2011年02月27日

「小惑星探査機 はやぶさ物語」的川泰宣

小惑星探査機 はやぶさ物語 的川 泰宣

小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書 330)
[新書] 的川 泰宣 (著)

自分にとって「はやぶさ」といえば
ブルートレインの方が心の7割を占めておりまして
新青森へ向う新幹線(2割)でも、
ましてやこの探査機(1割)でもありませんでした。
それがこの本を手にしましてから、にわかに
「はやぶさ」お帰りなさい(涙)・・ですから
我ながら勝手なものです。

内容
「はやぶさのおじいちゃん」が語る
成功の理由と秘話

想定外のトラブルを乗り越えて奇跡的に地球に
帰還した「はやぶさ」。広報担当として現場を
見守りつづけた人物が語る、成功の理由と
知られざる秘話。
岡田武史氏(サッカー日本代表前監督)推薦!

内容(「BOOK」データベースより)
60億キロにおよぶ旅から地球への帰還を果たした
「はやぶさ」。危機を乗り越えるための独創的な
アイデアが生まれた秘密はどこにあったのか。
プロジェクト発足時から尽力し、広報担当
として現場を見守りつづけた著者が、7年間の軌跡
を振り返りつつ、成功の原動力となった技術的な
革新性から、メンバーたちの忍耐と執念、リーダー
の卓越した統率力と決断力までを臨場感ゆたかに語る。

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著者の的川泰宣さん。内容紹介では何故か
「はやぶさのおじいちゃん」なんて扱いを
受けておりますが・・東大出の「工学博士」で
航空宇宙工学の歴とした開発者のお一人。

「はやぶさ」プロジェクトには「広報係」として参加。
主にマスコミ対策や漁業関係者との調整をしつつ
後進を温かく見守るといった役割だったようです。
ちなみに「漁業関係者」との折衝というのは
ロケットを打ち上げるたんびに、部品が海に落下するんで
漁を休んでもらわないとならない、
漁師さんと懇意になるには宴会が一番、
それには酒の強い人を・・
そういった意味合いもあった様子。

航空宇宙工学の素人ではなく、また「はやぶさ」の
プロジェクトリーダーも含め、全員が後輩なワケですから
ある意味最強の立ち位置。
回顧録を書くにはピッタリの人といえます。
・・たしかに「おじいちゃん」でいいのでしょう。

関係者が皆、何度も絶望しながら(一度なんか
総責任者(プロジェクトリーダー)が記者会見で
「はやぶさ」プロジェクトは失敗しました、と公言。
その後、状況が覆った例すらあります)
地球に戻り、カプセルを投下して
自らは燃え尽きた「はやぶさ」・・。

宇宙開発史上、いったん行方不明になってしまった
探査機というのが再発見された例はないんだとか。
「はやぶさ」は、宇宙開発史上「初」の事例を
数々、打ち立てましたけど、なかでもこの「再発見」

「行方不明→再発見→再稼動」の実現は、まさに奇跡。

はやぶさの行方不明中、文科省のお偉方が的川さんをつかまえ
「一度行方不明になった探査機が戻ってきたためしはない
 と聞く。プロジェクト失敗ってことで予算縮小したい」
と通知してきたことも。
「嫌なことだけは知ってるな」
と思った的川氏でしたが、なんの展望もないけど
とにかくトボケまくってるうちに、はやぶさとの通信が復活
事なきを得たりとか、

「はやぶさ」を追跡するには、NASAの衛星探査網を
借りないといけない。同盟国アメリカといえど、油断ならない相手で、
当然タダでは貸してくれず、バーターするにしても、科学的に
無意味なデータを渡しても協力してくれない。
かといって有効過ぎるなデータを渡すと、NASAが
パクって自分とこでやってしまいかねない。

などなど、ウチに外に政治要素満載です。

他にも「はやぶさ」は人類初「イオンエンジン」搭載機。
イオンエンジンは正面に進む為のエンジンであり、
細かい動きは姿勢制御ロケットで
(まあ、ガンダムで言う所の「バーニヤ」ですな)
調整するハズでした・・が、その姿勢制御ロケットも
壊れ、ビミョウな姿勢制御を「イオンエンジン」で
やる羽目になったのです。本書内の例えで云うなら

「カミソリが全部ダメになったので
 ナタで代用したようなもの」だそうで。

実験的意味合いも持つ史上初の「エンジン」を
本来の用途外で酷使しようってんだから、
そりゃあ壊れるってモノです。
4つあるイオンエンジンが次々と壊れてしまう。
最後のイオンエンジンが壊れてしまい、
こりゃもうダメだ・・皆がそう思ったとき
壊れていない部品同士で動かしあって
つまり・・ニコいちで動かすことが
現場から提案されました。

当初の設計では、そんなこと出来ないんだけど
イオンエンジン設計者は、こんなこともあろうか
と?4つのエンジンを構成する部品を、
個別に動かせるよう設計しなおしておきました。
それが思わず役に立った、なんて話も。

はやぶさのおつかい.jpg
そんな満身創痍のはやぶさイラストにして
応援した好事家がいたらしく、JAXAの
人々の感動をよんだらしい。
的川さんは、頭からダイレクトに
アンテナが生えているのが、個人的には
なんかイヤだと、述べていましたが。

他にも日本人宇宙飛行士が長期滞在した
宇宙ステーションモジュール「きぼう」。
開発中の名称募集キャンペーンに的川さんは
「よじょうはん」
と応募して、選考委員長に激怒されたとか。
そんなエピソードが素敵でした。

いいじゃんねぇ「よじょうはん」。
松本零士氏のベースだよ。「大四畳半物語」。



現金なものです。
「はやぶさ2」の計画承認はあっさり
おりたらしいですよ。



新書: 208ページ
出版社: 日本放送出版協会 (2010/10/7)
ISBN-10: 4140883308
ISBN-13: 978-4140883303
発売日: 2010/10/7

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NEWTON 2011/2月号に
ちょうど素敵な後追い記事が・・

◆はやぶさカプセルに待望の粒子! 
 小惑星イトカワの物質は何を教えてくれるのか?


他のページの
「科学に欠かせない数学」微分・積分
 ― 若干23歳のニュートンがつくりだした
革命的な数学。微分・積分を誕生させた時代背景や,
ニュートンの思考から,「微分・積分とは何か?」
にせまる。 

「ウイルスとは何か?」 
生物と同じ素材からなる“エイリアン”にせまる 
 
も面白かったです。

が、世の本屋さん。ダメだよ。
「ムー」と「ニュートン」を同じラックに並べちゃ。


posted by PON at 21:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(社会) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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