2011年11月28日

「向日葵の咲かない夏」道尾秀介

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫) 道尾 秀介 (著)

「このミステリがすごい2009年度1位」だそうな。 
某古本屋100均コーナーにて採用。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、
欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。
妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。
だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と
消えてしまう。一週間後、S君はあるものに
姿を変えて現れた。
「僕は殺されたんだ」と訴えながら。
僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、
事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、
もう一つの夏休み。

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この作者の本は以前に「片眼の猿」を読んだ。
あの本もそうだったけど、要はこれも
「叙述トリック」モノ。
前知識抜きで読み始めたんで、事件の落ち着く先が
超常現象なのか、日常の規範内なのか、非常に
気になってしまい、どんどん読み進めたという点では
作者の術中にうまくハマルことができた。

でもってラスト。ファンタジー(オカルト)?なのか
ミステリーなのか?やっと核心に迫る・・と思いきや
微妙な境界線上に回答をおいて終了。

ややネタバレだが、作中の「生まれ変わり」って奴が
主人公の妄想なのか、それともホントの事なのか。

中学生、高校生ばっかりが「大人にもなりきれず
子供でもいられない」ってことで、マンガやらラノベやら
様々な表現のネタになったりするけれど、
実は小学生ってのも結構ビミョウな年代で、そんな時期が
6年間も続くのだ。人生を10年以上続けていれば、
純なことばかりでなく大人顔負けで汚れてくるものだし、
それでいながら行動力も資金力はまだまだなわけで、
不承不承ながら生まれついてしまった各家庭環境に
適応するしかない。
ヒドイ家庭に生まれてしまったら、これは相当な
ストレスなはず。中にはいびつな精神世界を
形成してしまう子供がいたとしてもおかしくない。

はやく続きを読みたくなる、そんな面白さはあるけれど
読み終わったらそのうち読んだことも
忘れてしまいそうな・・そんな作品だった。
「向日葵の咲かない夏」という題名も
雰囲気で付けてみたって感じだし。

「叙述トリック」モノだとしても
ちょっとズルイっていや、ズルイやな。
あんな3歳児いないだろう的ミカちゃんに
その推理力なんなのよ的S君と
急激に目覚める(本性をあらわす)ミチオ君。



角川ホラーに収蔵されていてもおかしくない作品。

作者は2011年 直木賞を受賞したらしい。
(2011年 『月と蟹』で第144回直木賞受賞)
それはどうもおめでとう。

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(ミステリ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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