2011年11月24日

「帰国船」鄭 箕海

帰国船―北朝鮮 凍土への旅立ち (文春文庫)

鄭 箕海 (著) 鄭 益友 (翻訳)

あらすぢっつーか内容
内容(「BOOK」データベースより)
「教育も医療も無料の社会主義祖国」「地上の楽園」
―朝鮮総聯が鳴り物入りで展開した帰国事業に煽られ、
九万数千人の在日朝鮮人(日本人妻を含む)が北に帰った。
本書の著者もその一人。ところが、希望に胸をふくらませて
帰国した彼らが目にした祖国の姿は…。
渡北から決死の韓国亡命を果すまで三十四年間にわたる
悪夢の記録。

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あらすじにありますように、著者の壮絶な人生を
たった一行であらわすならば
「渡北から決死の韓国亡命を果すまで
 三十四年間にわたる悪夢の記録」
ということに落ち着いてしまうのですが。

著者は、朝鮮半島から出稼ぎに来た夫婦の間に
1940年ごろ、茨城は土浦に生まれた。
物心がつく頃まで日本で育ったため、シュミ嗜好とも
日本人とそう変わらない。
1960年になって盛り上がった北朝鮮への帰国運動
朝鮮総連と当時のマスコミによる、虚偽宣伝
「地上の楽園」「夢の社会主義祖国」を鵜呑みにした
父親に従い、イヤイヤながら家族の移住につきあった。

そのときの判断材料としたのが当時のマスコミ宣伝。
第三者と信じる、日本のメディアが(朝日を筆頭に
読売も毎日も日経に産経までもが)こぞって
北のことを「教育も医療も無料の社会主義祖国」
地上の楽園」と言い立てていたら・・まあ信じるよな。

当時の日本のマスコミ記者団を北朝鮮は平壌に案内して
いかに自分たちの革命成果が実を結びつつあるかを
アピール、記者達は鵜呑みにして記事にした。
それがこの結果。10万人の北朝鮮への帰国。
記者達も北の宣伝に見事にだまくらかされたのだ、
といえるのかもしれないけど、当時の記者達は
そこまでアホじゃなかったと思う。でなきゃ困る。

自らをなんとかダマシながらだった著者も
新潟から出航した際、北の移民船のあまりのボロさに
船の女性案内人のあまりの野暮ったさに
そして出てくる食事のまずさに
到着する前から絶望した。
「自分は何かとんでもない選択ミスをしたのではないか?」
当時17歳だった著者ですらそう感じたのだ。

当時の北朝鮮の実情、つまり社会主義革命が
うまくいっているのかいないのか、概要くらいは
いくら日本政府といえど知っていたでしょうし
ま、たとえば知らなかったとしても
一方で帰りたがっている人(在日の人)たちがいて
むこう(北朝鮮)も受け入れたがっているならば
人道的にも、反対する理由も無い、ってことで。

国内に居る在日半島人は、このまま日本に
居させないで、できるならどんどん国許へ
帰してしまおう・・そんな雰囲気が日本政府に
あったんじゃないかな〜って感じられました。
棄民といってもいいかも知れない。
マスコミも時の政府の意を汲んで
(あるいは裏で要請があって)
宣伝合戦に参加したと。

東電と福島原発の件でも嫌って程わかるけど
この辺の、国(役人)とマスコミの腐れぶりは
変わっていない。

そういう日本国政府と
国力増強策(マンパワーではなく金ヅルとして)として
在日朝鮮人の帰国を望んだ北朝鮮
そして純粋に信じてしまった哀れな人々
腹の中は様々なれど、三者のベクトルが
一致したからこその悲劇(帰国事業)だった。

いったい誰が悪いのか?
北朝鮮王国の金親子か?
東西冷戦の大国のエゴか?
半島の併合と半島分断のキッカケをつくる
戦争に負けてしまった日本か?
虚偽宣伝をしまくったマスコミか?
情報弱者の著者の父親か?

著者がコトあるごとにいじめられた
北の国の小役人にもいちいち腹が立つ。
彼らも上から見れば雑魚なので
いじめる対象があればトコトン、イジメる。
ヒトって悲しい。

本来であれば人民を救うべきはずの制度
「食料配給制度」と密告制度を組み合わせた
恐怖統治システム。

古代の専制君主や貴族社会は
オレは高貴な生まれなんだから何をやってもいい、という
リクツで「オレのために働け」と人々に強要したがため、
逆撃を食らって歴史から消えていった。

「オレのために」と言うから革命が起こるのだ。
「君たち(人民)のためなんだ!」と連呼しつつ
実は政府の一部と腰巾着だけが、おいしい思いを
するようにできている国。
こんなシステムを考え出したヤツは確かに頭がいいよ。

ま、ひとつだけ言える事は・・ダメだあの国。

朝鮮総連への特典や朝鮮学校への支援も
やっちゃダメだ。

「北朝鮮帰国事業の罪」
 ↓  ↓
http://mirror.jijisama.org/kikokuzigyou_notumi.htm



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