祝 康成 著 新潮文庫
ノンフィクションライターが、自分の足で
実名、匿名をまじえ、存命者に聞いて回った証言を元に
週刊新潮で連載。それをリライト、文庫化したもの。
・いまだから、話せる事がある。
・あの人も既に鬼籍に入ったから話してもいいかな・・。
・自分が死ぬ前にこの話だけは残しておきたかった。
事件の周囲にはとにかくいろんな人がいた。
権力者は下に押し付けて逃げ切り
事件で人生が狂い(なかには命さえ無くなった人も
いるわけで)抜け殻のように生きている人。
ただ言い訳に終始する人。
事件の責任をまったく気にすることなく
生き方も変えることなく意気軒昂な人。
祈りの中にだけ救いを求める者も。
事件後、残された人間にも生活があり
洗いざらい公にするわけにはいかない。
そこには「組織の面子」「権益」「個人の見栄」が
見え隠れし、日本社会的な不思議な力が働くことで
結局のところ、真実は隠蔽される。
ここに書かれたことがすべて真実とは最後まで
言い切れないけれども、かなり真実に近んだろーな
って読んでいて伝わってくる。
<あらすぢ>
内容(「BOOK」データベースより)
「本当のことを話しておきたい、せめて死ぬ前に」
時間の壁に阻まれた取材の中で辿り付いた人物が、
その重い口を初めて開く―。三億円事件、美智子皇后
失声症、和田心臓移植…、「昭和」に置き去りに
されていた怪事件の闇が、今ようやく明らかに。
息を呑む戦慄の新証言、埋もれていた新資料、
そして炙り出される新事実。日本人が翻弄された
「時代」の核心を穿つ、ハードノンフィクション。
1「美智子皇后「失声症」の真相」
2「府中「3億円」事件で誤認逮捕された男の悲劇」
3「丸山ワクチンはなぜ「認可」されなかったのか」
4「美空ひばりが「紅白」から消えた日」
5「発案者不明?!「成田空港」最大のミステリー」
6「疑惑の「和田心臓移植」33年後の新証言」
7「潜水艦「なだしお」東京湾衝突事件で
隠されていた「無謀運転」」
8「世紀の対決「猪木・アリ戦」の裏ルール」
以上が、この本で扱っている「昭和」8大事件。
PON読みすすめた順にそれぞれコメントを。
なんかPON自身、己の嗜好がわかっておもろい。
7「潜水艦「なだしお」東京湾衝突事件で
隠されていた「無謀運転」」
・・この事故のとき、覚えていますよ。PONは17歳。
夏休み、同級生と四国を旅行中に宿泊先のTVで知った。
なだしおの元艦長、山下啓介氏はこのとき39歳。
「潜水艦乗り」から初の海上幕僚長になるとしたら
この人しかいない、なんて言われてたエリート軍人
だったらしい。海江田士郎みたいなもんかな。
あれはマンガだけど。
元艦長は今、IT企業で営業部長をやっているそうで。
しかもかなりのやり手らしい。軍人として
有能なれば民間でもバリバリなんだろうて。
妙なところに感心。
確か40人近く亡くなったハズ。
8「世紀の対決「猪木・アリ戦」の裏ルール」
・・まず意外に思ったのは「A猪木」って
存外まともな判断力があったんだなってこと。
彼のような山師が盛り上げ、テレビを面白くして
いたんだなって思う。試合内容は、ビジュアル的に
面白くなかったから世紀の凡戦とか言われたよう
だけど「猪木VSアリ」戦そのものはガチバトル
だった。ああせざるを得なかったというのが真相。
「試合よりもその背景で起きていた事のほうが
よほど面白かった」とは関係者の話。
6「疑惑の「和田心臓移植」33年後の新証言」
・・ざっくり説明しますと、「日本一」という称号を
手に入れたい医者の野望のために、若者が2名
殺された話。よく富士Qのおばけ屋敷のように
「狂気と戦慄の病棟」とかモチーフになるけど
まさにそれ。読んでて胸のあたりがざわつくこと
請け合い。
海で溺れはしたけれども、自発呼吸が可能だった!
