上司よりもらった本。重松氏の作品では以前に
「流星ワゴン」を読みましたけども、
平凡な人間達が、それぞれの淡々とした日常の
積み重ねの中で、未来を思う余裕もなく、
過去を振り返るヒマもないまま、今日を生きてゆく。
そんな「永遠」の中、不意に「生と死」に直面した
とき、ヒトは何を考え、どう思うか?そんな小説。
古今東西、数多の宗教ではウンザリするほど
論じられていることなんですけど、答えは
未だ出ていないようです。オフィシャルとしては。
「昨日まで、いた
今日からは、もういない。」
「われら、死への道のり半ばに―」
<あらすぢ>
出版社 / 著者からの内容紹介
僕たちは「その日」に向かって生きてきた
男女が出会い、夫婦になり、家族をつくって、
幸せな一生なのか。消えゆく命の前で、妻を静かに
見送る父と子。感動の重松ワールド
内容(「BOOK」データベースより)
昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。
それを不意に断ち切る、愛するひとの死―。
生と死と、幸せの意味を見つめる最新連作短編集。
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映画化、ドラマ化はしやすい。あざとい、といえば
あざといお涙モノではあるが、心静かに、読書したい
時にはオススメかもしれない。
この小説を読んでまず最初に思い出したのは
昔、なんかで見たTVドラマ。食堂を営む仲良し夫婦の
おかみさんが交通事故死?だか、とにかく突然死亡して
しまった。旦那役はたしか、武田鉄矢氏だったと思う。
ホワイトボードには、「キャベツ何個とか、
○○屋へ注文TEL」
といった、妻の字が残っていることに気がついた
鉄矢オヤジは、妻の生活の残りにすがり、泣きじゃくった
まま、いつまでも現実を見ない父親の姿に、ひとり息子は、
そのボードの文字を消してしまうのだ。
「おまえはなんて事をしてくれたんだッ!!」
と金八ばりに怒髪天になる鉄矢オヤジにむかって
「こんなものいつまでも大事にしていたって
お母さんは戻ってこないんだぞ!」
と息子は返し、オヤジはハッとする。
たしか、そんな感じ。ウチは実家が自営業だったんで
親父やお袋のメモがホワイトボードに書きなぐってある
のを見るにつけ、なるほど、彼らが死んだらこれが
遺言になるのか?と縁起でもない感心をした覚えが
あります。
まあ、いいです。
「先生は「ヒステリア・シベリアナ」って言葉
知ってますか?なんかあいつが若い頃に読んだ
小説に出てたって」
村上春樹の「国境の南、太陽の西」に出てきた
「ヒステリア・シベリアナ」という言葉が、この作品
にも出てきました。おそらくは村上作品の方が、先に
世に出ているのでしょうが。
なんか、こんなリンクを発見すると嬉しいですね。
一見、短編集ですが、すべては、最後にむかって
集約してゆきます。そのリンクを見つけるのも
またこの小説の楽しみ方。安心して読み進めて下さい。
号泣というほどでないにしろ、読後には、今の自分の
当たり前の生活を改めて大事にしてみよう、と思う
かも知れませんよ、一日くらい。
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「ネタバレ」
【ひこうき雲】
・ガンリュウ
・山本委員長
「記憶は消え去るわけではない「忘れる」と「失う」は違う。
40を過ぎて、簡単名前や数字を忘れることが多くなった
引き換えに、今まで忘れていたものが不意に鮮やかに
蘇るようになった・・」
【朝日のあたる家】
・ぷくさん先生
・武口
・入江
「おまえら、「永遠」だと思っていたものが
いきなり終わっちゃった気持ちってわかるのかよ!
と凄んでやりたい」
「つづけることって凄いんだぞ。始めることも
終わることも凄いけれど、こっちだって
凄いんだから」
【潮騒】
・シュン
・石川
「同じくらいの奴が死んだら、
俺、「かわいそう」とかの前に「ごめんな」だ」
【ヒア・カムズ・ザ・サン】
・俺
・母ちゃん
「母ちゃんの役目は「いる」ことなんだと思う」
【その日のまえに】
・僕
・和美
・健哉
・大輔
【その日】
「世の中にこんなにたくさん人がいて
なぜおまえだったんだ?」
【その日のあとで】
「その日は覚悟していたほどすっぱりと和美を
連れ去りはしなかった。割り算の余りのように
半端な「その日」のかけらを、僕はずっと待ち歩いて
捨てられないまま、いつか死ぬ。
それでいいじゃないか・・」
「僕は、和美のことを忘れる。
けれど必ずいつだって、思い出す。
そのときには、お帰り、と言ってやる」
読了後、「朝日のあたる家」がどこに繋がるのか
解からなくって、ネット検索してしまったんですが・・
「その日の前に」にて、二人が昔住んでいたアパート
に訪れるシーン、新婚時代に二人が使っていた
部屋番号のポストにあった名前が、「朝日のあたる家」の
駆け落ち組である二人でした。
息子の第一志望校に太鼓判を押した中学の先生が
「朝日のあたる家」の「ぷくさん」と言う風に
二重につなげても良かったのでは?
(彼女は高校教師だけど、その設定を変えて、さ)