歌野晶午(うたの しょうご)著
なんの前知識もなく、手にした小説を読んでみる
三色旗古本屋100円コーナーならではの楽しみ方。
ちなみに9/30をもってあの古本屋では
「Tポイント」が使えなくなった様子。
<あらすぢ>
いつものようにフィットネスクラブで汗を
流していた成瀬将虎は、ある日後輩のキヨシから、
彼が密かに想いを寄せる愛子の相談に乗って
ほしいと頼まれる。
久高愛子は、轢き逃げに遭い亡くなった身内が
悪徳商法業者・蓬莱倶楽部によって保険金詐欺に
巻き込まれていた証拠を掴んで欲しい、家柄の
手前警察には相談しにくいと依頼してきた。
同じ時期、将虎は地下鉄に飛び込もうとした
麻宮さくらという女性を助ける。それがきっかけ
となり、以後何度かデートを重ねる仲になる。
将虎の恋の行方と、保険金詐欺事件の真相究明、
2つの出来事が交錯する。
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面白かった。
2003年このミステリーがすごい第一位だそう。
まず「葉桜の季節に君を想うということ」
というジャンルが良く見えない表題。
そして「歌野晶午」という作家名。
「歌」ときて「野晶」というあたりが
なんか「与謝野晶子」あたりを思い出し
「葉桜の季節に君を想う」なんて
表現からして、要するに文学的フレーバーの
「純愛モノ」なのでは?と前知識の無い自分は
勝手にそう思いながら読み始めたのですがね・・。
軽いネタバレをすると、この小説は
ミステリー、しかも叙述トリックモノ。
主人公を慕う子分格の男「キヨシ」のことを
主人公は「舎弟」と呼ぶシーンがあるのだが
最近ではあまり使わない言葉だ。主人公の
この言葉遣いにPONが「アレ?」と
違和感を覚え、それが「ラストのオチに限りなく
ちかづいた瞬間」だった。
いつものごとく、作品に何かひとつケチをつける
ならば、作者は最後のオチを読ませるだけのために
中盤の文章に注力しすぎであるように思えるところ。
ストーリー中盤で起こるミステリーなんかは
割とストレートで重要視されていない。
つまりは少々話が出来すぎか。
そして最後に読者は
「葉桜の季節に君を想うということ」という
言葉の意味に気がつくわけ。
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そういえば、以前に・・
「オレオレ詐欺」で捕まった男が
うそぶいていた事がある(実話)
「団塊より上の世代は恵まれすぎている。
それでいながらヤツラは溜め込んだ金を
全然使わないから自分らの世代まで廻ってこない。
俺たちはその金を取り戻す行為(←詐欺)を
している。いわば「世直し」なのだ」と。
いやはや、色んな言い訳が出来るモンだなあと
当時は感心したもんだが、小説後半で
明らかになる詐欺組織の首領が、
ほぼ同じことを言ってた。
格差が争い(≒戦争)を生むならば
そのうち世代間戦争なんかが起きたりしてね。
日本国内で。
シルバー世代の「御伽噺」みたいな感。