2009年05月13日

「シャトゥーン―ヒグマの森」増田 俊成

「シャトゥーン―ヒグマの森」 増田 俊成

先ほど読了しました。これまた「羆嵐」に続き
先輩が貸してくれたものです。
「熊のプーさん」の記事ではマンガ、小説とも未読
でしたが、小説版をついに読破です。

「このミステリーがすごい!」で優秀賞に選出された
作品のようですが、この小説がミステリーといえるのか
どうか?という問題の方が割とミステリー。

ミステリーとは?(参考)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC

確かに一部ミステリーのような展開もなくもないが。
いずれにしても「このミステリー」は「すごい」のだが
「名作」とか「心に残る」のかといえばまた別問題。

主人公の女性のヒステリー(後半のスーパーサイヤ人化)
のほうがすごかったと言えまする。

あらすぢ
北海道の北端に大樹海が広がっている。神奈川県の広さに
匹敵する広大な森だ。平均気温は北極圏より低く、冬には
マイナス40度を下回る日も珍しくない。そんな土地の
研究林を管理する鳥類学者の元で年末年始を過ごそうと、
彼の親族や学者仲間たちが集まっていた。そこへ、ヒグマに
襲われたという密猟者が逃げ込んでくる。車が横転して
しまい動かず、電話も通じない。小屋に集った人々は完全に
孤立してしまったのだった。やがて、体重350キロを超す
巨大なヒグマが小屋を襲う。秋に食いだめに失敗して冬眠
できず雪の中を徘徊するシャトゥーン(穴持たず)と呼ばれる
危険なヒグマだった。密猟者の銃程度ではヒグマの動きを
止めることはできない。ヒグマによって少しずつ破壊されて
ゆく小屋。そして、人食いヒグマへの恐れが、人々から冷静さ
を奪い去ろうとしていた…。
第5回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)

************************

ほとんどあっという間に読破しました。
面白かったですが、二度読む本ではない。

以前、記事にしましたが、小説を読む前から
大方想像していたとおり・・
>宇宙船を北海道の自然に置き換え
>エイリアンを羆に置き換え、
>羆との闘争の中から自己防衛と環境保護
>どちらを優先するか?(羆が悪いのか
>そんなところに踏み込む人が悪いのか)
>についてちょっと考えさせる小説に仕上がっている・・
>といったあたりで、それほど間違った想像には
>ならんのでは?と思う。

という読む前からのヨミどおりでありました。

合間合間(クマが襲撃していない時)に、極寒の地で
サバイバルをしなければならなくなったときのノウハウや
人間がいかに自然を痛めつけてきたか、そしてヒグマが
いかにとんでもない奴なのか・・自然科学者の昭氏が
得々と語ります。
この昭くん、大学で教鞭をとることもあるため、いたって
説明口調。作者に代わり、皆さんに豆知識をつぎつぎと
披露します。PONなんか取り急ぎ、そんな講義する
暇があったら・・

さっさとみんなの意思をまとめてクマ対策しろ!!

と若干イライラしてました。

小説は思ったよりも自然と人間の関係において
人間を否定してはおらず、最後にとってつけたか
のように
「自然を守るなんて発想は、自然の前では
 ちっぽけな存在に過ぎない人間の傲慢ではないだろうか」
という言葉で〆ております。

この作者は自然と人間の共存とかいったテーマは
どうでもよくって、結局スプラッタホラー小説
書きたかっただけなんだな。
そんな場面は嫌なくらい活き活きと書かれていますが、
惨劇と惨劇の間は作者の言葉ではなく、どこかの書籍からの
ウンチクで繋いだ、サイボーグ小説に感じられました。
もう少し煮込めば一体化するんだけど。

この小説のせいで嫌な知識をいっぱい得た。
・一度人肉の味を覚えた(人間をなめた)ヒグマは
 殺す以外にない。
・ヒグマは自分を害した奴を絶対に忘れず
 敵の顔を損壊することで復讐する。
・ヒグマの恐ろしさはその「執念深さ」にある。
・ヒグマにであったらオールORナッシングなんで
 「死んだふり」か「攻撃」に出るかしかない。 
 どちらがいいかは未だに見解が分かれる。



