某古本屋100円コーナー作品。
これまた不思議な小説でした。
<あらすぢ>
内容(「BOOK」データベースより)
明治44年8月、巨大な円筒が東京湾に落下した。
円筒から姿を現わした4台の怪異な機械。
それはなんと、13年前にもロンドンを襲った
火星人類の戦闘機械だった。高熱光線を発し、
帝都を焼き払う戦闘機械。帝都危うし!
この危機に決然と立上がる押川春浪、吉岡信敬ら
バンカラたちの集団・天狗倶楽部の面々。
帝都の運命や如何に!
明治末の東京を舞台に繰広げる書下ろしSF長編。
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主人公「押川春浪」は、明治時代に実在した小説家。
東宝で映画化された「海底軍艦」の
原作者として知られている。
この小説の作者である「横田」さんは
SF作家であると同時に、押川春浪に
感銘を受けたためか、明治の文化大好き人間で
あるようで、明治文化に関する著書も多数。
であれば、SF+明治文化という
本来であれば「混ぜるなキケン」的フレーバーを
混ぜてしまい、攪拌してしまい、豪快に
シェイクしてしまう、横田先生
それでいて面白いんだから・・さすがです。
明治当時の文化なんか、このような小説から
吸収するしかないんだけど。
なんか偉そうなんだな。明治生まれの男達って。
身分はたかが大学生だったりするのに。
主人公(押川)にしたって35才くらい。
学生時代がモラトリアムなんて発想もなく
「先生様」なんて先生に「様」がついてしまう時代。
大学生というステイタスそのものが、
出世を約束されたエリート予備軍っつーか、
そんなだったんだろう。
言葉がオッサンくさいのだ。
「おーーい待ってくれたまえよ」
とか
「すこぶる、いやいや痛快、でしょうなあ、
いや失敬、あーそこのきみ・・」
いやはやなんですなあw素敵な言葉づかい。
ま、彼らが後年、社会的にそれなりの地位について
名実共にオッサンになったが故、彼らのなじんだ文化が
そのまま日本のリーマン・オッサン文化として
定着したのでしょう。
早稲田生は皆バンカラで
日本女子大はお嬢様。
※バンカラ(ばんから・蛮殻/蛮カラ)
とは・・ハイカラ(西洋風の身なりや生活様式)を
もじった語である。明治期に、粗野や野蛮を
ハイカラに対するアンチテーゼとして創出されたもの。
一般的には言動などが荒々しいさま、またあえて
そのように振る舞う人<Wiki>
※バンカラ学生の代表
吉岡 信敬(よしおか しんけい)
(1885年(明治18年)9月1日
- 1940年(昭和15年)12月7日)
は日本の応援団員。早稲田大学の応援隊長
として「虎鬚彌次将軍」の通称で知られ、
当時は乃木希典、葦原金次郎と並んで
「三大将軍」と呼ばれたほどの人気者だった。
・・将軍といっても、明治時代の応援団長として
有名な大学生だった、というだけらしいけど。
応援で「フレー、フレー」の「フレー」って
「奮え」から来たんだな。この小説で初めて
知りました。
火星人を撃退するために「乃木、頼むぞ!」
なんて明治天皇にまで、わざわざ託されたのに
次の章題が「乃木大将の敗走」ってのは
あんまりではありませんか?横田センセイ。
しかも対異星人撃退用に編成されたスペシャル
部隊の名前が「赤襷隊」ときている。
最初から負けが約束されたようなもんだ。
乃木将軍に対する悪意100%だね。
おそらく司馬史観だろうけれど。
火星人類の意外な正体と、彼らの残した想いが切ない。
映像化したら結構いいセンまでいきそうだ。
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