21歳の若者から「心臓」を奪いとり
確かに心臓系の病気ではあるけれども、別の方法で
生きて行く事が充分可能な19歳の患者へ移植。
その患者も「万全を期した」とは程遠い体制で
(担当医は当時最新の免疫抑制剤の
購入方法すら知らなかった!)
死亡。日本の医学を守るという名目で
医者業界全体でこの殺人医師(和田寿郎)を守った。
にしても1968年という、そう遠くない過去の話。
倫理観の無い奴が医者と士系の仕事に就く事は禁止!
あと、まむが”ブラックジャックによろしく”
でもぜひ取り上げてください。
5「発案者不明?!「成田空港」最大のミステリー」
・・昭和の政治家は腹黒い。また多少の事では動じない
フテブテしさがあった。古来、政治家は金か異性問題で
失脚する事が多い。某小沢氏のような人間は
好きになれそうも無いし、
賞賛するつもりはもとよりないけど
一方で国民を軽く欺けるぐらいの腹黒さ、
気概を持つ政治家でないと、海千山千の諸外国と
対等以上にやりあい、国益を保持することは
不可能だと思うのである。
たとえば清廉をウリとする役人を対ヤクザ
交渉の矢面に立たせるようなもん。
この章の、鳩山一郎や河野一郎の無茶苦茶さや
当時の官僚の強かさを読んで欲しい。
暴論承知だけど基本的にこういった大きな話は、
民意なんて反映できるはずもないのだ。
一方に決定すれば必ずもう一方から反発を食らうもんだ。
猛烈な批判承知で決定するしか道は無いんだよ。
息子の鳩山何某が、今沖縄で基地問題でも
やっぱりもめているがコレも何かの縁だろうな。
3「丸山ワクチンはなぜ「認可」されなかったのか」
・・腹立つよ?この「桜井欽夫(元癌研究会癌化学療法
センター所長)」って野郎ならびに東大閥って奴。
彼が丸山ワクチンの製造認可をしなかったんだけど。
非主流で純粋な研究馬鹿が開発してしまい
真っ正直すぎる小規模製薬会社が
組んでしまったことに悲劇があった。
2「府中「3億円」事件で誤認逮捕された男の悲劇」
・・表題のとおり。「誤認逮捕された男の悲劇」です。
ホント、マスゴミのヒステリーは怖いよ。
何点か、マスゴミ(特に新聞)の裏側を描いた
小説とか読んだことあるけど、スッパ抜きとか、
スクープ合戦とかで記者や新聞の格を決めるの
止めようよ。そんなの読者は求めていないから。
1「美智子皇后「失声症」の真相」
・・ほんとう、苦労するよね。平凡な家庭に
嫁入りしても人間関係という苦労の種は
尽きないというのに。あんな所に嫁入りとなれば。
まあ、時代錯誤のアホな意識だけをもつ華族が
どんどん亡くなっているのは救いだけど。
いろんな政治的な観方は抜きにして
自分は、美智子妃の旦那様や、皇太子のことを
ストレートに尊敬してますよ。
同じ家族を持つ男性として。
4「美空ひばりが「紅白」から消えた日」
・・ヤクザが興行と密着していた以上
戦後の興行と一緒に成長していった
美空ひばりおよびその家族がヤクザと
密着せざるを得なかったのはやむを得ない
ところなのだが。
美空ひばり親子に不倶戴天の敵と認識されてしまった
NHK側の交渉係(故人)さんが
ひばり親子につい吐いてしまった言葉がある。
「紅白歌合戦をそんな大仰に捉えないで欲しい
所詮は歌番組なんだから(意訳)」
今の自分にはよーくわかります・・が、当時の人間に
それ言っても伝わらないよ。怒らせるだけだ。
(実際に親子を怒らせてしまったし)
ひとつ言えるのは、テレビ・新聞といった
マスゴミから、もしわれら民草に伝わる事があるとすれば
それは「なんか事件が起きたらしい・・」
ただそれだけ。世で起きた事件の「真相」なぞ
少なくともマスゴミを通しては伝わってくることは絶対にない。
(知ったところで愉快な話はあまりないし)
ってことだけはよーく判りますた。
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