2011年11月26日

「水霊」(みずち) 田中 啓文

水霊(みずち) ミズチ (角川ホラー文庫)
田中 啓文 (著)

某古本屋100均コーナーにて採用。
厚いよ。3センチ近くあるんじゃないかな。
著者の田中啓文氏といえば
以前に「蝿の王」(おなじく角川ホラー文庫)で
PONに強烈な印象を残した作家。
厚みもあることだし読みごたえはありそう。
んで・・。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
『平成日本の百名水』神社の遺跡から
湧き出た水を商品化する、過疎村の村興し事業の
目玉企画だった。ところが、その計画に携わる者が、
人間離れした食欲をしめした後、痩せ衰えて
死亡する怪事件が発生する。湧き水と事件の
関連性を指摘する民俗学者・杜川己一郎は、
遺跡の学術調査を進めるに従い、疑念を確証へと
近づけていくのだった。―現代文明の危機に
警鐘を鳴らすフォークロア。その想像を絶する、
真の意味を紐解く驚天動地のホラー大作。

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面白かった。次はどうなるんだろう、っつーか
どうやって落とし前つける気なんだ?この作者は!と
グイグイ読ませてしまう筆圧ならぬ筆力がある。

ネットで探ってみたんだけど、本来この作者は
ダジャレが好きで、小説もすちゃらか系(←要する
に軽めってことらしい)が持ち味らしいんだけど
「蝿の王」にしても、この「水霊」にしても
そりゃ設定そのものはむちゃくちゃで
コートームケーではあるが結構マジメに書いてあった。
自分もいずれ、彼の本性がわかる小説にブチ当たる
時が来るのだろうか。別にこなくてもいいけど。

敬愛する星野宣之さんのマンガで、大学教授が
古代の謎に迫る「宗像教授伝奇考」
てのがあるんですが
インテリが未知の世界に挑むには、主人公が
それなりの戦闘力を備え(あるいは助手周囲に
強い奴がいる)かつ、ちっとやそっとじゃ動じない
「胆力」を持っていないと、作者も話を動かすのに
苦労する・・ていうのはよーく判った。
インディージョーンズしかり、
マスターキートンしかり。

というのもこの主人公。相当ヒドイ奴。
出だしは結構期待したんだけど〜。
戦闘力は仕方ないとしても知識力はさすが。
学者として、物事にシロクロつけるには
呪いだとかあいまいなものではなく、
なにか因果関係があるはずなんだ・・
とかなんとかいっては、色んな場面で
ウジウジしているし。
相方になるオカルト雑誌編集員のほうが
まだマトモだった。

なによりビックリしたのは、主人公(←実はロリ)
はキーパーソンである女子中学生を、現場に連れ出す。
そこで事件が発生、女子中学生は発狂して失踪。
ところが急用ができた彼は、次の瞬間、飛行機で羽田へ。
「あの女の子、急にどっかいっちゃったけど、
 奴(←オカルト編集員)も宮崎に残っている
 ようだし、大丈夫だろ・・いろいろあって疲れた
と言って機内で寝てしまうのだ。

大丈夫じゃないだろ!おい。

探せよ!そこは。人として。

あれでは「先生に生きていて欲しいからそうするの」
とか、いじらしい言葉を残して昇天した
女子中学生が、まったくもって浮かばれない。

この他にも、すました顔の主人公の呆れた過去とか
編集者とのあわや仲間割れ、とか
突然現れる義弟の外科医とか。
ひたすら古代文字を解読する19歳の在野研究家とかとか。
(それも登場人物があらかた事件を経験したあとに
 スバラシすぎるタイミングで解読に成功する始末!)
ようやく仲間?になった役所の生き残りにしても
こっちは火急だから連絡してんのに
眠いから明日にしてください」はないだろ?
村長一味の異様さを見ていなかったのかよw
まともでない人たちばかり。
人間味があるといえば、人間味があるのだけど。

主人公には生意気に?フィアンセがいるんだが
嫁き遅れで焦っている女性の、イタイ、痛すぎる行動
(仕事と私とどっちが大事?のアレ)と
主人公をいじめるタイミング真に迫っていた。

グロ描写は「エイリアン」ライク。
「蝿の王」にもあった田中啓文節
「ネトネト、ぐちゃぐちゃ、ネチャ、ビチャ」は健在。
悪の陣営の目的は結局「ショッカー」だったし。
その上、萌え(ロリ)要素まで。
終わりかたも「お約束」どおりの「END?」
とにかくもお、盛りだくさん。
んで最後は、ドリフのコントでいうところの
エンディングテーマで〆でした。
(YOUTUBEにある「〜で人類滅亡」シリーズの
 動画のような
 「でーーーん、ちゃかちゃちゃんちゃかちゃんちゃ・・
 のアレです)

それにしてもなにやってんだか。
代々「黄泉醜女」を封印してきた宗家のばあさん。
神代文字なんかで書くなよ。大事なことだろーよ。
「お役目」のノウハウを伝承することは。

ま、以上の様にツッコミどころ満載なんだけども
いろんな参考文献から引っ張り出している割には
事実と虚構の差があまり感じられず、
また文体もうまくまとまっていて切り貼り感もなく
いや〜久しぶりにおバカ小説を堪能いたしました。

・理由はなんであれ夫婦喧嘩はロクなことにならない。
・生水は沸かしてから飲みましょう。

この小説から言える事はそんなとこかな。

あ、あと「古事記」「日本書紀」とか「神道」について
いざというときに人並みくらいは
俺も知っておかないと・・という気になってきました。
なんだそりゃ。



映画化もしたようだが原作の劣化版で
コピーですらないらしい。

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パラサイトイブ・・

パラサイトイブは「ミトコンドリア」の
反乱だったけど、この小説では
「腸」が自意識を持ったら・・ってのには
かなり笑えました。



posted by PON at 21:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(ホラー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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