沢木 冬吾 著 角川文庫
「償いの椅子」に続く上司からの貸与本。
<あらすぢ>
内容(「BOOK」データベースより)
11年前、抜刀術・名雲草信流本家を悲劇が襲った。
末の妹・綾が放火により焼死してしまったのだ。
犯人は、一年後、別の現場に残された遺留指紋が
決め手となって捕まった、飯浜幸雄。名雲家長男・
修作がつきあっていた奈津の父親だった。
修作の父・名雲和也は公判に出廷した飯浜に
襲いかかる騒動を起こし、その後、失踪。奈津は
母親とともに土地を離れて行った。そして飯浜には
その後死刑判決が出たが、執行はいまだなされて
いない。
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これも「償いの椅子」同様ハードボイルド小説。
主人公は弱冠24歳(たしかそんくらい)
20代の青年にしてはヘビーすぎることが
いろいろとありすぎて、剣の道も捨てて
引き篭もっていた男。
その辺のチンピラならどうとでもできる
スーパーな若者なのだが、なんといっても
引き篭もりな20代。自らの入り込んだ事件を
自力で解決しようにも
社会的なスキルや経験がぜんぜん及ばず。
だもんで、焦燥感ばかりが先行する主人公。
彼の周囲には出来すぎな一族や友人が
多数存在するため、なんとかフォローをもらってる。
それだけに、敵味方あわせて登場人物が多く、
かつ、各人の事情が描写され、
これが縦軸横軸と錯綜するため状況がつかみにくい。
お、いよいよ盛り上がってきたぞ?
さて・・突然の場面変換
え?この人だれ?
さっきの話は結局どうなったの??
主人公も読者も不完全燃焼・・
そんな負のスパイラルに、未熟さゆえに
状況を打破できない主人公の焦燥感を共感できる。
そして最後は、健さん映画のように爆発!
爽快なENDを堪能できる・・システムなのかも。
「真剣 VS 拳銃」の戦い
「奴らとコトを構えるなら、そのうち相手に拳銃が
出てくるだろう。ひとつアドバイスしとく」
「弾を避けろなんて言ってない・・相手の目線
肩や筋肉の動き、銃口を見て、
標的を見極めろってことだ・・」(意訳)
・・んで実戦で避けちゃうんだけど。
真剣のように澄んで張り詰めた緊張感がありましたが、
この場面でも唐突な場面転換でブチ切りなのが残念。
もっと読みやすい小説に出来るのに
わざわざ構成に凝ってしまうため
結局、読みにくい。
「精神修養のために殺人の技を
身につける必要がどこにある」」
「技を磨けば心も磨かれる・・そんなものではない」
(意訳)
以下ネタばれ。ゲームのシェンムー一家の
ようなイメージでいたので、主人公のパパ
(抜刀術名雲草信流家元)の言動行動には、
あらゆる点においてガッカリだった。
最後まで。
なにやってんの?パパわ。
爺さん(名雲草信流先代)は教育間違ったね。
だから・・
「技を磨けば心も磨かれる・・そんなものではない」
ってことになる訳ですよ。
題名は、なんでもボブ・ディランの歌から
転用したものらしい。おそらくは
天国の扉を叩くことができるのは
若くして純粋なウチに死んだ妹だけ。
残された人間は誰もがその資格を失ってゆく・・とか
言いたいのかもしれないけれども。
あんまり意味がないというか
この話一応現代日本だし、抜刀術家元本家での話だから
もうちっと和風テイストの方がよかったんでないか?
料理人が西洋好きだからという理由だけで
日本料理に「カタカナ」の名前付けちゃった
みたいな違和感。
とりあえず、シックリこない文章は、人名だけは何とか
押さえて、そこそこに読み飛ばし、最後まで
読みきってから、もう一度読めば、その張られた伏線や、
メインドラマの脇にある些細なストーリーを
楽しむことが出来ると思う。
久々に長い小説読みたいなあ・・とか
PONのように通勤時間中にブツ切りとかならず
まとめて読書タイムをキープできる方ならあるいは。
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