2009年11月08日

西武新宿戦線異状なし DRAGON RETRIEVER

「西武新宿戦線異状なし DRAGON RETRIEVER」

前回は「深く静かに沈没せよ!」をご紹介
いたしましたが、同じ作者で今度はこれ
「西武新宿戦線異状なし」です。

「西武新宿戦線異状なし」おおのやすゆき
※原作:押井守(日本出版社/1994年/02)

題名はかの名作映画をパロっておりますが
あんまり内容は関係ありません。


あらすぢ
自衛隊の武装蜂起によって分断国家状態となった
日本を舞台に、義勇兵として軍事境界線を越えた、
主人公丸輪零の活躍、日常を描く。


原作は、パトレイバー、攻殻機動隊、うる星の
押井守氏。彼がオリジナル作品として
絵コンテだけは作成、長年温めてきたものをものを
ひとまず漫画化したものと思われる。

この作品にもやはり彼の得意な分野である
革命、学生運動、哲学、武器、国家的陰謀そして犬が
ふんだんに散りばめられている。
であるから、彼の世界をご存知であるならば
そのまま推して知るべし、という内容である。

一応ヒロインである「ケイ」はのぞき、
決して「萌え」要素のないキャラばっかりなのに、
出てくるキャラがとっても魅力的。
キャラのたった設定とはコウやるのだ、という
押井シナリオ教室の教えでも受けているかのようだ。

「独立第3戦闘工作連隊第58戦車回収小隊」
戦車は戦場の華ってことで、戦車マニアの主人公は
希望した「戦車に関連した部隊」へ配属される。
名前は仰々しいが、改造されまくりで形式不明の
回収戦車一台、隊員3名で構成される。

セイガク
主人公。本名「丸輪零」学生出身なので小隊の皆から
セイガクと呼ばれる。革命が成就した関東地方外から
オルグ(革命軍のリクルーターですな)の勧誘に乗り
革命軍に参加。その理由も特に深いものがあったわけ
ではなく、盗んだバイクで走り出すといった若者に
よーくありがちな感情から。結局、日常では体験
できないヒトナツのお祭り騒ぎに遭遇する事になる。

カントク
独立第3戦闘工作連隊第58戦車回収小隊長、あだ名は
前身が映画監督だったからとも現場監督だったからとも。
アクが強すぎな小隊をよくまとめる。
見た目は現場監督っぽいサエない中年だが、人生で
酸いも甘いかみ分けた培われた世間を見る目はスルドく
一癖もフタクセもある押井アニメ的オヤジ。
ニッカボッカ。寅一。
・・あ、もしかしたら「押井」カントクそのもの
なのかも知れない(外観は全く似ていないけれど)

インテリ
ニッカボッカその2。丸黒メガネにヘルメット。
大柄で無口な男。外見だけをみれば「土方」の
主力選手だが、名前の通り超インテリで語学も
堪能。常に読書している。それでいてガタイ
相応の戦闘力も併せ持つ、超頼れる男。
そんな彼がなぜこんなポンコツ部隊にいるのか
そもそもその前身からして不明。とっつあん
によれば、インテリはカントクの人柄に惹かれて
ずっと傍にいるのだそうである。

とっつぁん
陸海空問わず乗り物であれば、とりあえず
動かす事が出来る(と本人は言う)。
日露戦争の頃から、既にブッソウな世界で
生きてきたらしい。最近は通風で膝が曲がらず
思うようなドライビングが出来なくなって
きているのが悩みの種。

ケイ
革命軍、軍事評議会から派遣されてきたお偉方。
20代後半の女性。一応美人の扱いになっている。
自衛隊が革命蜂起する前から革命闘争に身を
投じていたらしい。戦闘は当然のことながら
「女性」という武器を利用したインテリジェンス
(諜報)活動までこなす、凄腕エージェント。
裏メーテルと言えなくもなくもない。

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カントク(押井監督ではなくってキャラの)が
時々見せる、革命と革命政府に対する
冷ややかな視線と見解がまたいい。
・頭でっかちで理屈倒れ
・粛清の嵐
・スローガンだけは威勢がいいが
 生産性がまるでない
・結局作り出したのは瓦礫と死体の山だけ

押井カントクが大好きな、情報が寸断された
廃墟ユートピアでの、身内だけでの永遠なる
サバイバルお祭り騒ぎ・・

そうなのだ。「うる星2」や「パトレイバー1&2」
といったオシイ世界そのまんまがここでも展開する。
やはり押井カントクはもともとの引き出しが
少ないヒトなんだろう。自分は好きだけど。
 
うる星の名キャラであるメガネを主役にして
そのままアニメ化して欲しいなあ。

さらば、ケイ
さらば、独立第3戦闘工作連隊第58戦車回収小隊
さらば、少年の日よ・・
(ナレーション:城 達也)

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posted by PON at 21:00| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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