しかし、
生きたまま喰われる
 これほど嫌な死に方があるだろうか。
まさにこの感想につきます。
フィンランド人、その奥様、他お疲れ様でした。

それにしても・・ヒグマのバカ野郎

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完全ネタバレですが

【土佐 薫】
主人公。要は「リプリー」
他のキャラが一撃で殺される中
その耐久力はピカイチ。

【美々】
薫の娘。母譲りの(ひょっとしたら
土佐一族みんなそうなのかも・・)
耐久力は健在。

【土佐 昭】
双子の兄の自然学者。
かまいたちでいえば美樹本のようなキャラ。
小屋の主にして今回の惨劇の真相の一番近くにいる人物。
読者にさんざん活躍を期待させておいて実は・・。
ミョーなことにこだわり、よく知っている割に
しまった!」が多すぎる人物。期待はずれ。

おまえが一番悪い!

【西】
出自が暴力団関連ならイザ知らず、もとデザイナー
とは到底思えない人格破綻ぶり。
実は後述の瀬戸よりも昭と西のほうが
まぜるなキケン」である。

【瀬戸】
そこまで「西」にからむ必要性が理解できない。
対ヒグマ戦の戦力になる前に戦線離脱。
だいたい、雪上に何か見えたら
「乗り越える」んじゃなくてまず「停止」だろ。
そこは。むべなるかな。

【その他】
惨殺要員。

登場人物8名+1匹に対して
(羆からすれば)7勝0敗2分
ほとんどワンサイドゲームでした。
ヒグマ(劇中ではギンコと呼ばれる)さん、万能すぎ。

プロットはまんま「エイリアンU」で
「母性対母性」に加え、最後はメカまで
持ち出して戦うところまで一緒。

ラストは怪物映画お約束の
「実は・・・」でありまして、いつでも「リターンズ」
だの「シャトゥーンU ギンコの逆襲」だの
いつでも再開可能です。だからこその
2分(引き分け)なんですが。

それに母クマの影でさんざん美味しい思いをした「子熊」。
彼が勝手に復讐を誓うことも考えられる。
それに彼、人肉、喰っちゃったし!


posted by PON at 21:00| ☔| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書(ホラー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりにお邪魔します〜。
小説版未読なので、参考までに感想拝読しましたが・・・なんか漫画版で充分な気がしてきた(笑)
ラストが「実は・・・」だとは・・・漫画版だと完全に決着がついていたんで、そこは吃驚。
ただ、やっぱ仔熊は原作でもスルーなんですなぁ。むしゃむしゃ食っとるのにねぇ。

と、いうわけで、読むならまず「羆嵐」の方にしよう、と思ったるしはでしたw
Posted by るしは at 2009年11月21日 13:54
>るしは殿

>お久しぶりにお邪魔します〜。
こちらこそ。だんだん御ブログ内容に
ついていけない自分が居りまして
その距離感に寂しいものを感じつつ・・
たぶんにウソですがw

業務連絡。ひとまずTBやってみました。
様子待ちですね。「送信失敗」ではなかった
ので。ひょっとしたら二重送信してしまったかも
知れませんのでその際は、対応願います。

>小説版未読なので、参考までに感想
>拝読しましたが・・・なんか漫画版で
>充分な気がしてきた(笑)
PONも拾った雑誌の見開きで、例の
登場人物が後ろからバックリ行かれるシーンが
初見でしたので(今思えばあのキャラは
「土佐昭」氏だな)けっこう衝撃でした。

>ラストが「実は・・・」だとは・・・
>漫画版だと完全に決着がついていたんで、
>そこは吃驚。
うーん、もう小説読破して結構たつんで
正確には覚えていませんが、仔熊が逃走する
のは規定路線として、がけ下の死体が
無くなっているラストだったような。

>と、いうわけで、読むならまず「羆嵐」の方
>にしよう、と思ったるしはでしたw
正解です。冷え冷えしますよ。読んでいて。
また遊びに伺います。
Posted by PON at 2009年11月24日 12:53
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[短評][漫画]「シャトゥーン〜ヒグマの森〜」(漫画版)
Excerpt: *1 原作、増田俊也「シャトゥーン〜ヒグマの森〜」(宝島文庫)。作画 奥谷通教。集英社BLコミック刊。   チラっと中を捲ったら人体破壊や切り株やらがなかなか真正面から描かれていて、しかも、全3巻と..
Weblog: ねこめがねUNRATED
Tracked: 2009-11-21 13:45
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