演技までこなすとは
そのあたりがまったくフィクションでないのが
まずスゴイ。
ラベル:僕のピアノコンチェルト テオ・ゲオルギュー