2009年07月17日

天地人 石田三成

「天地人 石田三成」

石田三成(演:小栗旬)が本式に出てきた。

史実の「石田三成」氏は、時の絶対権力者、
豊臣秀吉の権威をカサに威張りまくった
スーパー官僚で、官僚なんで戦争はへたくそなのに
海道一の弓取り「家康」とケンカ(関ヶ原の戦い)
を挑んで負けた人・・といったイメージ。

才槌頭の青二才
※さいづちあたま:前頭・後頭部が突き出て
 槌のような形の頭)
と周囲に陰口を叩かれるほど唾棄すべきヤツと
忌み嫌う武将も多く「加藤清正」や「福島正則」
のような子供のころから秀吉に可愛がられ、
エコひいきされまくった大名は、本来なら
石田三成側について、政権を奪い取ろうとしている
家康とケンカしてもおかしくないのに
彼らはただ「三成嫌い」だけのために、
あるいは武将によっては家康の野望も承知の上で、
豊臣政権崩壊の手助けに回っている。

かと思えば、関ヶ原の戦いで、負けることを
しりつつ友情のために三成の味方をした
大谷吉継」公

三成が、暴走する家康派の武将達に
京都で抹殺されそうになった時、自家の軍勢を
もって応援に駆けつけた「佐竹義宣

戦に弱いと定評があった石田三成だったが
徳川東軍のほぼ1/3を一手に引き受け、
一歩も譲らなかった石田家中の面々、
島左近」とか「蒲生郷舎」とかとか・・。

石田三成が通説で語られるように、心底嫌味なヤツ
だったら、そこまで彼に命かけるかね?

今回の大河の主役「直江兼継」もボスの上杉景勝と
組んで、徳川家康とホンキでケンカするつもり
だったらしい。具体的には徳川家康と彼を慕う連中を
まず山形・会津の上杉領へ誘いだし、ホンキで
ケンカするならそれも良し。一方で家康が
関東〜南東北あたりで、上杉にあたふたしている
うちに佐和山(滋賀県)にいる石田三成とその仲間
(要するに西軍)が旗揚げする。

石田家と上杉家(直江兼継)の密約のようなものは
証拠としてなんも残っていない(残すバカもいなけど)
史実では、この全国的戦略が「阿吽の呼吸」で
行われたようなのである。

直江兼継だって、まったく勝算無くしてやったわけでも
ないだろうけど(そもそもこのケンカは家康に売られた)
石田三成とその生き様をよほど信用していないと
こういう行動には出ないだろう。
立ち上がってみたら、自分の国(上杉)以外は
全部座ってた!!
なんてことだってあり得たはずだから。

携帯電話のような通信手段がまったく無い当時に
日本の東西で連動してコトを起こすことができた
ってのは、綿密な事前の打ち合わせと、なにより
その家のキーパーソンを信じきっていないと出来ない。
「直江兼継」と「石田三成」って
それくらいウマが合ったんだと思う。

ドラマでの石田三成は、アタマが切れまくるが、
気さくに話しかけることの出来ず、人に警戒感を
与えてしまう不器用過ぎる男として描かれている。
小栗旬のロボットのような演技が
またぴったり合っていてグゥ。
(なんか「事務方」のシャアみたいだな)

あるいは「ツンデレ」のハシリなのかもしれない。
三成は、オフィシャルではつっけんどんな
姿勢を誰に対しても貫きながらも、全く
話がわからん男ってこともなく、見えないところ
ではけっこう柔軟に対応して、陰ながら
ずいぶん武将に好かれていたようなのだ。
(借金を無理に取り立てなかったり、
 私腹を肥やすためではない、止むを得ない
 経理の不正を見逃したり・・)

その柔軟な対応が、彼の優しさから来ているのか
「情けは人のためならず」なのかといえば
おそらくは後者。しかも自分の人気取りではなく
豊臣家の未来のためにファンを作っておく
という意味合いが強かったんだと思う。

そういう好意を、好意と理解して静かに感謝する
武将とだけ付き合っていったのかもしれない。
だから、こちらが調子に乗って
「なーんだ、三成ちゃん、話わかるじゃん!
 仲良くしようよ〜」
なんてギョーカイ人のように言ったものなら
たぶんたちまちに拒絶。
強烈なヒジテツが待っていたものと思われる。

だとしても、戦国時代の武将なんて
みんなジャイアン。みんな体育会系。
そういう感性を理解できる人材はホンの一握り。
必然的に、三成を理解する友人も少なく、
彼の表面だけを判断材料にする武将が多くなるから
敵も多い。
なんか、純情なオーベルシュタインみたいだね。



親交を深める「妻夫木」と「小栗」だけど
石田三成は京都にある直江兼継の屋敷に出入りして
直江の持つ、古文書や名著の類を借りていっては
写本して次の日には返していたというエピソードもある。
この辺、なんかカワイイ。

秀吉の威を借る狐であっても、しょせん石田三成は
大会社の秘書室長クラス。直江兼継はひとつの会社の
重役であり、収入の差は歴然としているから。
(当時の本(原本)は高かったのです!)

いや、長くなりもうした。御免。

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三成と比較される秀吉の描写もイイ。

フレンドリーであり、庶民出身のいやらしさがあり
行動は軽率そうながら、時折見せる笑っていない
目には凄みがある。
笹野高史さんの演じる笹野秀吉はホントぴったり。

常日頃、ネット上で「マンガ首相」だの軽視している
人が目の前に現れて「おお、PON君、君のうわさは
かねがね聞いているよ、たいしたもんだな君は」
とか言われてみなさいな、
「なんでこの人すらっと自分の名前をいえるの?」
って急にファンになっちゃうから。
人心掌握の天才ってそういうことなんだろう。

今太閤といわれた「田中角栄」氏もそういうところに
長けていたらしい。いわゆるキャリア官僚の新入りの
名前すら覚えていて「君は○○君といったね。責任は
俺が取るから君は信じる道をすすんでくれ」とか
握手されたらそりゃあ感激するよなあ。味方になる。

苦労人は、身内には苦労して欲しくないから甘やかす。
であるから「秀吉 → 淀君」のように、
またそれとははるかに小物ながら
元外務大臣の元お嬢様
のようなメイワクな存在を生み出してしまうもので
あるようだ。
posted by PON at 21:00| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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