PONのひとりクマブームに影響を受けた
職場の先輩が早速購入、貸してくれました。
羆(ヒグマ)が嫌いになりましたよ。
北海道なんて行きたくないよう。
行く機会ないけど。
<あらすぢ>
北海道北西部の天塩山麓、苫前(とままえ)郡
苫前村三毛別(さんけべつ)。惨劇は、この村に
属するが山間部に孤立する集落、六線沢(ろくせんざわ)
で起きる。わずか二日間で6人の命を奪ったのは
巨大な雄のヒグマだった。最初に喰ったのが女性
だったがゆえに女ばかりを求めるこのヒグマを
倒すべく村民たちは警察へ救援を求める・・が
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さすがはノンフィクション作家「吉村昭」さん。
PONに持ち上げられるまでもなく、戦史小説、
歴史小説記録文学界の雄。自分達のように、ネット風聞や
二次・三次資料からではなく、自身がネタを現場で
集めることで小説にする作家さん。こういう硬骨な
小説家も減りました。
最後の生き証人とか言う存在が存命中に、聞き取りを
行っていただけたその姿勢こそ敬服いたしますです。

モデルとなった三毛別事件は「大正時代」のこと
1915年12月9日〜12月14日(大正4年)。
モデルと書きましたが小説はほぼ「ノンフィクション」の
ようです。
山狩りするにあたって、日露戦争で従軍したことのある
人物が民間人にもちらほらまじり、こんな緊急事態には
その存在が結構心強かったり、と非常に時代が感じられます。
東京は「大正デモクラシー」っっつーか
「はいからさんが通る」時代でありますが
北海道の開拓地は、まだまだ貧しく、家といっても
いうなればバラック小屋。ヒグマにしてみれば一撃。
官警や軍隊や政治家が威張り散らし、庶民は貧しい中にも
日々の喜びを見出し、少しでもいい生活を目指して、地道に
頑張っている時代。少し目端の利く農民が、小儲けして
家を木の板で囲っただけで、羨望のまなざしで見られる
そんな時代のお話なのです。
最終的にヒグマと一騎打ちになるのは、普段は大酒のみ
の、暴力を振るい、社会のダニ扱いされている孤独な
猟師・銀四郎。
これが頼りになるんだ。小説は出来事だけを淡々と
描写しているが、銀四郎が登場しているシーンだけ
小説がザワっとする!
これがあの乱暴者の銀四郎かというくらい、ヒグマを
前にした彼は物静かで行動も理性的。
彼がなぜ熊撃ちになったのか、そして平素は「酒」に
逃げ、人々にメチャクチャ当り散らすのか、
小説を読むうちに少しずつ理解できるようになります。
銀四郎は、戦場を体験してきた軍人だけが知っている
ような、ギリギリ命のやり取り(彼の場合はヒグマ
との対決)の中でしか、生きている実感が持てないの
でしょう。
本当は人喰いヒグマを殺したくないのかも。
殺したら、自分もまた不要になるから。
また、銀四郎は荒ぶる人喰いヒグマの中に自分を
見ていたのだと思う。ヒグマも銀四郎も同じ存在だから。
単に山に生まれたか里に生まれたかの違い。
自分は変わらずいつもそこに存在しているのに、
人々は状況によって持ち上げられたり不要扱いしたり。
銀四郎は、ヒグマを射殺するごとに自分も
殺しているんですよ。
だけに、すべてが終わった後の銀四郎の行動に
寂寥感、人々への絶望感がヒシと伝わります。
もっとも、そんな感傷など一瞬で粉砕するほどに
このヒグマのパワーと引き起こす惨劇は
なんといってもほぼ実話です。くまこわい。
生き残った村人の子供の中から、熊撃ちに
なった男がいて、彼は犠牲者の追悼の為に
殺された村民*10頭のヒグマを狩ることを決意
それを達成したそうですよ。
「ヒグマによる人身事件の概要一覧(1970年〜2000年12月)」
それにしても「くまだまさし」って芸人。
あれこそ熊害。俺は好きじゃないな。
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この小説は帰りの電車の中で読み終えたんだけど
自宅に、しっかりと明かりがつき、嫁とちびすけが
いてくれてホッとしましたYO。
今も、自宅の扉をシゲシゲと眺めながら
これではヒグマに襲われたら一撃かもなあ
なんて考えてます。
家族を守るために、フルアーマー住宅の開発も
必要かもよこれからは。
不動産不況の折、業界の皆さんいかがですか?
ラベル:「羆嵐(くまあらし)」 吉村昭