「月の裏側」幻冬社文庫。上司より受領。まいどっ。
恩田陸さん? 僕たちの七日間戦争とか?
それは「宗田理」さんでした。
<あらすぢ>
内容(「BOOK」データベースより)
九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が
相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した
日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、
じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失
したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教に
よる洗脳か、それとも?事件に興味を持った
元大学教授・協一郎らは“人間もどき”の存在に
気づく…。
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九州の水郷都市・箭納倉(やのくら)という町が舞台。
架空の場所で、モデルは水郷の町「柳川」と思われ。
どんよりとした灰色の雲が広がり、町には水路が
縦横無尽に広がる。
非常に叙景表現のとんだ作品。
もういいから、ってくらい、しっとりしていて
重くて、びしゃびしゃしていて・・
作者の卓越した文章力と感性は十二分に伝わる。
子供の頃に吸った梅雨の時期のジットリとした空気。
それでいて黴臭くはない。
PONの好きなSF漫画家「星野之宣」氏の
「宗像教授伝奇考」みたい。
宗像教授=元大学教授・協一郎ですな。
これはシリーズモノなんだろうか?
この話以前にも事件やらなにやらを乗り越え、
主人公と元大学教授との間に年齢を越えての友情が
既に存在しているような、そんな描写がみられる。
以下、少々ネタバレ。
小説の雰囲気が雰囲気なんで、諸悪の根源は
日本の伝統的なオカルトだったりとか
あるいは横溝正史バリに、やっぱり怖いのは
(田舎の)人間だとか、そんな結末をイメージしていたのだが
・・オチがあまりに剛速球だったのには驚いた。
この小説は、結局どのジャンルに落ち着くのか?
見極めることが、まさに「ミステリ」
毎度ながら「なんだそりゃ?」な所を
あげつらえばキリがない。
そもそも「なんでなの?」というギモンは
最後まで残るのだが
(最終防衛兵器が「ながぐつ」って、アンタ)
「盗まれた街」+「ブロブ」+「ちょっとエヴァンゲリオン」
LCLとか人類補完計画とか・・計画じゃなくって
こっちは自然現象?だけど。
「盗まれた街(SFボディスナッチャー)」↓
http://www005.upp.so-net.ne.jp/guillo/cnmgltsq/bodysnatc.htm
「ブロブ」↓
http://kyoto.cool.ne.jp/666_movie/mv032/index.htm
「自分だと信じていた自分は本当に自分なんだろうか?」
そんな堂々巡りと空気感を楽しむ小説。
それでよいのではないでしょうか?
結局なんにも解決しませんでしたし。
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